原因は自分にある。が描く唯一無二の世界。ライブが映した“げんじぶらしさ”
7人組ダンスボーカルグループ「原因は自分にある。(通称:げんじぶ)」が『ARENA TOUR 2026 仮ノ現(カリノウツツ)』を、6月27、28日に兵庫・ワールド記念ホールにて、そして7月4、5日に東京・有明アリーナにて開催した。
豪華なセットリスト、アリーナという空間を存分に活かした演出、厚みのあるパフォーマンス、目まぐるしく変わる衣装。五感に訴えかけてくるそのすべては、観測者(原因は自分にある。のファンネーム)にとって、「こうだったらいいのに」と描いた理想が凝縮されたような時間だった。
本稿では、7月5日昼公演のライブレポートをもとに、原因は自分にある。の魅力を紐解いていく。
わずか5秒で心を奪う両極端な表情
会場へと足を踏み入れると、スクリーンには仮想世界を彷彿とさせる映像が映し出される。客席に設置されたフライヤーによると「GNJBの7人は、最先端AIを用いて仮想世界『GEN(GNJB Extended Noosphere)』を創り上げた」とのこと。
「いったい、これからどんな仮想世界を見せてくれるのか」と考えながらオープニング映像を見ていると、突如として強い光が放たれる。そして一気に照明が落ち、流れたのは、グループのデビュー曲でもある「原因は自分にある。」のイントロだった。
パフォーマンスが始まってもなお、ナポレオンジャケットを身にまとう7人の表情の揺れはあえて控えめで、真顔に近い。それゆえ、思うように読み取れない7人の感情を少しでも読み取りたいと凝視してしまうのだが、サビの「原因は自分にある。んだって」の部分で突然満面の笑みを見せるものだからドキッとしてしまう。

さらに驚くのは、これだけではない。笑顔でターンをした彼らが、それを幻想だったかのように思わせる冷ややかな表情で振り返るという、わずか5秒で行われる両極端な表情の切り替えだ。
もしも、彼らのことが気になっているという読者がいるのなら、どうかこの1曲目だけでも配信、あるいはYouTubeに投稿されている過去のパフォーマンス映像で見てほしい。そこで気になってしまったら、それ以降のライブも楽しめること間違いないからだ。
げんじぶの世界へようこそ
そんな1曲目に続いて披露されたのは「2択 2択 2択」のコールや推しているメンバーの色に合わせてペンライトを上げるのが楽しい「嗜好に関する世論調査」。会場の一体感が一気に増す楽曲だ。ここで一気に彼らが作り上げた世界に観測者を巻き込む。
大倉空人の力強い煽りで始まる「Joy to the World」では、曲の中盤にセンターステージへ。有明アリーナという大きな会場の中心で、より多くの観測者を巻き込んだ。
ここまで3曲、とにかく会場のテンションを上げていくのだろうかと思いきや、披露されたのは雰囲気をガラッと変えたバラード「ラベンダー」のピアノVer.である。メンバーは、よく観測者へのあいさつの際に「観測者のみんな」ではなく「観測者の貴方」と一人ひとりに語りかけるように話してくれるのだが、「ラベンダー」はまさに観測者一人ひとりに届くような切ない歌詞が魅力の楽曲。
げんじぶらしさを示し、巻き込み、没入させる。そんなパワーを秘めた冒頭の4曲で、彼らの描く“仮想世界”へと誘ってくれた。

“表情管理1000%”の真骨頂
グループのオフィシャルサイトで「『シニカルな世界観・表情管理1000%のアイドル』など両極端にパラメーターを振り切った表現を自在に操る」と、ライブについて紹介されているげんじぶ。
このライブでも、パフォーマンス、そして楽曲のバリエーションの多さに驚かされたものだ。たとえば、一度ステージを捌けたあとでダンサーを引き連れてみせた「in the FATE」「Paradox Re:Write」では、アツいステージで会場のボルテージを一気に上げ、直後の「余白のための瘡蓋狂想曲」では高難易度のダンスを全力で披露。


