人生に勝ちすぎて退屈し「俺を負かしてくれよ」。真空ジェシカ川北らとタイマンバトルを展開した『絶対王者永田敬介』レポート

2024.8.17

文=釣木文恵 編集=田島太陽


絶対的な王者・永田敬介と、チャレンジャーとして挑戦する5人の芸人たち(きしたかの岸大将/真空ジェシカ川北茂澄/ガクヅケ木田/サスペンダーズ古川彰悟/春とヒコーキぐんぴぃ)によるタイマン形式のお笑いバトルライブ『絶対王者永田敬介』(主催:芸人雑誌)が8月7日(水)に開催された。

「絶対王者」とはどんな存在なのか? どのようなバトルが行われたのか……? 8月21日(水)22時までアーカイブ配信を販売中の公演内容をレポートする。  

『絶対王者永田敬介』視聴チケット

チャレンジャーが負けると、人類が終わ

「絶対王者永田敬介」
「絶対王者永田敬介」フライヤー

MCであるトンツカタン森本晋太郎の呼び込みで、いつもの黒いパーカー姿に王冠を被り、マントを羽織った永田敬介が登場し、王座に腰かける。絶対王者の風格が漂う。森本にライブ内容を問われ、「それよりもやっぱ今、俺は君にいろいろ聞きたい話が多すぎる。そのトークライブに変えてもいいんじゃないか」と提案する絶対王者。波乱の予感からライブは始まった。

王者の風格で登場した永田敬介
王者の風格で登場した永田敬介
王者の風格で着座する永田敬介
王者の風格で着座する永田敬介

永田本人によれば、このライブは人生に勝ちすぎて退屈を感じていた永田が「なんでもいいから俺を負かしてくれよ」という思いで開催したもの。そのために集められたチャレンジャーは、きしたかの岸、真空ジェシカ川北、ガクヅケ木田、サスペンダーズ古川、春とヒコーキぐんぴぃ。

今回、この5人が負けると人類が終わってしまうらしい。

人類の存亡をかけて戦う岸(きしたかの)、川北(真空ジェシカ)木田(ガクヅケ)、古川(サスペンダーズ)ぐんぴぃ(春とヒコーキ)
人類の存亡をかけて戦う(写真左から)古川、ぐんぴぃ、川北、岸、木田

しかし、そんな緊迫した状況とはとても思えない様子の5人が登場すると、自己紹介タイムがここ数日世間で盛り上がっていた話題に関する森本イジリの時間に変化してしまう。森本は開始早々「なんで今日このライブがあるんだ」と絶望の表情を見せていた。

広告にまで翻弄されるMCトンツカタン森本

第1種目はディズニーランドのアトラクションを言い合い、詰まったほうが負けという「ディズニーランド古今東西」。永田ひとりに対しチャレンジャーは5人で相談して答えを出せるというハンデがありながら、ディズニーランドをこよなく愛する永田は圧倒的に強い。時に曖昧なチャレンジャー側の回答をOKにしたり、ヒントを出したりという余裕まで見せる。

余裕の勝利でガッツポーズを決める絶対王者の永田
余裕の勝利でガッツポーズを決める絶対王者の永田

第2種目は永田が普段ひとりで楽しんでいるという「5chワード検索ゲーム」。スレッドの内容に直接関係のなさそうな絶妙なラインのワードを考え、それがいくつ書き込まれているかを競うもの。しかし実際に始めると、スレッドの話題や書き込み内容に加え、ページに表示される広告までもが森本の負担を大きくしていく。

王者・永田が選んだワード。この直後、画面には会場をザワつかせる広告が…
王者・永田が選んだワード。この直後、画面には会場をザワつかせる広告が……

さらに、まじめにゲームに取り組もうとした木田が出した単語により思いがけないワードに注目が集まってしまい、ますます場が荒れることに。このタイミングでなければ、そして木田がルールを誤解していなければ生まれなかったライブ感あふれる展開が繰り広げられた。

下ネタで攻めるぐんぴぃ
下ネタで攻めるぐんぴぃ
森本イジりを楽しむ川北
森本イジリを楽しむ川北

第3種目「下ネタ短歌」では川北がチームのために自分の役割をまっとうした結果、奇跡的な短歌がいくつも生み出される。

「めちゃくちゃ字余りじゃん」とチャレンジャーたちに指摘されるも余裕の表情の永田
「めちゃくちゃ字余りじゃん」とチャレンジャーたちに指摘されるも余裕の表情の永田
渾身の句で勝利して喜ぶ挑戦者チーム
渾身の句で勝利して喜ぶ挑戦者チーム

尽きない「俺をナメるな」という永田の思い

褒める力を競う第4種目「そんなお前が好きさ、森本」では森本のギャグが披露されたほか、永田の「褒め」に対する自負が伝わってきた。

一発ギャグを披露する森本
一発ギャグを披露する森本

勝敗が拮抗するなか迎えた最終第5種目は「俺をナメるな」。これは、「俺をナメるな」というエピソードを披露し合い、客席の判断で勝敗を決めるというもの。チャレンジャーチームは相談の結果、古川の渾身のエピソードが語られる。

しかし、それが事前に話し合ったものではなく、別のものであるというハプニングが発生。決戦の場で勝てるネタではなく本当に自分がやりたいネタを披露してしまうという、いわゆる「見せ算」のような状況が起こる。勝敗が決したあと、古川の同居人である木田が事前に用意していたエピソードを話すという、賞レースではあり得ない「if」の展開も見ることができた。

古川が渾身トークを披露するも、木田は「家で聞いたときはもっとおもしろかったのに!」とコメント
古川が渾身トークを披露するも、木田は「家で聞いたときはもっとおもしろかったのに!」とコメント

一方、このために用意していたトークを第1種目の際に話してしまった永田。しかし動じることなくまた別の「俺をナメるな」エピソードをふたつ話す。永田の中に汲めども尽きぬ「俺をナメるな」の思いがあることをうかがわせる時間だった。

永田という芸人を構成するさまざまな要素が見られる上、5人のチャレンジャーと永田とのエピソードや永田に対する思い、さらには彼らの思いがけない一面も垣間見ることができた「絶対王者永田敬介」。この配信を楽しみつつ、再びの開催を楽しみに待ちたい。

数多の戦いの末、王者の風格で記念撮影する永田と挑戦者たち
数多の戦いの末、王者の風格で記念撮影する永田と挑戦者たち

「絶対王者永田敬介」の配信はぴあライブストリームにて8月21日(水)22時まで販売され、同日23時59分まで視聴可能。

『絶対王者永田敬介』視聴チケット

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釣木文恵

(つるき・ふみえ)ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。

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