有吉も驚く奇跡の連鎖『Among Us』で屈指の名勝負(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『有吉ぃぃeeeee!』

前週に引きつづき、ゲストは女子プロレス軍団。今回プレイするゲームは番組頻出の人狼系ゲーム『Among Us』。インポスター(裏切り者)に選ばれたのは、佐々木久美と、嘘がつけずいつもバレてしまうタカ、そして「ちんぷんかんぷん」と言っていた初心者の神取忍。佐々木以外はあまりにも心もとない布陣。

神取は開始早々、ゲームのセオリーを無視し近くにほかのクルーがいるなかで撃破してしまう。アジャが遺体を発見し通報するも、慣れてないためか誰が犯行を行ったかまでは判別できていないので、逆に疑いが向けられてしまう。さらに最も近くにいた金ちゃんが、操作がおぼつかない神取に対する先入観か、「神取さんは白」と誤った情報を流してしまう。奇跡的にスキップされると、頼みの佐々木が次々とクルーを撃破。しかし、「停電」中に自分で通報したのが仇となり疑いを向けられ、佐々木が最初に追放されてしまう。さらにタカも、いつものようにしどろもどろの答弁で通報。残るは初心者・神取のみという危機的状況に。

神取はしまい方がわからないのか地図を出したままプレイしていたり、インポスターだけが通れる通気孔の入り方がわからず、その上に何度も乗ったり、ようやく入ったと思ったら移動しないでそのまま出てきたり、かわいらし過ぎるプレイっぷりが最高。「神取さんだけじゃ無理だよ」と有吉が笑うなか、奮闘する神取。初心者ゆえ疑いが向けられないという展開がつづき、さらには、このゲームでたびたび“迷”推理で場を混乱させてしまうトシが今回も大チョンボする奇跡の連鎖でまさかの名勝負に。『Among Us』屈指の傑作回だった。

『日テレ×NHK TV70年特番 テレビとは、○○だ』

NHKと日テレ70年コラボウィークの最後を飾った有吉がMCを務める特番は、午前中は日テレ、午後はNHKで放送。「スター」「初めて」「ハプニング」「労力」「視聴者」「遊び」「オモシロ」というテーマに沿ったアーカイブ映像をそれぞれの局が持ち寄り、それを有吉が判定するという企画。

どうしてもこの手の番組ではおなじみの映像が多い中、トラックレースを実況した『今世紀最大!型破り実況中継』(なぜか優勝者にジャイアント馬場とジャンボ鶴田がプロレス技で祝福)とか、人工衛星を使った宝探し番組『人工衛星クイズ』などは観たことがなくておもしろかった。若き日のドナルド・トランプやスティーブ・ジョブズ、さらにはマザー・テレサなどの歴史的映像も。そんななかでもインパクトがあったのが平野レミが出演した『きょうの料理』。20分で5品作るところ、10分ほどで完成してしまうハプニングに「歌でも歌いましょうか」と得意のシャンソンでつなぐというぶっ飛んだ展開。

「TVに映った“アナタ”を探す!テレビ大捜索」という企画では、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の映像がきっかけとなりモナコの世界陸上の表彰式で太鼓のパフォーマンスができたという女性だったり、『箱根駅伝』に50秒だけ映った人(『箱根駅伝』では下位の順位の出場者も可能な限りフルネームで呼ぶようにしているという)だったり、わずかな時間映っただけでもそれぞれに思い入れや感動があって、独立したミニ番組とかで観たい企画だった。

日テレ版のゲストがテリー伊藤、パンサー向井、ゆうちゃみという安定感抜群の盤石な布陣だったのに対して、NHK版のゲストは平野レミ、岡田結実、武田真治、進行役にはに丸という逆に攻めた布陣。日テレ版のエンディングはNHK版の予告で中継をつなぐのだが、そこで有吉が「時間余ってるんでシャンソンでも」と振れば、平野はもちろん、はに丸も勝手に歌い出し、NHK版のオープニングでは有吉の登場を武田のサックスに乗せて行ったり、隙あらば武田が筋トレしていたり、はに丸が「テレビは踏み台」「『はに丸』は教育テレビでは(視聴率)2%。それは地上波では20%ってことだよね」などと自由な発言をしたり、終始はっちゃけていた。

そんな中で有吉がNHKに出るときの心構えを聞かれて「意外と変えないようにしてますね。せっかくNHKが呼んでくれたんだから、いつもの自分でっていうのを意識してますね」と答えたり、平野がテレビについて「いろんなジャンルがあるんだけど、その中から自分に合うものを見極める力がないとダメだと思うね。のんべんだらりとでれーんと観てるんじゃなくて自分の好きなものだけをチョイスしていったらどんどん夢がふくらんで楽しい人生が拓けるんじゃないかな」と本当にそのとおり!と思えることをマジメに語ったりと観応えもあった。最後に「テレビとは」と聞かれた有吉は「わからん!」とひと言。エンディングはなぜか全員でスクワットというまさに「わからん!」映像で終わった。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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