いつも心に「マスオさん」TBSアナウンサー・田村真子のピリついた職場をやりすごす方法【明日の朝はどんな朝?】

文・撮影=田村真子 編集=山本大樹


TBS『ラヴィット!』でおなじみの田村真子アナウンサーが日々の悩みや心の動きを徒然なるままに語るエッセイ連載、スタートです! 大好評だった「『ラヴィット!』日誌」からおよそ2年、田村アナがQuick Japanに帰ってきました。入社7年目、中堅会社員として大奮闘する田村アナの日常をお届けします!

ちょっとした雑談に救われた若手時代

ステーキランチで暑気払い

『ラヴィット!』をやっていると3ヶ月ごとに別れの季節がやってきます。

曜日のシーズンレギュラーとして出演して下さる方が3ヶ月交代なのです。

会えるのが週に一度なので長い期間とは言えないですが、いろいろな罰ゲームのために団結し一喜一憂した仲間としては、本当に寂しさを感じるものです。シーズンレギュラーはほとんどが歳下の方ということもあり、特に女の子の場合は本当に母性が出てしまうと言うか(笑)。可愛いし、仲良くしたい!という変な「お姉さん心」が出てしまいます。

この番組を初めてからMCとして心掛けているのが、初登場のゲストの方にも『ラヴィット!』を楽しんでもらい「いい時間だったな」と思って帰ってもらうことなんです。これは性別年齢に関わらずです。だからシーズンレギュラーで「バラエティは初めてです」という10代の子とかが来ると、もうなんかお預かりしているというか……「早く緊張を解いて楽しんでもらわねば!」という気持ちになるのです。

収録の合間、この日は2本撮り

もちろん、皆さん若いころからプロとして芸能界でお仕事をされてきていて、立ち振る舞いもお上手ですし、私なんぞが心配するのもおこがましいのですが……。でも初めての現場、しかも他のみんなが仲良しなところに入っていくのってすごく緊張するじゃないですか。私も2、3年目のころはバラエティ番組の収録に行くと初対面のタレントさんばかりで(もちろん一方的にテレビで観てきた方々ですが)、私のことを知っている人なんておらず緊張、気疲れしまくり、家に帰ったらもう動けないということがよくありました。でもそんなときに優しく話しかけてくれて、収録中も笑いかけてくださるMCの方やタレントさんがいたんです。

話といっても短い雑談程度だったりするのですが、本当にそれで緊張が和らぐというか、精神的には助けられるんですよね。私の緊張を察してなのか、特に何も考えず話しかけてくださったのかはわかりませんが(笑)。

そんな過去の経験もあり、なんとなく番組に馴染んでもらえるまではタイミングがあれば一言二言でも話しかけることを意識しています。

私自身コミュ力が激高なわけでもないので、まるで入学したての中学生のごとく、恐る恐るです……。でも、これもひとつのご縁ですからね。それに『ラヴィット!』ファミリーに他の現場で会えると、私もすっごく安心します!

スタッフさんの何気ない感想に救われる

甘いとしょっぱいで幸福〜♪

ご縁の大切さを感じるのは、スタッフさんとの関係でも同じ。『ラヴィット!』のチームはとても大所帯です。毎日会う数人と、週一で顔を合わせる曜日班の皆さん、人数も多いし番組が始まったころは知らない人ばかりで不安でした。でもその中にも数人、過去の特番でご一緒した方がいたんです。本当にその収録の一回だけお世話になったのですが、そういう方を見つけたときの喜びといったら! 歳を重ね年次がどんどん上がっていくメリットは、人との出会いの数にあるなと実感しております。

私はコミュニケーションがあった方が仕事がしやすく楽しいと思うタイプなので、『ラヴィット!』MCの川島さんともいつもおしゃべりしてますし、現場で顔を合わせる人と一日一回、軽くでも会話ができるとすごく気分がよくなってハッピーになれます。

番組中にフロアの人と笑顔で目が合うとか、ADさんが笑ってこっちを見てくれるとか、それだけでホッとしてうれしくなります。疲れてるときは特に、スタッフさんからの何気ない感想の一言に助けられることも。毎日「これで正解だったかな?」「ちゃんとできていたかな……」と迷いながら働く私を、ちゃんと見てくれている人が近くにいるんだなと。職種に関係なく、支えてくださる人がいるのは本当にありがたく幸せなことです。

