若林の“生前葬”で弔辞を読む春日、本音をのぞかせる「あなたのおかげで、特別で幸せな人生を歩んでいます」(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『午前0時の森』(火曜版)

今回は若林が「生前葬」をすることに。「全然やりたいって気持ちはないんですけど……」と渋る若林だが、すでに式次第もできており準備万端。その中には「友人スピーチ(弔辞)」もある。

最初に「友人」として登場したのは土屋。「同期で同い年で同じように人気がなかった下積み時代」「ひたすら漫才を磨き高め合っていたオードリーは、僕たちにとって特別な存在で心から尊敬できる同士」「敗者復活の結果発表。オードリーの名前が呼ばれたときの大きな喜びと危機感、体が沸騰するようなあの昂りを僕の中で超える瞬間は未だありません」「あなたはいつも誰よりも悩み、苦しみ、それでも勇気と努力で立ち向かっていました」「気づけば、同世代の芸人が誰も進めなかったところまで険しい山道を自分たちの力で見事登ってみせました」とちゃんとした弔辞を仕上げてきた土屋。そのあとも、「イジられるようになりたい」と相談した話を「天下獲りに突き進むお笑い戦国武将」などと若林をイジりつつ展開していく名文。

つづいて20年来の友人・サトミツが登場し、若き日の思い出を綴った弔辞を読み始めると、土屋の弔辞ですでに泣きそうになっていた水卜は泣いてしまう(この時点では、まさか泣くとは思ってないからか若林は気づいてない。もしくはスルーしている)。若林は「間違って伝わっちゃうよ、生前葬が!」とツッコミを入れるなか、最後に登場したのが相方の春日。若林「断れよ!(笑)」。

「中学2年、14歳で同じクラス。2年A組の席に前・うしろで座ってから、いま、44歳でオードリー、スタンドマイクを真ん中に左・右で立たせてもらっております。春日です。24年前、あなたに『オイ、春日ぁ。俺と一緒に漫才で天下を獲らないか?』と声をかけてもらい、今の春日がいます。ネタを書いてくれ、ツッコんでくれ、フォローしてくれ、騒動から救ってくれ、クミさんの春日に関する訴えを聞いてくれ、何より『春日』という役割を与えてくれて、ありがとう。胸を張るのも、ゆっくり歩くのも、七・三も、ピンクベストも、すべてあなたが私にくれたものです。ありがとう。ここまで連れてきてくれて、少年・春日の夢を叶えてくれて、ありがとう。いま、春日はあなたのおかげで、普通では味わえない、特別で幸せな人生を歩んでいます。ありがとう」。“生前葬コント”に入っているとはいえ、あまり自分の思いなどを言わない春日の本音がのぞけるような文章がとてもいい。

そんな春日の弔辞に「ダセえな!」「お前、マジじゃねーかよ!」「言わなくていいんだよ!」「お前、損してるぞ!」「気持ち悪りぃな!」などと矢継ぎ早にツッコミを入れていく若林。このあたりから即興の漫才のようになっていく。

春日「昨年、年間テレビ出演回数1位を獲ることができました。ありがとう」
若林「別にあなたが仕事断らないからでしょう。俺は少ないほうがいいと思ってたよ、途中で」
春日「『バゲット』の準レギュラーになれば?のアドバイス、ありがとう」
若林「お前が受けただけだろ、仕事」
春日「もはや日本で春日のことを知らない人間はいないと聞きます」
若林「まあまあいるよ! うぬぼれんなよ、お前!」
春日「多くの人から簡単に爆笑を取ることができるようになりました」
若林「嘘つくな、お前!」
春日「春日は隣にいるあなたに笑ってもらうことが一番の喜びです」
若林「少ないけどな、回数」
春日「誰も笑わなくても、あなたが笑ってくれればそれだけでいいんです」
若林「誰も笑わないから笑っちゃうんだよ(笑)」
春日「鬼瓦!」
若林「……」
春日「うれしいです」
若林「やり直せよ、お前!」
春日「これからも、まだまだお世話になるかとは思いますが、よろしくお願いします」
若林「こちらこそ。ありがとうございましたー(※終わらせるように早口で)」
春日「そして、必ずお笑いで天下を獲りましょう」
若林「言うなそんなこと!」
春日「あなたのデビュー作・オードリー春日」
若林「いや、デビュー失敗したわ(笑)」

そんなふたりのかけ合いに、堰を切ったように泣く水卜に「なんで水卜ちゃん、泣いてるの?」と笑う若林。情緒があふれる水卜「めっちゃ感動した! いいお友達がいる!」。

クイック・ジャパン vol.099
2011年、オードリー特集が掲載された『クイック・ジャパン』

『サクマ&ピース』

番組は早くもシーズン3突入。新品のダウンを着ている佐久間に、平子「徐々にキレイになってくのやめてくださいよ!(笑)」。

今回ももちろん4本撮り。最初に訪れたのが、いわき健康センター。しかもよりによってサウナ。佐久間は「絶対ロケスケ間違ってるよ! イカれてるよ」「俺も制作だからわかる。営業時間にかからないようにってことでしょ? その気持ちもわかるけど、演者の気持ちも考えてくれよ!」とスタッフにツッコミ。こうした作り手視点も持ったツッコミが、やはりこの番組の大きな魅力のひとつ。更衣室に行き、説明を受ける間も脱いだジャケットを手に持っている演者ふたり。佐久間「なんで俺たちダウン持ったままなの?」平子「東京は走ってくるけどな!(笑)」。

その後も再び平子の母校のラグビー部を訪れたり、デコトラのレジェンドに会いに行ったり盛りだくさん。エンディングでは、この番組の影響でCMが決まった平子が『サクマ&ピース』の「ゴール」がわかったと言う。それは、ふたりで「行くぜ、東北。」のCMが来たとき。けっこう近い将来、それが起こってももはや全然驚かない。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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