NSC卒業時の『大ライブ』で優勝、芸歴5年目以下の賞レース『UNDER5 AWARD』で初代王者となった金魚番長。2023年には『マイナビ Laughter Night第9回チャンピオンLIVE』で優勝、2024年は『M-1グランプリ』で準決勝に初進出。デビューから順調に、賞レースで結果を残して続けている。
そんな輝かしい経歴を持つ一方で、『ABCお笑いグランプリ』では2年連続ネタ以外のパフォーマンスで注目を集めたり、古市勇介が失踪事件を起こしてファンをざわつかせたり……。単独ライブ『ぐちゃぐちゃ』真っ最中のふたりに、いろんな出来事のあったここ最近を振り返ってもらった。
金魚番長
箕輪智征(みのわ・ともゆき/1994年9月12日生まれ、東京都出身)と古市勇介(ふるいち・ゆうすけ/1994年4月15日生まれ、東京都出身)によるコンビ。『NSC大ライブTOKYO 2019』優勝、『UNDER5 AWARD 』初代王者。『M-1グランプリ2024』では準決勝進出

目次
僕らがエバースに勝つには、全部大ウケしないと
──おふたりが決勝進出された『第46回ABCお笑いグランプリ』、盛り上がりましたね。惜しくも優勝は逃されましたが。
古市勇介(以下、古市) ありがとうございます。
箕輪智征(以下、箕輪) いやいや、惜しいとはいえないですけど。結果としては大負けも大負けでした。
──決勝前はおふたりとしてはどんな感触でしたか?
箕輪 エバースさんと同じブロックになったのはめっちゃ嫌でしたけど、でも「これ勝ったらけっこうヤバいことになるぞ」というのは自分の中でありました。ヤバいことにはならなかったですけど……。
古市 優勝するには、どうせ誰かしら倒さなきゃいけないわけで。ブロック分けの運不運はまあしょうがないなと思いました。めっちゃ自信があったというわけでもないですけど、いけるかもしれないな、とは思っていました。
──実際に漫才をしていた最中は?
古市 僕はもう、けっこうひとつ目のボケで「これは(直前のエバースに)空気持っていかれてるな、いつもよりはウケないな」と思ってました。でも、まあそう思えるくらいリラックスはしてました。
箕輪 僕は、漫才終わった瞬間は「これ(エバースと自分たちと)どっちかな」くらいで、あんなに大差で負けてる感覚はありませんでした。ただ振り返ると、僕らのネタの性質上、もっと何度も拍手笑いを起こさないと、エバースさんみたいなネタには勝てないんだろうなと思いましたね。僕らは細かく、短いスパンで笑いを取っていくかたちなんですよ。だからエバースさんのように軸がしっかりした漫才に勝つには、もう全部大ウケしないとダメなんだろうと。そこはめっちゃ思いました。

順風満帆だからこそ、ついていけているか不安
──箕輪さんはほかのインタビューでも「漫才の構成が得意ではない」とおっしゃっていますよね。でも最近のおふたりの漫才は、もちろん大喜利的な強さもありつつ、けっこう軸があるというか、1本として強い感じがしますが。
箕輪 ほんとですか、ありがたいです。最近ある程度忙しくさせてもらってて、以前よりネタを作る時間がないというのもあって……。そういう、ひとつ軸があるネタのほうが多くなってきている感じは自分でもあります。でもやっぱりコント漫才なので、段積みでは笑いが取れないんですよね。
──コント漫才である限りは、宿命的に?
箕輪 わかんないっすけどね、僕はそんな感じがしています。というか、雑多なのが好きなので、できればいろんな角度からパンチを打ちたいというのもあって。正直、本当はあんまり軸とかも作りたくないんですけど。
──本当は一発一発の強さを集めるかたちでやりたい。
箕輪 はい。本当はそれがいいんですけど、賞レース向けにどんどん削がれていって、現在のかたちになっているかもしれないです。
──古市さんは、ネタの変化を感じていますか?
古市 以前から僕ら、けっこういろんなタイプのネタをやっていて。ここ2、3年で「こういうほうが自分たちに向いてるな」というのが、なんとなくわかってきた感じがしますね。受け入れられやすい、伝わりやすいネタが見えてきたというか。だから必然的に賞レースとかの大事なときに選ぶのはそういうネタになってきましたね。

