Netflix配信中の『アンという名の少女』は、原作『赤毛のアン』に現代的解釈を加えた作品として注目されている。NHKで先週放送された第3話「私は罠(わな)にはかからない」(Netflix版2話)では、原作でも有名な「紫水晶」事件をベースに思わぬ展開に。ゲーム作家・米光一成はアドベンチャーゲームの構造を参照して読み解く。
マシュー「その子は私の娘だ」
『アンという名の少女』NHK総合で今夜11時から第4話放送だ。
前回の第3話は、驚くことにほぼドラマ版オリジナルな展開を見せた。
紫水晶(アメジスト)のブローチが見つかるが、時すでに遅し。アンは馬車に乗って出ていってしまった。マシューが馬を駆って駅に到着したときには、列車はもう出たあとだった。
マシューは活きのいい馬を借りようとするが断られ、通りがかったサムの馬車の荷台に乗せてもらって港へ。親の形見の懐中時計を質に出して船賃を得るが、アンに似たうしろ姿に惑わされて馬車道へ飛び出し、ぶつかり、倒れ、馬車の窓に後頭部をぶつけて気を失う。
一方、アンも到着した駅で誘拐されそうになったり、元いた孤児院に辿り着いても中に入る気にはなれずに野宿の大冒険。
孤児院でアンを見つけられなかったマシューは、翌日、駅のホームでアンを見つける。
アンは、ホームの人に詩の暗唱を披露して、旅費を稼いでいたのだった。
「戻ってきてくれ」というマシューに、アンは心を閉ざす。「もう私のことは放っておいて」
言い争ってるふたりを見てホームにいる男が、勘違いしてアンを助けようとする。
マシューは「その子は私の娘だ」とはっきり言う。アンはマシューとグリーン・ゲイブルズに帰っていく。
第3話のここまで、原作にはまったく存在しない展開だ。
原作『赤毛のアン』の紫水晶(アメジスト)のブローチ事件は、ピクニックに行かせてもらえなくなりそうになるだけで、しかもピクニック当日の午後2時にはブローチが見つかって行けちゃうのだ(第14章)。
だが、原作を無視して展開している印象はない。とても巧妙に作られている。第1話(Netflix版1話前半)は見事なまでに原作にほぼ忠実に展開していく。第2話(Netflix版1話後半)で原作のエピソードを使いながらちょっとだけずらし、『赤毛のアン』から少しずつ『アンという名の少女』モードへシフトチェンジしていって、第3話で大胆に異なる展開に持っていく。持っていきながらも、原作ファンには、あのシーンのあの地点に戻ってくることが推測できる。
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