「ダッセーな、私。」年長者としての飲み会のたしなみ＜納言・薄幸の酔いどれコラム#19＞

2022.12.24

【連載】納言・薄幸の酔いどれコラム

月に一度の連載『納言・薄幸の酔いどれコラム』。
今月はタイトルに原点回帰。幸さんの酔いどれた日々で起きた、ほがらかエピソードが満載です。

まだまだ終息した訳では無いが、一時期よりかは少しずつ落ち着いて来たコロナ。
今年は忘年会を開いた方、これから開く方も多いのでは無いだろうか。
私も、一昨年や去年に比べ、今年は飲み会に行く機会も増え、少しだけ「元通りの生活に戻ったな」と感じる一年だった。

気付けば私も芸歴12年目。
カピバラで言うと12年だなんて、長生きの部類に入ってしまう年月だ。
絶対にカピバラで言う必要は無いから、無意味な文ではあるけども。
今まで先輩と飲む機会の方が圧倒的に多かったけど、12年目となると後輩と飲む事もぐんと増えた。

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おちゃめな海外かぶれ・やす子

飲む事が多い自衛隊芸人・やす子もだいぶ後輩。
普段何を言っても、どんなイジりをしても「はいー」と返事する真っ直ぐなやす子。
一度、やす子とのロケ中、たまたま見つけた駐屯地に私がズカズカ近付き、自衛隊の方に軽いテンションで
「すいませーん！　入っちゃ駄目ですかー!?」
と聞いた時は
「馬鹿！　おい、馬鹿！　そんな軽く口聞くな！　おめえ、馬鹿！」
とキレてきた。
駐屯地近く以外のやす子は、非常に可愛い後輩だ。

やす子は異常にロケが多い。
今日の仕事は何だったのかを聞くと、高確率で滝に行っているやす子は、一度タイまでロケに行っていた事がある。
帰国直後飲みに行くと、やす子は居酒屋のメニューを開くなり
「うわぁー！　日本語懐かしいー！」
と言っていた。
気持ち良い位かぶれて帰って来たやす子は、その後
「日本食は美味しいですねー！」
と言いながら、エビチリを食べていた。
その台詞を使うにしても、エビチリでは無い気がする。

これから海外ロケも更に増える事だろう。
やす子には色んな国に行って、各国にかぶれて日本に帰って来て欲しい。

ハイテンション店員と真面目ギャル

少し前に、女芸人が大集合するロケがあった。
その後6、7人程で打ち上げに行ったのだが、恐ろしい事に、全員後輩だった。
その中に絶対私と同期のはずの、ぽんぽこのひとみまる（高木ひとみ〇）が居たのだが、
ひとみまるに「芸歴何年目？」と尋ねると
「今日から！」
いつ聞いてもそう答えるので、ひとみまるは、一生全員の後輩になってしまう。
したがって私が一番先輩。
後輩も沢山増えたんだな～としみじみ考えていると、やけに明るく沢山話しかけてくれる店員さんが
「僕、今日初出勤なんです！　嬉しいっす！」
そう声を掛けてくれた。

なるほど。
私達に気付いてくれたから、こんなにハイテンションなんだ。
そこで私は
「そうなんですね！　初出勤で芸能人見れるなんて、嬉しいですね」
もちろんボケのつもりでそう返すと
「、、、え？　あ、芸能人なんですか？」
これっぽっちも知られて無かった。

こんな大勢の後輩の前で、何て恥ずかしい。
じゃあ何の“嬉しいっす”だったんだよ。
シンプルに初出勤が嬉しかったのか。
働き者が過ぎるだろ。

一連の流れを見ていた、ぱーてぃーちゃんの信子がケラケラ笑いながら
「メモっとこ～！」
と言って携帯にメモをしていた。
忘れない様にしっかりエピソードをメモるタイプのギャルなんかい。
この5分後には記憶をぶっ飛ばし、何を喋ったのか一文字も覚えてない私とは比べ物にならない程、頼りになるギャル。
それが信子だった。

気付くな、中野なかるてぃん

数日前、体調不良の宮下草薙の代打で急遽、沼津ラクーンよしもとのライブに出させて貰う機会があった。
ライブ終わり、打ち上げをしようという事になり、10人程で打ち上げへ。
またもや恐ろしい事に、一番先輩。
久しぶりの忘年会みたいで、めちゃくちゃ楽しかった。

深い話なんてほぼほぼしてなかったからよく覚えてないけど、下戸のさすらいラビーの中田（和伸）君が、コーラなのに一番ボケていた。
“コーラ”を“コーラドリンク”と呼ぶという、どこの部類に属するのか不明なボケを延々していた事だけは、鮮明に覚えている。

打ち上げ終盤、そろそろお開きというタイミング。
一番先輩である私は、なるべく皆に気を遣わせない様、財布を持ってレジへ行き、こっそりお会計を済ます。
今まで先輩にやって貰って、カッケーなと思っていた事が出来て何だか嬉しかった。
ちょっとトイレに行ってましたよ、みたいな顔をしながら静かに席に戻る。
すると私の前の席に座っていた、ナイチンゲールダンスの中野なかるてぃんが、真っ直ぐ私の顔を見ながら口を開く。
「ごちゃーす！」
多分“ご馳走様です”なのであろう。
ごちゃーす！っつった。
いや、かっこつけさせてくれよ。
会計してたの気付いたとしても、この様子はこっそり済まそうとしたんだな、って分かるじゃん。
ごちゃーす！じゃないんだよ。
気付くな。
気付いても、言うな。

なかるてぃん以外は、最後に
「え、払ってくれたんですか！　ご馳走様です！」
と言ってくれた。

なかるてぃんだけは
「ですよね！　払ってましたもんね！　ごちゃーす！」
と言っていた。

ダッセーな、私。

今後なかるてぃんと飲んだ時は
「君らを奢ろうと思うので、今からお会計をしに、レジまで行ってきます!!」
と大声で宣言してから会計に行くと決めた、そんな打ち上げだった。

まだまだ気が抜けないけど、来年も好きな後輩達と沢山飲みに行けたら嬉しい。
皆さんも節度を守りながら、良い飲み会を。
そして良いお年を。　

連載「納言・薄幸の酔いどれコラム」は、毎月1回の更新予定です。