──まわりからもよく言われると思いますが、金魚番長のおふたりはこれまですごく順調に歩みを進めているコンビですよね。『NSC大ライブ』優勝、『UNDER5』優勝、『ラフターナイト』優勝もそうですし、2024年は『M-1』準決勝進出。このトントン拍子加減を、ご自身ではどう捉えていますか?
古市 でもそんな、順風満帆だなって感じでもないですね。『M-1』ではけっこう負けてきてるんで。
箕輪 僕的には順風満帆(笑)。だいぶいい感じに来てるなっていう。早いなって感じはしてます。だからそれが不安材料ではあるんですけど。早すぎて、ついていけるか。
──ついていけるか、ですか?
箕輪 芸歴を重ねてから結果を出し始めた人って、そこまでの蓄積があるから、上のレベルの人たちとすぐに同等に戦える。でも僕らは早いから、ちゃんとそこに追いつけてるのかなと……。こんなに評価されているのは逆に怖いな、と不安を感じながら毎回賞レースとかに挑んでます、僕は。
──それは、たとえば平場についても感じることですか?
箕輪 平場のことは正直あまり考えたことがなくて、とにかくやってみるスタイルなので。これはネタについて思うことですね。「これって結果が出てるからウケてるボケなんじゃないか、昔だったらウケなかったんじゃないか」とか、考えたりします。
──一方、古市さんはそもそも、順風満帆ではない、と。
古市 負けた記憶もけっこうあるので。自分が負けず嫌いというのもあって、そっちばっか残っちゃうんですよ。『M-1』は決勝に行けてないし、とか思っちゃうんですよね。

“古市失踪事件”は「避けて通れない話題」に
──現在、おふたりは単独公演『ぐちゃぐちゃ』の最中ですね。名古屋公演を終えて、大阪公演が控えています(取材は7月上旬に実施)。
古市 名古屋はもう大盛況で。ネタもVTRも盛り上がりました。だいぶボリューミーで、16分くらい押しちゃって。
箕輪 楽しんでもらえたと思います。今回も、ネタにもVTRにも力を入れてます。
古市 VTRは、僕を日光に置いていくというもので。
箕輪 ここで内容を明かしちゃっても大丈夫なくらいおもしろいVTRです。
──話題になった4月の古市さん失踪事件に絡んだVTRですね。あの事件は金魚番長にとって大きな危機だったと思いますが、芸人仲間からイジられまくり、結果的には最強のエピソードになったのでは?
箕輪 人としては最弱になりました。
古市 僕らを語る上で避けては通れないですね。できれば避けてほしいですけど。『ABC』の決勝に行けたので、ネタに影響がないんだとわかったのはすごくよかったです。本当に行けてよかった。昨年一度決勝に行っているので、ここで落ちたらもう絶対僕の件が影響しているって思われちゃうじゃないですか。だから本当に全力でやりました。もちろんいつも全力なんですけど、いつも以上に。
──昨年の『ABC』では、ネタもさることながら「ワンピース歌舞伎」の扮装でエンディングに登場したことで注目を集めましたね。今年のゆってぃさんはいつごろから準備されたんですか?
古市 あれはもう、本当に直前ですよ。全然やる気なかったんですけど、いろいろあって。エゴサしたら、ネタのことは少ししかなくて、本当にゆってぃのことばっかでした。
箕輪 去年は1本目終わりで、「2本目ワンピース歌舞伎やるんで」と言って、そのままワンピース歌舞伎の格好をして。今年はブロックの結果発表のときに流れで「2本目『ホームラン競争』やります」「松井秀喜じゃねえよ」みたいなこと言ってしまったんですけど、このまま松井秀喜で出ていって、去年と同じパターンで大丈夫なのかな?と、ぐるぐる考えた結果、訳のわからないことになってしまって。やめようかとも思ったんですけど、気づいたときには『ABC』の衣装さんがゆってぃさんの服にアイロンをかけていたので。
古市 引き返せなくて。本当にやりたくなかったです。
──おふたり以上に衣装さんが前のめりに……。
箕輪 衣装さん、すごかったです。というか『ABC』さん全体が。事前の会議の一議題として「ワンピース歌舞伎が発動した場合」みたいなのがあって。
古市 「ワンピース歌舞伎発生時のプログラム」とかって、災害みたいな扱いでマニュアルができちゃってて。事前にかなり確認されたんです。やリますか、やりませんかって。あれは相当自分たちの首を絞めてますね。早く解放されたいから、もう優勝するしかない。
──あれは、誰が優勝したとしてもやるつもりでしたか?
古市 そうですね。いやあ、怖かったですよ。後輩の家族チャーハンが優勝したら一番申し訳ないなと思ってました。でももう準備してたので、しょうがないですこれは。かが屋さんでもやってました。でも、去年より時間を奪っちゃって。
箕輪 エバースさんには本当に申し訳なかったです……。

