ジャルジャル「次元が違うとはこういうことなんだろう」|正田真弘写真室「笑いの山脈」第21回

文・撮影=正田真弘 編集=竹村真奈村上由恵


カメラの前に立ちはだかり、ネタの瞬間ものすごい存在感でエネルギーを放出するお笑い芸人。その姿はまるで気高い山のようだ。敬愛するお笑い芸人の持ちネタをワンシチュエーションで撮り下ろす、フォトグラファー正田真弘による連載「笑いの山脈」。本業はポカリスエット、カロリーメイト、どん兵衛、Netflixなど見たことある広告をいっぱい撮っている人。

ジャルジャル「次元が違うとはこういうことなんだろう」

先日、ロッテの佐々木朗希投手が完全試合達成と13連続奪三振の記録を打ち立てた。
この試合だけを見たら、おそらく他のプロ野球選手は佐々木投手にライバル心を燃やすことなく、その凄みに「こんな野球があるのか」と、ただ感動しているのではないかと想像してしまう。

スポーツとの違いはあれど、ジャルジャルが作り出す笑いにはそんな“凄み”を感じる。
ネタの総数は8000本以上、どうしてここまで発想の泉を掘りつづけることができるのか、そのスピードとパワーに驚愕だ。
まったく異次元にいるかのようなふたりとの撮影はどうなるのか予測がつかないまま、YouTubeチャンネル『JARUJARU TOWER』のコント収録をする直前に時間をもらい撮影した。
手短に撮影の趣旨を説明し本番となる。スタジオにある小道具をいろいろと手にしては繰り広げられるキャラクターやシチュエーションの数々。
この連載には珍しく1枚1枚がすべて違うものになっていくことに、ジャルジャルの真髄を見た。

石川県の小松空港を舞台に生配信されたジャルジャルの主演演劇『夢路空港』やふたりで11役を演じ劇場公開された“コントシネマ”『サンチョー』など、ジャルジャルだからこそ作り出せる世界がそこにあり、自分たちの笑いに徹する心の強さはやはりアスリートにも通ずる。

佐々木朗希のように、前人未到の道を拓きつづけるジャルジャルもこれからどんなものを生み出していくのか、楽しみしかない。
天才的な存在と同時代に生きられることはうれしい限りだ。


ジャルジャル
後藤淳平(1984年3月20日生まれ、大阪府出身)と福徳秀介(1983年10月5日生まれ、兵庫県出身)によるコンビ。吉本興業所属。高校の同級生として出会い、2003年に結成。2020年『キングオブコント』(TBS)で優勝。2018年に始まったYouTube『JARUJARU TOWER』では、1日1本ネタを配信中。2022年5月1日まで空港を舞台にした演劇『夢路空港』の配信チケットを販売中。

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