お笑いコンビ・ランジャタイの国崎和也が、徒然なるままにコラムを執筆。本連載での名義は「ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん」です。
今月は、国崎さんのとある親友のお話。
マスオチョップの添え木
こないだ、
「マスオチョップ西園」と、カラオケに行った。
西園 ひろむ。
彼は、昔から何も変わってない。
僕の親友の1人だ。
昔、今から10数年以上前
カラオケのバイトをしているときに、西園が新しく入ってきた。
「マスオチョップ」という同期だと知っていたので、
変なタイミングで声をかけようと思い、
彼がトイレチェックで便器を磨いているときに
「マスオチョップさんですよね??」
と声をかけた。
「うわあ!びっくりしたなあ!!
便器がキレイになってるときに!」
その返事で、最高だとわかった。
「こいつは面白い!」
面白い友達との出会いだった。
それから、いろいろと遊んできた。
彼はコンビを組んでいた。
『マスオチョップ』という名だ。
そして、マスオチョップは『変』だった。
相方は「松本拓郎」というやつで、これまた変なやつだった。
拓郎は僕と同い年で、高校を卒業して吉本NSCに。
西園は高校を卒業後、調理師学校を経て、吉本NSCに。
2人は同じ家に住んでいて、僕もよくその家に遊びに行った。
ある日西園がバイトから帰ってきたときに、冷蔵庫にあった「自分のプリン」がないと怒った。
拓郎が食べてしまったのだ。
そのまま西園は「このー!」と彼に飛びかかった。
拓郎はすぐさま近くにあるキンチョールを西園にあびせ、西園は煙だらけになった。
その煙まみれに拓郎が入っていき、2人は大喧嘩をはじめた。
モクモクと煙の中から手や顔が飛び出してきて、
「んだー!!」
「こらー!」
「やるか!」
「しょらー!!」
と声をあげる2人に、僕は腹を抱えて笑った。
漫画みたいな奴らだった。
ある日は、
西園がパチンコで負けに負けて、お金がなくなった。
すると彼は、田舎のおばあちゃんからもらったお守りを引きちぎって
その中身から一万円札を取り出し、
パチンコの機械にその一万円札を入れ
「助かったよ〜!」と
ニヤリと笑った。
僕はそれを見て、パチンコをやめた。
神社にお参りをしたこともあった。
西園は『売れたい!!ビールをやめる!』と宣言をして、一緒に神社に願掛けでお参りした。
そして、半年後に西園はその約束を破り、彼は居酒屋でビールを飲んだ。
その帰り道、彼は久しぶりに酔っ払って、テンション高く、
「今日はいい日だよ〜〜!」と、
道行く道で、『でんぐり返し』ばかりして帰った。
何を言っても
「いい夜だよ〜!!」と、
ぐでん!と道に向かって、でんぐり返しをするのだ。
翌朝
西園のすすり泣く声で目が覚めた。
見て驚いた。
西園の腕が、パンパンに腫れていた。
「国崎ぃ〜折れてるよ〜コレ〜ぇ〜」
腕が、ロックマンのように、パンパンに。
「バチが当たったよォ〜」
後でわかったのだが、
でんぐり返しのときに、左腕が折れたらしい。
「、、、」
どうやって、、?
保険証もない彼は、
拓郎が応急処置で木の枝で添え木をあてて、
数日間すごした。
病院に行くと、拓郎の「添え木の当て方」が間違っていたらしく、腕が少し変な方向に曲がっていた。
腕はそのまま、曲がったまま、完治した。
「おかしいよー!腕。変だよー!」
現在。カラオケ中。
西園は、いまだにこの「拓郎の添え木」に文句を言っている。
「拓郎が間違ってたよー!添え木ー!」
いまだに腕を見せつけては、怒る。
カラオケを歌わず、
電源が入れっぱなしのマイクがキンキン言う中で
「拓郎が添え木を〜」
彼は、
「間違えたよー!」
怒る。
「明日もわらび餅だよ〜!」
わらび餅とは、西園が働いている、わらび餅売りのバイトだ。
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