『M-1』は「じゅうぶん今の実力で決勝に行ける」
──賞レースに強いエリートというイメージがありながら、もう片方ではお騒がせなコンビという面も最近強くなってきた感じもありますね。
古市 “荒らし”というかね。そもそもふたりとも、エリートとして歩んできた人生じゃないんで。本来泥まみれのタイプなんで、そういうところが出てきちゃったんでしょうね。
箕輪 エリートの佇まいがわからないんですよ。
古市 エリートであることを否定すると謙虚とか言われるときもありますけど、別にそんなつもりもないです。本当にそんなんじゃないんで、って思ってる。
箕輪 そう、エリートでは全然ない。
古市 ただ漫才の結果が出ちゃってる、というのもなんですけど。
──『M-1』についてはどうでしょう。古市さんは「負けている」という認識のほうが強いとのことでしたが、去年は準決勝に初進出しました。手応えはありましたか?
古市 準決勝での反応がけっこうよかったんですよ。「あれ、これ行ってるのかな?」と思ったりしましたし、結果的には行けなかったけど、決勝まで遠くはないなって思いました。敗者復活戦も最後の3組まで残ったんで、「行けるんだな、今の実力で」って。だからこそ悔しかったです。
箕輪 僕も準決勝のとき、行ったかもって思いました。でも決勝観てたら「これ今年行かなくてよかったかも、行ってたらやばかったかも」と。
古市 全員強すぎてね。
──そんな去年を経て、今年はかなり期待されていると思いますが。
箕輪 でもやっぱ、去年のエバースさんは僕らの比じゃないくらい期待を寄せられてたんですよ。 だからそこまででは全然ないなって感じです。
古市 そう、敗者復活戦のネタのYouTube再生数とかも、僕ら10位くらいでしたし。ちょうどいいくらいだなって思ってます。
──今年の単独で、『M-1』の勝負ネタはできた手応えは?
箕輪 それは、まあなりそうなのがあります、まだわかんないですけど。
「レベルが高すぎる」最近の後輩たちへの危機感
──金魚番長さんは芸歴1年目から注目されてきましたが、最近特に、芸歴の浅い若手が活躍する場が増えているように思います。年下、後輩という立場が多かったおふたりにとって、より若い後輩が元気な今の状況はどう捉えていますか?
古市 すごいなと思うし、悔しくもあります。『ABC』でも家族チャーハンがブロックを勝ち抜いて普通に悔しかったですよ。手放しでは喜べなかった。これまでまわりが先輩だらけでしたけど、こうやって賞レースで後輩に負けることもあるんだって。後輩に負けたら言い訳きかないし。
箕輪 もちろん負けたくないし、負けないと思いながらやってますけど、レベルがもうやばいっす。みんなおもしろい。
古市 『UNDER5』で今年優勝した、あなたとネと昨日一緒でしたけど、おもしろかった。
箕輪 平場もちゃんとおもしろくて。
古市 あれすごいよな。
箕輪 本当、何をどうしたらあんなに最初からネタも平場もちゃんとできるんだろうって。伝書鳩もおもしろいし。あいつらがコントでよかったなって思います。漫才師だったらやばかった。
古市 だから家族チャーハンとか本当やばいですよ。例えば炎とか。
箕輪 ボブのコーラもおもしろい。
古市 兄弟の体制とも仲いいので、『UNDER5』は応援してたんですけどね。
箕輪 僕も紅葉に「アドバイスください」と言われて一緒にネタを作ったりしていたので。決勝観ながら「これ行けるかも」と思いましたけど。
──そうやって力のある後輩たちが増え、少しずつ自分たちが先輩になってきて、一番下の世代ではなくなってきた感覚はあるわけですね?
箕輪 いや、まだ一番下の世代だなって感覚はあります。
古市 え(笑)?
箕輪 まわりには上の人たちしかいない場がほとんどなんで。しかも先輩たち、僕らのことずっと5年目だと思ってるみたいで。
古市 あ、それはたしかにそうなんですよ。ふたりとも後輩っぽいのかな。
箕輪 このままできる限り「5(年目)の顔」をしていたいと思います。

『M-1』では平場ではなくネタで結果を残す
──最後に、おふたりの今後の野望を。
古市 『M-1』はここ何年かのうちに優勝したいです。何回も連続で出るのは厳しい大会なので、そんなに時間かけたくない。2、3回で決めたい。そして有名人になる。
箕輪 うん。
──有名人としてのゴールは?
古市 これはいつも言ってますけど、アイドル番組のMCです。お茶の間にちゃんと覚えてもらう。
箕輪 ハリウッド。
古市 ハリウッドぉ?
箕輪 ハリウッド映画の吹き替えとか。
古市 あ、それは本当いいわぁ、ゴールだわ。吹き替えとかナレーションとかやりたいっすね。
箕輪 古市ナレーションいいじゃん。
古市 うん。あと歌とかも歌いたい。
──優勝しても、漫才は変わらず?
古市 それはもちろんやりたいですね。
箕輪 はい。
──NGK(なんばグランド花月)の看板を目指す人もいますが。
古市 もちろん出番があるのはうれしいですけど……。
箕輪 なれないと思います。僕らはめっちゃスベったりもするので、責任負えないです。
──ちなみに、『ABC』では「何かをやる人」というイメージがつきましたが、『M-1』の決勝に出た暁には、やはり平場で何かを……?
古市 それはやんないです! マネージャーの桑子さんにも「それだけはやめてください」とすでに言われているので。『ABC』をナメてるわけじゃないんですけど、そこは違う。
箕輪 そんなことしたらみんなが『M-1』という大会を目指さなくなってしまうので。そんなことするのはおかしいですよ。俺らが目指してきた大会じゃないですよ、そんな大会は。
古市 『M-1』では絶対変なことをやらない。ネタで結果を残します。

『金魚番長単独ライブツアー「ぐちゃぐちゃ」』in東京
2025年7月19日(土)配信開始19:30/配信終了予定20:30
※配信チケット販売は7月26日(土)12:00まで
※見逃し視聴は7月26日(土)23:59まで
詳細はこちら
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