『ヴィンチェンツォ』7話「美しく誘惑的な瞳に乾杯」(イタリア語)…ハードな手口とソフトな手口の差が激し過ぎる男!
『愛の不時着』超えを噂される大人気ドラマ『ヴィンチェンツォ』を韓ドラ大好きライター・大山くまおが各話を解説する土曜日。ヴィンチェンツォとホン・チャヨンのバディがしっかり関係を固めて大展開の7話の興奮をもう一度(7話までのネタバレを含みます)。
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世界一乳酸菌飲料をカッコよく飲む男
イタリアからやってきたマフィアの顧問弁護士が、韓国の悪辣な大企業グループと戦う韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』。背景も交えて1話ずつじっくり振り返っていく。今週は第7話。
「証人のヴィンチェンツォ・カサノさんです」
バベルグループの中でも悪質なバベル化学。化学物質BLSDを垂れ流して研究員を血液がんで死なせた上、病院を買収して偽の死因をでっち上げていた。原告団の弁護を買って出たホン・チャヨン(チョン・ヨビン)は切り札の証人としてヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)を法廷に呼び込む。
世界一乳酸菌飲料をカッコよく飲む男、ヴィンチェンツォは証言台に向かって歩いてくるだけでサマになる。チャヨン相手にアイコンタクトする様子は、もはや長年のバディのよう。
ヴィンチェンツォが法廷に現れたのは、バベル化学関係者に暴行した加害者としてだった。酒を飲みながら被害者家族の悪口を言うバベル化学関係者のテーブルに殴り込み、まったく躊躇なく相手を殴ってテーブルを蹴倒す。これぞ悪人の手口。日本の地上波ドラマで主人公が同じことをやったらクレームが殺到するだろう。
ヴィンチェンツォが外した腕時計は「タグ・ホイヤー モナコ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ」。公式サイトでは「反骨精神を象徴する時代のシンボル」「ビンテージ性と現代性を兼ね備えています」と銘打たれている。権力に堂々と逆らい、1950年代のフィルム・ノワールの雰囲気を漂わせながら現代の韓国ドラマに現れたヴィンチェンツォにぴったりだ。とはいえ、彼はいくつもの高級腕時計をつけ替えている。
決定的な証拠として、さりげなく奪い取った研究開発部長の携帯を提出するヴィンチェンツォ。バベルグループの弁護を担当する悪徳弁護士、チェ・ミョンヒ(キム・ヨジン)もうろたえるばかり。ヴィンチェンツォの鮮やかな手口はまだまだつづく。
妻にボコボコにされる院長は『梨泰院クラス』のあの人
チャヨンが呼び込んだ次の証人は、悪徳病院のキル院長(ホン・ソジュン)の妻であり、成人白血病の最高権威でもあるキム・ヨウォン(ユヨン)だった。「誰?」と思ってしまうが、結論を見せて視聴者を驚かせたあと、すかさず経緯を見せていく手法がうまい。
彼女こそ、「敵の敵を友にする」と言っていたヴィンチェンツォの戦略にぴたりと当てはまる人物だった。美術館でドラクロワの『民衆を導く自由の女神』を見ているヨウォンに接近するヴィンチェンツォ。さらに夫の女性関係とカネ回りの裏切りの証拠を見せながら、女性を感情的にさせるのではなく、「あなたの知性を見下した点に腹が立ちます」と女性を立てて理性的な復讐に導くところがおもしろい。そして決めゼリフ。
「美しく誘惑的な瞳に乾杯」(イタリア語)
さっき男たちをぶん殴って酢をかけていた男とは思えない。ハードな手口とソフトな手口の差が激し過ぎる。
ヨウォン役のユヨンのインスタグラムより。ソン・ジュンギの笑顔が眩しい
法廷でも理性的な妻に対して、感情的になるのは夫のキル院長のほうだった。
「よくも夫にこんなことを! お前がいくら賢くても俺は家長だ! 頭脳明晰な一家の主を破滅させるのか!」
権威だけを振りかざし、ひとつも筋が通っていない。妻は夫に水をぶっかけてビンタをかまし、マイクでも殴打。ロジックでも腕力でも女性のほうが圧倒的に上なのが可笑しい。キル院長役のホン・ソジュンは『梨泰院クラス』でチャン・デヒ会長に仕える冷静沈着なキム室長を演じていた俳優。
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