「僕」から「僕たち」になるための時間
帰国後の2020年2月に開催したファンミーティング。彼らは楽しそうに笑っていた。たくさんのファンを前に、ここから始まるのだと実感した時間だったかもしれない。深く頭を下げ、最後にステージからはけたのはリーダー・與那城。このあと、JO1とJAMの間に長い長い空白の時間が生まれてしまうなど、このとき誰が想像しただろう。過酷なオーディションを勝ち抜いたあとも、練習に明け暮れてきた彼ら。目指していた未来とは、まるで異なる世界がJO1を待ち受けていた。
2020年3月4日、デビューシングル『PROTOSTAR』をリリース。人生に一度きりのデビュー日、彼らはYouTubeという小さな箱の中にいた。チャート1位を記録しても、JAMに会うこともイベントを開催することもできない。時代が彼らの行く道を阻む。けれど川尻蓮は2020年を「なかったこと」にせず、佐藤は意味を見出そうともしていた。本作中、彼らはけっして「たられば」を言わなかった。
2020年も、2021年も、JO1が止まったわけではない。過ごした時間も、積み上げた努力もなくならない。ステージに立てずとも、JAMに会えずとも、彼らは前進しつづけていた。一つひとつの出来事を11人で共有し、輪になり、和になった。どのシーンだったか、ホワイトボードに書かれていた「we are JO1」の文字。彼らは今、本人たちにしかわからないような簡単な言葉で意思疎通し、気づけばひとかたまりに座り、笑い合い話し合う。「僕」ではなく「僕たち」。そうなっていく過程が、本作には映し出されている。
「僕たち」が11人であること
ようやく時勢が落ち着き始め、念願だった初の有観客ライブ『2021 JO1 LIVE “OPEN THE DOOR”』が2021年11月に開催されることが決定。時をほぼ同じくして、金城碧海が体調不良により活動を休止することが発表された。このころカメラは、メンバーの腕に光るバングルをさりげなく、けれど何度も捉えている。これは「PROCESS JO1」(JO1のYouTubeチャンネルで2021年7月から12月まで毎週金曜日に公開されていたシリーズ)にてリーダーズ(與那城、川尻、河野純喜、木全)が作成した、そろいのもの。
「僕たち」が11人であること、その気概でステージに向かうこと、金城がいつでも戻れるJO1でいること──そうした彼らの強い意思を感じた。メンバーいわく「寂しがり屋」な金城。そんな彼を誰よりも知る10人。ライブでも、どこかにずっと金城の存在があった。なお金城は2022年2月に復帰。あの包み込むような歌声がまた聴けることが、何よりもうれしい。
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