かが屋・加賀&放送作家・白武ときおの【エロ自由律俳句|第10回後編】メモリアル回のゲストには短歌の世界から東直子が



白武の5句

【白武の句①】
おもむろに結ってその破壊力か

麺類を食べるときとか、急に髪を結ったのにこんな簡単に素敵に変身するんだっていう感動によく直面します。

いやこれはね、奈良時代とかからずっと言われてるんじゃないですか(笑)。大昔から男性はこの魅力に取り憑かれてしまっている。

結うって言葉も、これでしか使いませんよね。なんなんだ結うって。

結ったものをさっと取るときも色っぽいですよね。

あれはずるいです。

結うにまつわるあらゆることが強過ぎます。

「結う」が「破壊力」になるなんて!

【白武の句②】
早く刈り上げればよかった

坊主の人ってよく頭を触られてるじゃないですか。

坊主頭は動物的な気持ちよさがありますよね。

女性が坊主頭を触ってる人の画、浮かびますね。

そうなんです。頭を刈り上げたら女の子が気持ちよさで触ってきて、この人に触られるんだったら早く刈り上げればよかったという後悔の念を句にしました。

めっちゃかわいい句ですねこれ。

早く刈り上げていれば、それをきっかけにして触ってくれる体験がもっと早く訪れたのに、という。

【白武の句③】
純豆腐用生卵ミスして両手で受ける

さっき出た放哉の句【入れものが無い両手で受ける】によく似ていますね。本歌取りですか?

実はその句のことは知らなくて。もっとうまく書けたらよかったなと反省しています。

コンセプトとしては似ていますよね。ミスしたけど両手で受ければ大丈夫っていう。

僕、スンドゥブ(純豆腐)を食べたことがないかもしれない。

韓国料理の豆腐が入っている辛いやつですよね。

あつあつのスープに生卵を割って入れるんですけど、それをミスしてしまった子がいて。そのどうしようもなさ、みっともなさがかわいらしくて。

受け止めるのが生卵っていうのがいいですよね。

エロティックですね。

絶望的な状況に潜むエロ。

でもよく両手で受けられましたよね。なんかそのまま落としそうだけど。

完全には受け止め切れないで、変なところから漏れているのかもしれません。

ちょっとエロ過ぎます。

【白武の句④】
熱をもらいにくる両脚

一緒に寝ているときに、冷え性なのか寒いのか体温を求めて相手が足を絡ませてくる状況です。

向こうの足が冷たくて、ということなんですね。

短パンとかショートパンツを履いている画が浮かびました。

そうですね。生足がこの句には合っている。

夏にクーラーを除湿の設定にして、薄い布団をかけているけどちょっと肌寒い室内。昼間でもいいですね。

すごく仲よさそうな雰囲気も伝わってきて。

無意識でやってたら、よりよいですよね。

【白武の句⑤】
自分の歯ブラシがまだある

付き合ってるか付き合ってないか微妙な子の家に久しぶりに行ったら、置いて帰った歯ブラシがまだあって。僕の再訪を想定してくれていたことに喜びを感じました。

ひと晩だけの関係になったかもしれないのに。

捨てられている可能性もじゅうぶんあったのに。忘れずにスペースを用意してくれていたんだという気持ちになりますよね。

シンプルな言葉の中から大人の微妙な関係性が立ち上がってきますね。“まだある”っていうのがなんだかリアルです。

“まだ”っていうことはある程度の時間が経っていて、その時間も含めていろいろ物語がふくらんできて深いですね。罪深い句ですよ。胸がぐっとなっちゃいました。 大人ってすごいですね。

かが屋・加賀&放送作家・白武ときおの【エロ自由律俳句|第10回後編】メモリアル回のゲストには短歌の世界から東直子が
左から、東直子と白武ときお

エンディングトーク

非常に濃密で楽しい時間でした。ご迷惑をかけてしまうかなと不安だったのですが、東さんはすべてを包んでくれました。

自由律は短歌とは違う脳みそを使いますか?

考え方は違いますが、型を外して心の動きを考えるっていうのは新鮮で楽しかったです。ほかにもいろいろ考えてたんです。【エレベーターのドアーが閉まる】とか。

ああ、いい句だな。

エレベーターのドアってゆっくり閉まりますよね。特別な関係でなくても、会社の中でちょっといいなと思ってる人と偶然一緒になって閉まっていく瞬間とか、そこから中で二人きりになる時間とかいろいろ想像がふくらみそうで。

気になってる人とのエレベーターのドアは、恋のスローモーションというかゆっくり閉まってるように感じますね。

不思議ですね、集中してゾーンに入ってるからでしょうか。

こっちの句のほうがよかったですかね(笑)。

いやいやいやいやいやいや。これは本当にまたぜひお越しいただけますと。

これまで女性の方をゲストにお招きしたことはなくて。恋愛にまつわることをどこまで聞いていいのか、セクハラにならないか、どこまで下世話な話をしていいのかラインがわからず踏み込めてなかったんです。ひとり目が東さんで、楽しくできて本当によかったです。

最初から“エロ自由律俳句“という看板があるので、お互い覚悟して挑めてセクハラにならないですよね? そういうところがこの連載のよさだと思います。

東さんと一緒に自由律俳句が詠めて本当にうれしかったです。

本当に最高の時間でした。東さんのお力も借りてさらにエロ自由律俳句を盛り上げていけたらと思います!

ぜひ近いうちにまた語り合いたいです!

かが屋・加賀&放送作家・白武ときおの【エロ自由律俳句|第10回後編】メモリアル回のゲストには短歌の世界から東直子が
左から、東直子と白武ときおとかが屋・加賀

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【連載】エロ自由律俳句
お笑いコンビ・かが屋の加賀翔と放送作家の白武ときお。お互いに自由律俳句が好きで、詠んだ句をLINEで送り合う仲であるふたりが、「エロ」をテーマにした自由律俳句の連載。


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福田 駿

(ふくだ・しゅん)1994年生まれ。『クイック・ジャパン』編集部、ほか『芸人雑誌』編集も担当。

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