サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』を勝ち抜いた11人によって2019年12月に結成され、2022年3月4日にデビュー2周年を迎えたグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。
コロナ禍でのデビュー、経験値のギャップ、メンバーの活動休止……さまざまな壁を乗り越えてきたJO1の“これまで”と“これから”が詰まったドキュメンタリー映画『JO1 THE MOVIE『未完成』-Go to the TOP-』が、3月11日から公開されている。
彼らの2年間の軌跡を追ったJO1入門編としてもぴったりな本作を、2021年に彼らのことを知り、今ではすっかり魅了されてしまったというエンタメライターの新亜希子がレビューする。
目次
“未完成”だからこそ、JO1は歩みを止めない
大人たちの少々ピリついた声に、現場の緊張が伝わってくる。與那城奨を先頭に『PRODUCE 101 JAPAN』を勝ち抜いた11名が登場し、順に名前と年齢を述べ、「よろしくお願いします」とひと言。笑顔を見せる余裕はない。どのカメラを見るべきかわからない者、声がわずかに震えている者……マイクを持つ手もまだぎこちない。2019年12月11日。17歳から24歳、出身地も経歴も何もかもが異なる11人で結成された「JO1」が始動した。
筆者は、この日のことを知らない。JO1を知ったのは2021年に入ってからのことである。彼らを輩出した『PRODUCE 101 JAPAN』を視聴したのも、再配信でのこと。だからこそ「出会うきっかけさえあれば」「知られる機会さえあれば」伝わるはずのJO1の魅力、JAM(JO1のファンネーム)のもどかしさが、少しはわかるつもりだ。JO1を見つけ、共に進むのは、今からでもけっして遅くはないと多くの人に伝えたい。彼らは「いつだってここから」。“未完成”だからこそ、JO1は歩みを止めない。
ドキュメンタリー映画ながら、『JO1 THE MOVIE『未完成』-Go to the TOP-』は既存ファン以外にもわかりやすい内容だ。オーディション直前まで会社員や大学生だった者を含む11人組という特殊性、デビューから今もつづくパンデミックによる活動制限、そのなかでも日々鍛錬を重ね、デビューから2年が経った今、確かにプロとなり“仲間”となったこと──JO1の歩みを取りこぼすことなく振り返りながら、パフォーマンスや表情の変化を映し出し、音楽性の高さをも知らしめる。“映画”だからこその音、臨場感、迫力も、本作の魅力のひとつだ。
夢見る若者たちの泣ける青春ストーリー、そんなふうに描くこともできただろう。けれど、嘘のないポジティブな内容に仕上げた、監督・稲垣哲朗の愛情を感じる。そして何より、飾らない素顔を見せてくれた彼らのまっすぐさが、晴れ晴れとした気持ちを与えてくれる。本作を観てあふれるのは、悲しい涙ではないはずだ。
結成当初、“プロ”とのギャップを語った豆原一成
冒頭のメンバー紹介。年齢相応に無邪気なオフの表情、撮影に入るオンの表情──結成からたった2年と少しでの、顔つきの変化に驚く。緊張やトガりが抜け、笑顔は柔らかい。けれど、ひとたびカメラの前に立つと、とたんにプロの顔を見せる。メンバー同士が語るお互いの印象では、選ぶ言葉や語調に愛があった。
改めて、本人の口からエンタテインメントの世界を志したきっかけが語られる。経験や熱量、かけてきた時間は、それぞれ異なる。さらにJO1において、東京出身は白岩瑠姫のみ。愛知2名、滋賀、奈良、京都、大阪、兵庫、岡山、福岡、沖縄と、西日本出身者が多いのも特徴だ。もちろん地方にも栄えた都市は多いが、東京および関東近郊と比較すると、エンタメで食っていこう、ましてや世界に飛び出そうという夢は、少々リアリティに欠けるのが現実。
それでも、夢で終わらせなかった者たちが集まった『PRODUCE 101 JAPAN』において、約6000人の中から選ばれた11人。尊い必然であると同時に、11人がゼロからグループになることの難しさは相当なものであっただろう。ましてや直前まで、仲間でありつつもライバルだった彼ら。同じグループになったから「さあ仲よく」と、そう単純なものではない。
そうしたズレや経験値の壁は、結成後、間もなく行われた韓国合宿で早くも浮き彫りになる。今やムードメーカーの佐藤景瑚さえ不安げな表情を浮かべ、大平祥生はひとり、自分自身と向き合っていた。そんななか、木全翔也と鶴房汐恩が笑顔で話しているシーンは印象的だった。木全はいずれのシーンでも楽しそうで、最も安定しているように見えたのだが──だからこそ後半、彼に泣かされることになる。
「これじゃなかった人」と「これしかなかった人」。それぞれが、当時秘めていた思いを明かす。豆原一成は、思い描いていた“プロ”とのギャップについて言及していた。この言葉は、本作におけるキーともいえる。彼の発言がなければ、JO1がわずか2年で“プロ”になったことのすごさに、気づくことができなかったかもしれない。
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