遅く起きた日曜日に、憧れの“寿司折”を求めて近所をウロウロする
スズキナオ 遅く起きた日曜日に 第12回 憧れの“寿司折”を求めて近所をウロウロする
寿司が食べたいと思ったら私は近所の回転寿司に行く。「はま寿司」という大型の回転寿司チェーンが徒歩圏内にある。あるいは自転車に乗って少し行ったところには「くら寿司」もあるから、そのどちらかに行く。
近所を散策しているとそういうチェーンではなく、回転しないほうの寿司屋さんもちらほら目に入る。しかし私はそういう店に入る勇気がなく、「まあ、いずれ行くこともあるだろう」と未来の自分にタスキを渡す感覚で通り過ぎてしまう。
近所を少し歩いただけでこんなにたくさんの寿司屋さんが見つかる
ある日、昼ごろに目覚めると窓の外からポカポカと暖かい日差しが入ってきており、ベランダに出て見上げると空が青かった。
「そうだ。こんな日は外でお寿司を食べながら日向ぼっこをするのはどうだろう」と思った。回転しない寿司屋さんでも、持ち帰りだったら利用しやすいのではないか。お任せで握りを何貫か詰め合わせてもらう。「寿司折」というやつだ。酔っ払ったお父さんがお土産に持って帰ってくるあれ。食パンを加えて学校へ急ぐシーンぐらい定番のイメージなのに、実際どこで見たものなのかは一切思い出せないあれ。
どこに行けばそれが手に入るのかパッとイメージすることはできないが、近所の寿司屋さんを片っ端から巡ればなんとかなるんじゃないかと思う。
外をしばらく歩くといつも行く「はま寿司」が見えてきた。
「はま寿司」でだって好きなお寿司の詰め合わせ持ち帰りで購入することができる。それは知っているのだが、今日はそういうのじゃないものが食べたいのだ。先を急ごう。
近所の「桜通商店街」を歩く。たまにしか歩くことのない商店街なのだが、寿司屋があったようななかったような……。
総菜を売るお店とうなぎ店が隣り合っていて、ここには何度か立ち寄ったことがある。しかし今日は違うのだ。
商店街には寿司屋さんは見当たらなかったが、その少し先に「喜楽すし」という店があった。「うんうん! 確かにこの辺に寿司屋あった気がしてた!」と脳内の自分が叫ぶ。
しかし、残念ながら見ての通りシャッターが降りている。夕方以降に営業を開始するようだ。
気を取り直してさらに歩いてみよう。大通りに出てしばらく行くと「すし中」という店が見えてきた。
看板に貼られたメニューを見ると「にぎり盛合せ」「すし盛合せ(にぎりと細巻の盛合せ)」がそれぞれ1,000円。「そうそう! そういうのが欲しかったんだ!」という感じだ。
しかし、このお店は基本的に17時からの営業で、お昼は事前に予約をしないといけないとのこと。こちらもあとで検索してみると、広い店舗内に大きないけすがあって、お客さんがそこから魚をすくってさばいてもらうこともできるような、宴会が盛り上がりそうな店であった。
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