『相席食堂』で真空ジェシカが“覚醒” ノブ「100点でもいいくらい」(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『相席食堂』

「街ブラ−1グランプリ」中編。そのトップバッターに選ばれたのが真空ジェシカ。ノブ「よくないなあ、順番が(笑)」。

彼らはガクの地元・横浜市綱島に。川北は厄除け大使の魔除け札に扮したり、電柱にラリアットしたり、遠目で小競り合いしたりと、いつものとおり脈絡なくボケまくり。それに対し、去年よりうまくなってると評価する千鳥。大悟が「観やすい。いや、観やすくはないわ」と笑うが、実際、格段に観やすくなっている。それは見慣れたからなのか、うまくなったからなのか、おそらく両方なのだろう。

中学生くらいに来た思春期の終わらせ方がわからずに引きずって、まだ親とコミュニケーションを取れないでいるガク。今回は両親に会えるチャンスではないかと母親に電話。親子とは思えないよそよそしい会話が、没交渉を物語る。

両親と公園で対面。しゃべり出せないガクに対し気を遣って話し始める川北。大悟「川北がフォローしてる!」ノブ「川北がナイトスクープの仕事してるやん!」と驚き「できるやつやねん」と口をそろえる。最初、目を見て話せなかったガクが次第に親のほうに向き合って話しているのはとてもいいシーンだった。と、思ったら、ガクの兄が登場。なんと「普段着」だという着物姿。ノブ「クセ兄貴!」。

さらにエンディングでは、ガクが唐突に角刈りになる散髪ボケで「金髪角刈りメガネ」に。もうこの番組で何人もがやって味がしないと思われた散髪ボケだが、いつのまにか川北がランジャタイ伊藤(角刈り)に変わるというボケも繰り出し、最初気づかなかった千鳥を時間差で悶絶させることに成功。番組のトーンとがっちり合致し“覚醒”したかのような彼らのロケにノブは「100点でもいいくらい」と絶賛し、暫定1位に。ボケまくる冒頭から、川北のちゃんとしている部分も見えた感動的なガクの親との再会、大クセ兄の登場、そしてオチと真空ジェシカのよさが詰まったロケだった。

『脱力タイムズ』

ゲストは本田仁美と「フリーアナウンサー」と紹介されたふかわりょう。訂正するも「報道キャスター」、「文化人」などと言われてしまう。が、後者は「なんか、いいの見つけた感じ」と受け入れるふかわ。

この日はこの番組の中では比較的ストレートなお笑い企画。あるあるネタが供給過多だとして、残しておくべきネタと削減すべきネタを仕分けしようというもの。審査するのは「あるあるネタのレジェンドにして現代あるあるの創始者」ふかわりょう。その肩書に「率直に申し上げまして嫌な呼ばれ方ではない」とやはり受け入れるふかわ「血が騒いでます(笑)」。

土佐兄弟の「高校生あるある」には、「写実的」「相方が声だけ参加しているのも集中できて観やすくて非常にいい」と評価し「認可」の札を上げる。「不認可はもちろん認可っていうのも『おまえ、何様?』って感じしません?」と困惑するふかわだが、レギュラーの「あるある探検隊」には「彼らあるあるをひとつも見つけてないです。探検していない。たぶん一番あるあるをバカにしている」と「あるある」のフォーマットを借りて「なしなし」をやっている彼らをばっさり切り捨て「不認可」。

そのあともレイザーラモンRGを「ブリッジ重視型」「ほどよく期待にギリギリのラインで応えている」と評したり、天津・木村「エロ詩吟」を「時代の波で表現できるギリギリの縁を渡っている」「本当にあるあるを探検しているのは彼」と意外にも暫定1位に高評価したりと、しっかりとした自分の中の審査基準で評価していくのがとても興味深かった。

スクールゾーン「韓国ドラマあるある」、カニササレアヤコ「雅楽あるある」、ニッキューナナ「高校生あるある」を挟み、やはり登場したのは「フルーツあるある」の桐野安生。これには「あるある協会出入り禁止です」とふかわ「彼にあるあるを名乗ってほしくないです(笑)」。

さらにコウメ太夫には、手に書かれたカンペを指し「あるあるタトゥー芸人」と表現。「ネタは話にならない(笑)」ともちろん「不認可」。

そして最後に登場したのはふかわりょう「小心者克服講座」。ふかわ自身はエントリーした覚えはないが、『千鳥のクセがスゴいネタGP』で昔のネタを披露したものが流用された模様。これに困惑しつつも「クラシカルな20年前のを観てもまだ錆びてないなって。自分でも再認識しました。切り開いただけある」と自画自賛し、堂々の1位に。「OKです」とカットがかかると、ふかわ「なんか今日、勇気もらいました(笑)」。

ふかわは実際のあるあるネタのレベルが高いのはもちろん、あくまでも「あるある」を「あるある」としてやっている人を評価し、それぞれを評す表現も巧みで、まさに「現代あるあるの創始者」にふさわしかった。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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