先週の今日(6月15日)最終回を迎えた『大豆田とわ子と三人の元夫』。とわ子(松たか子)を大切に想いつづける三人の元夫たち(松田龍平、角田晃広、岡田将生)、親友のかごめ(市川実日子)を中心に、「何かが欠けている」人々のほろ苦いコメディは圧倒的な支持を集め、熱い余韻はまだつづいている。漫画家のオカヤイヅミは「おしゃれの優しさ」をテーマに、とわ子たちを振り返る。
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私はおしゃれに飢えていた
『大豆田とわ子と三人の元夫』が終わってしまった。
1話目を観た印象は、身も蓋もないことを言えば「なんておしゃれなんだ」だった。
状況が説明されるアバンタイトルは、優雅な音楽に乗せて語られる一週間の出来事のダイジェスト。そこでは、わかりそうでまだわからない理由で主人公が困っている。音楽は盛り上がり「そんな今週の出来事を今から詳しくお知らせします」というナレーションの直後、画面のこちら側に向けて主人公はタイトルを叫ぶ。
この型は毎話踏襲される。おしゃれだ。
そしてちょうど、私はおしゃれに飢えていた。もともと自宅で仕事をしているフリーランスでひとり暮らしなので、毎日会社や学校に出かけていた人よりはひとりきりへの耐性がある。なんなら楽しむ術も知っている。
それでも「コロナウイルスの影響で」がもう枕詞みたいになってきたことも、人になかなか会えないことも、外食がしづらいことも、やっぱり私を「現実の野暮!」みたいな気持ちにさせる。
寂しさを大事にすることができる
そういうシオシオしたときに「おしゃれ」は大変よく効いた。おしゃれには作為と間接的な表現とタイミングが多く含まれているから、私はそこに人の気配を感じたのかもしれない。
誰かができるだけ素敵な物を作って世界に向かって伝えようとしている、と感じられるのはうれしい。
このドラマに出てくる登場人物たちはだいたい裕福で、ちょっと余裕がある。でもみんなどこかは欠けている。もちろん私も。ラジオ体操のあそこで人と合わなくなる感じや、床に落ちたパスタが拾いづらいことも、網戸が外れると厄介なことも知っている。親や親しい人の不在と生活の中で突如現れる寂しさのことも。オーケストラのテーマ曲が聞こえ、テンポよく皮肉の効いたナレーションでワンクッション置かれてようやく私は今その寂しさを大事にすることができる。

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