『リモ止め』『12人の優しい日本人』『でんぱ組.inc』NHK『テレワークドラマ』……進化するリモートエンタメの勢いを止めるな
あらゆるエンタテインメントが中断に追い込まれている。だが負けない。自らもボードゲームの可能性をリモート配信で探りつづけるゲーム作家・米光一成が、グッときた映画、ゲーム、演劇、テレビドラマ、音楽のリモートワーク作品10タイトルを紹介する。
『リモ止め』大成功、映画からの「現場の再起」というメッセージ
上田慎一郎監督が、急遽18日間で製作したのが『カメラを止めるな!リモート大作戦!』。5月1日にYouTubeで公開された。
2018年に大ヒットした映画『カメラを止めるな!』でおなじみの面々が登場し、リモートで実録犯罪ドラマ「実録!!!珍犯罪ファイル」を製作する難局に挑むドタバタコメディ。
くすぐり魔の自撮り映像とくすぐられている人の自撮り映像をモンタージュし、自分の手をくすぐり魔の手に見立てて演技するバカバカしさ(『死霊のはらわた』リスペクト!)を軸に、参加型映像を絶妙なタイミングで入れてくる。
あまりのバカバカしさに笑ってしまうし、「現場の再起」というメッセージもしっかり伝わってきて最後に泣ける。
今でしか作り得ない、今観る意味のある短編作品になっている。
ぜひ、観て、笑ってほしい。
「緊急事態宣言」が発令され、新作映画の撮影延期が決定した鈴木太一監督は、現状の自分を、Zoomの画面を2分割し、もうひとりの自分と対話するという方法で戯画化してみせた。うじうじする自分と、けしかける自分が、画面越しに対話し、あらぬ展開になっていくシリーズ作品。
参加型で楽しむ『のぞきみカフェ』『テレゲーム研究所』『遠隔ボドゲ』
リアル脱出ゲームで有名なSCRAPの緊急放送枠で、きださおりが『のぞきみカフェ』をZoomで仕掛けた。 Zoomを使って会話している男女を「のぞきみ」するイベントだ。
ふたりの役者がそれぞれの部屋で会話している様子を演じ、それをZoom経由のYouTubeライブで生配信する。
のぞきみしている参加者は、ふたりの会話や映し出されるモノから、ふたりの会話の裏側にある背景を、推理し、検索し、調査する。
SNSを使って、視聴者がメッセージを送ったり、モノを届けたりすることもでき、それが物語を変えてしまう。
視聴者が物語に介入できるネットならではの没入度の高いインタラクティブなゲーム・ドラマを実現した。
『テレゲーム研究所』は、”テレゲーム《画面越しで対面しながら遊べる新しい遊び》を研究、開発するクリエイター集団”。
『まちがいクリエイト』『球舞(きゅーぶ)』『四人の怒れる男』などZoomで遊ぶゲーム動画をあげている。
ぼくも、アークライト『遠隔ボドゲ』シリーズとして『あいうえバトル』というゲームを公開している。
シンプルな言葉のバトルゲーム、ぜひ遊んでほしい。