距離を縮めるのはマイペースに

ですが根が人見知りの私。相手の懐にすぐ入れる自信はないため、職場ではマイペースに持続可能なコミュニケーションを意識しています。

どんな時も挨拶は笑顔で。きっと疲労で死にそうな笑顔や声が小さい時もありますが、誠意だけは伝えたいと口角を上げます。すると皆さん優しいので、笑顔で返してくれます。よくやりとりをするスタッフさんとも私は徐々に仲良くなっていくタイプ。相手によってグイグイいって喜んでくれる人と、それが苦手な人とタイプが分かれるじゃないですか。無理してがんばりすぎてもし引かれてしまったら遠回りになる気がして、自然な流れでゆっくり距離を詰めることを心がけています。少しずつでも着実に信頼関係を築いていきたいです。

スタジオではあまり話せませんが、ロケがあると共にする時間が長くなるので自然と仲良くなれますし、いろんなお話をすることができます。日々の業務で頻繁に言葉を交わす人はどうしても限られてくるので、たまにしか接する機会がない人には特に爽やかな笑顔で(OA中で余裕がないと真顔になっているかも……)、そして何かをやってもらった時には、当たり前ですが感謝を伝えることは忘れないようにしています。接することが少ないぶん、その一回を大切にという気持ちを込めて。

「継続は力なり」ということで、人間関係は焦らなくてもいいのかなというのが持論です。

友人の結婚式に参加しました!

他人の機嫌に引っ張られている場合ではない!

こんな感じで私は3年間ラヴィット!で演者さんスタッフの皆さんと過ごして来たのですが、

私のように人間関係に救われることもあれば、悩まされることもあると思います。

先日ひとりでトンテキランチをしていたら隣の席のOLさん2人が話していて、どうもひとりが職場の人から「〇〇さんがあなたの悪口を言っていた」と言われたようで落ち込んでいました。盗み聞きしてすみません。隣の人の会話とかがどうしても耳に入ってくるんです……。

気の毒だなと思いながら、こういう悩みって小学生のころにあったなぁ、わりと職場にもありふれているんだろうな、と。私たちアナウンサーは日々現場を転々としますが、毎日同じ部署で8時間も一緒に過ごしていれば、そりゃいろいろあるはず。悪口を言うのもよくないですが、それをわざわざ告げ口するのもヤバい、でもそういう人はいますよね。人それぞれ好みがありますから、万人から好かれ万人を好きになるというのは難しい。でも職場は仕事をするところですからみんなが気持ちよく働けるように気を使い行動すべき……。

友達のように仲良くはなれなくとも、円滑なよい関係を築きたいと思うものです。

テレビのスタジオは楽しく盛り上がることが仕事みたいなところもありますが、普通は職場って繁忙期などみんながみんな穏やかな状態ではないこともありますよね。

「なんかめっちゃあの人イライラしてるな」「怖い怖い」って場面が皆さんの職場にもあるのではないしょうか。

きっと虫の居どころが悪かったのでしょうが「ええ、そんなただの業務連絡を強い言い方で言わなくても(汗汗)」みたいな経験が私もあります。

わたしは元々ビビりなので、そういう人をみるだけで自分が怒られているわけじゃなくとも萎縮してしまいます。なんかそっちに気を取られて自分の仕事に集中できなくなる感じわかります?

昔はビビっていましたがもう中堅社会人ですのでそんなわけにはいきません。「他人の機嫌に引っ張られている場合ではない!」と。

こちらが失礼なことをしたとか迷惑をかけたことが原因でない限りは、こちらが気を揉む必要はないですからね。基本楽しく雰囲気よく仕事をしたいですが、職場の空気が悪くとも仕事は止められない。業務完了が最優先!

こういう場合は「ええええ(汗汗)」とマスオさんばりに心で呟きながら諦め、ビビって傷つかぬよう心のスイッチをオフにし客観的に状況をみて行動するようにしておりました(笑)。

何だかとても会社員らしいお話になってしまいましたね。みなさんも職場がピリピリしているときは、心の中に「マスオさん」を宿しておくと気が楽になるかもしれません!

スタジオでラッピーと立ち話

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田村真子

(たむら・まこ)TBSアナウンサー。1996年生まれ、三重県出身。2021年より『ラヴィット!』MCを務める。趣味は博物館、美術館に行くこと。

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