ライブの後半の「愛無常」ではステッキを使うことで、大人びた雰囲気を演出。「美しい人」では、ハンディカムを使用してグッとメンバーとの距離を近づけることで、まるで叶わない恋をしているかのような追体験をさせた。
表現力を堪能する上で一番に推したい楽曲は、やはり「Mania」だ。狂気的な愛を表現するかのように、高笑いしたり、にたーっとゆっくり口角を上げたりする表情を見て、「なに!?」と惹きつけられること間違いなし。さらに、2026年3月にリリースされた「ニヒリズムプリズム」サビでの笑顔と冷酷な真顔の緩急もたまらない。
どの楽曲も印象は異なり、その中で見せる表情もそれぞれ。しかしながら、そのどれもが間違いなく“げんじぶらしい”と感じさせるのだから不思議だ。

ギャップさえ、魅力になる
げんじぶといえば、曲ごとに緻密に決められた世界観があり、メンバーがそこに合わせた表情を見せるのが魅力のひとつ。しかし、それだけではないのがこの7人の強さだ。
楽曲披露の場ではキュート&パワフルでありつつも、MCに入るとグループの“ママ”となる大倉、圧倒的覇王感のあるダンサブルな一面からは想像できないチャーミングな“チャハ”笑いが魅力の長野凌大、“レベチイケメン”という肩書から圧倒的二枚目キャラかと思いきやおしゃべりが大好きな杢代和人を筆頭に、よくしゃべる。



7月5日昼公演のMCでは、メンバー7人の母親たちが行った食事会の話で盛り上がっていた。
そこでバラされたのは、メンバー間で共有した秘密を大人っぽく物静かな雰囲気を持つ吉澤要人がすべて母親に話しているという疑惑について。これには吉澤、少々クールさを欠いて反論。その表情は、パフォーマンスとは打って変わってあどけない印象だった。
また、公演の後半に行われた2度目のMCでは、吉澤がビリヤードをする演出で失敗していたとの話題で、口数が少なめな小泉光咲が意気揚々と「失敗してました!」と手でバツを作り話し出し、そこからメンバーがビリヤードの球の動きを全身で表現するというカオスな状況に。
また、トロッコに乗って観測者の声援に応える姿もまた、それ以外の楽曲とは異なるかわいらしさを見せていた。「チョコループ」で少年のように満面の笑みを浮かべ、うれしそうに跳ねる武藤潤や、できるだけ多くのファンと目を合わせようとトロッコの上でしゃがむ桜木雅哉の姿が印象的だった。
さらに桜木は、そんなトロッコタイムのことを「いや〜……いい気分ッスねぇ〜」と、彼の代名詞(?)でもあるイキったひと言でコメント。大人っぽい外見だが、そんな発言さえ観測者、そしてメンバーから甘やかされる姿は正真正銘グループの末っ子だ。




夢で終わらせない理想郷
まるで観測者の理想を詰め込んだようなライブ『仮ノ現』は、メンバーが去ったあと、打ち上がる花火までの時間を「夢を見ていたのではないか」と思わせるパワーを秘めていた。

その一方、ただの理想郷ではないと思わせたのは、先述したフライヤーに綴られていた言葉である。
「世界は完璧だった。僕たちはもっと良くできると思っていた。手を伸ばせば変えられる。願えば答えてくれる。その反応が嬉しかった。だから何度も世界を書き換えた。/もっと届くように。もっと愛されるように。もっと先へ進めるように。」
これは彼らがコロナ禍に配信で見せた『仮想げんじぶ空間』から地続きの世界だったのかもしれない。
グループコンセプトに「2次元と3次元の架け橋的な存在をも体現する」と掲げる彼らの軸は、7年を経た今も変わることない。それを支柱に「もっと届くように。もっと愛されるように。もっと先へ進めるように。」との一心で、表現の引き出しを増やし続け、極め続けているのだろう。

これから先も唯一無二の世界観で、きっとより多くの“貴方”の人生の「原因」になる。そう確信させられたステージだった。





