“身体張るバカの究極”瀬下豊の魅力は「大バカなところ」。天竺鼠・川原が「彼を嫌いな人はいない」と語る【魅惑の相方 ANSWER vol.2】
天竺鼠の「首太担当」であるパワー系の瀬下豊と、妄想を司る川原克己。ふたりとも、性格面もお笑い面も、自分たちは真逆だと捉えている。
瀬下の単独取材では、真逆だからこそ、自分にないものを持っている相方に惹かれていることがわかった。
アンサー取材を受ける川原は、一見無感情にも見えたが、取材を進めていくうちに、瀬下のしょうもないエピソードをどんどん語ってくれたり、「彼を嫌いな人はいない」と述べたり、相方への友情とも取れる愛を感じた。
真逆のふたりが見せる、阿吽の呼吸を深掘りしていく。
目次
瀬下の活躍に対して思うことは“無”?
──先日、瀬下さんを取材したのですが、とても優しい方でした。
川原 昔は人を傷つけることしかしなかったのにね。今はそれの罪滅ぼしでやってるんでしょう。本来悪魔みたいな奴ですけどね。ヤンキー時代は毎日ケンカして。
──天竺鼠さんはコンビおふたりとも優しいなと感じましたが……。
川原 俺はね。相方と真逆でケンカとかもしたことないですし、帰り道にお花が咲いてるとこに遠回りして道草したりとか。今でも心優しいね。相方は女のケツ追っかけて声かけてたりとか。真逆よ、性格的には。
──瀬下さんも同じように「性格は真逆過ぎる」とおっしゃっていました。川原さんの魅力を語っていただいたので、今日はそれに対してのアンサー取材を行います。
川原 僕が相方のいいところをしゃべるんじゃないんですね?
──それも徐々にお伺いしていこうかと。
川原 それが一番キツいですね。出てくるかな、大丈夫かなあ。
──瀬下さんからはたくさん出てきました。
川原 そりゃそうですけどね。17年間、体張ったり大変な仕事たくさんしてきましたけど、相方のよさをしゃべるのが一番大変な仕事になるな、と。
──実はこの企画、断られるかと思っていたんです。
川原 一応「もうちょっと返事待ってくれ」とは言うてね、まあ渋々来ました。芸人は意外とシャイな方が多いから、みんなは照れ隠しでふざけたり貶したりしながら言うんでしょうけど、僕は単純に出てこないだけだと思うので。
──企画が終わってしまいます(笑)。瀬下さんは、開口一番「とにかく川原はおもしろい」と。
川原 そうでしょうね。
──「高校時代に、既に川原は出来上がっていた」とも。
川原 もっと言ったら、僕の脳みそ自体は小学校時代から変わってないですね。しゃべくりは得意じゃないのよ。大阪の人みたいに会話の中でおもしろくすることはなかったんやけど、ひとりで妄想とかして、ふざけてました。
基本的にまわりの9割ぐらいはマジョリティで成り立ってて、その中でちょけた人たちがクラスの真ん中でパーってやってるときに、僕は隅っこで「もっとこうしたらおもしろいのに」って客観的に見てました。
例えば、「みんなで一致団結して応援団をしているときに、急に怪獣が出てきて全員を食べたらおもしろいだろうな」とか。小学校のころはそれぐらいの雑な妄想でしたけど、今でもそれをやってるイメージです。上手におもしろいことをしてこなかった。
──上手に?
川原 おもしろいものを“手段”として、友達を増やすこととかに使える人たちは売れていってるじゃないですか。同期とか先輩とかにも「もっと上手にしたら売れるのに」とか言われるんですけど、「ずっと雑な感じが川原やんな」ってのがあって。根本的にお笑いを手段にしようって考えがないから、やり方が分かんないって言ったほうが早いかもね。
──今のお話、瀬下さんからのお話ともかなりリンクしていますね。川原さんの一番の魅力として挙げられたのが「自分を曲げない、物怖じしない」ところでした。まわりに何か言われても、曲げなかったから今の川原さんがいると。
川原 合わせていくのもいいことですけどね。たまたまお笑いっていう土台があるだけで、売れてる人たちとはジャンルが違うと思ってるんで、同期がいっぱいテレビに出てても何も思わないんです。「うらやましい」も「おもしろいなあ」もないですし、“無”です。
──“無”。ちなみに、瀬下さんの今のご活躍はどのように見られてますか?
川原 “無”ですよ。テレビ自体観ないんで、彼の出てるテレビとかも観たことないです。『(パネルクイズ)アタック25』(テレビ朝日)だけずっと観てたんですけど、最近終わっちゃってね。相方とはマネージャーが一緒なんで、活躍してるってのをスケジュール見て知ってはいるんで、ケガだけ気をつけてもらえたら。僕はエージェント契約ですけど、ネタは吉本の強みである劇場でやりたくて。コンビのネタは好きだからずっとやりたいけど、相方に首とか骨折されたらネタがだいぶ変わってくるので、それだけは勘弁してくれやという気持ちですね。
あとは、今まで(瀬下は)ピックアップされてなかったから、ネタだけの稼ぎだったんですよね。でも、ネタは全部僕が考えてるから、彼は脳みそを1ミリも動かさずに子供たちにご飯をあげてた。ということは、今まで子供たちは僕が育ててたってことになるので、「やっとお父さんにご飯食べさせてもらえた」っていうのを、子供たちが感じてくれてたらありがたいです。
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