動画クリエイターが「公人」に。2020年はインフルエンサー時代の転換点となるか(UUUM鎌田和樹)
外出自粛がつづくなか、改めて感じることと言えば「YouTuber」の影響力だ。トップYouTuberのHIKAKINは4月10日、小池百合子東京都知事との対談動画を公開。ほかにも、東京都が発する注意喚起の呼びかけ役としてCMにも協力するなど、もはや「公人」とも言えるような立場で、感染拡大防止に向けた情報発信の一翼を担っている。
YouTuberのほかにも、ツイッターやインスタグラムで「インフルエンサー」と呼ばれる仕事が生まれた2010年代。2020年代には、これらはどう変化していくのだろうか。
HIKAKINや水溜りボンドなど有名YouTuberたちの数多くを擁するUUUM株式会社の鎌田和樹が、これからの「インフルエンサービジネス」について考える。
コロナを経て「研ぎ澄まされていく生活」への期待感
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、UUUMは4月より「完全リモート体制」で業務を進めている。3月末にはドタバタしていたが、少しずつ自宅の作業環境を整え、今ではオフィスと遜色ない環境を作り上げることができた。
さて、今の完全リモート体制となり1カ月。僕が感じているのは、リモートでの業務を通じて、さまざまな人や物が「研ぎ澄まされていく」ことへの期待感だ。
人でいうと、ミーティングに参加しても発言しない「謎の参加者」がリモート会議では不参加となることが多くなった。必要最低限の人数で議論を進めることができるし、よけいな気を使う必要がないため、非常にやりやすさを感じている。
物でいうと、僕は4月に入ってから服を1着も買っていない。例年であれば春物を何着か買ってしまうタイミングだが、外出をしないので手持ちの服だけでじゅうぶんだし、消費をせずにやりくりできている感覚が、健康的でとても気持ちがいい。
また、最近は「オフィスもいらないかも」と思い始めている。リモートで滞りなく仕事が進められるのであれば、移動時間はただの無駄だ。安倍首相も5月4日の記者会見で「新しい生活様式を」と語ったが、企業にも同じことが言えるだろう。人数が少ないベンチャー企業であれば、「WeWork」のような賃貸ではないオフィスの在り方も、これからのスタンダードになっていくのかもしれない。