テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。
『ダウンタウン vs Z世代!ヤバイ昭和あり?なし?』
昭和の“ヤバイ”暮らしや映像をZ世代と観る特番の第2弾。イチゴスプーン、3色ふりかけ、カラー電話、10円ゲームなど懐かしいものが紹介されるなか、振ると大きな音が鳴る「紙鉄砲」を岸優太に浜田が背後からやろうとして大失敗し、自分の手首を痛める。また「老い老い裁判」が開かれかねない。
林間学校の話題では、中学の林間学校のクラス対抗発表会がダウンタウンの初ステージだったというあまり聞いたことがないエピソードも。デューク・エイセスの「おさななじみ」を松本・浜田を含む5人で歌ったそう。衣装を軍用バンドでそろえて、歌のラストで本家のしないようなポーズを5人で決めるという松本発案のパフォーマンスで優勝したという。浜田もよく覚えているそうで「めちゃくちゃウケた(笑)」。
映像では『24時間テレビ』で大根で思い切り殴ったり、ヘルメットに電動ドリルを当てたり、花火で攻撃したりやりたい放題した映像や、若手時代にレギュラー出演した恋愛バラエティ『恋々!!ときめき倶楽部』などダウンタウンの貴重な映像も。さらに浜田主演の三谷幸喜脚本ドラマ『竜馬におまかせ!』(ここでも西村まさ彦や内藤剛志、反町隆史などを思い切りどついてる)や松本・中居正広主演ドラマ『伝説の教師』も振り返る。『伝説の教師』にスタッフとして入っていた木村祐一は松本が合宿で3日3晩アイデア出しをしていたと証言。そこで秀逸なセリフの数々が生まれたという。そのひとつが「相手の欠点10個言ってそれでも一緒に酒飲んでくれたらホンマの友達や」というもの。これを気に入った池田健司プロデューサーはドラマ版『怪物くん』でもこのセリフを流用したという。一発本番だったという松本と中居の漫才のシーンも。やっぱりこのころの松本はシャープで色気がハンパない。
また、『ガキの使い』のフリートークがきっかけで『HUNTER×HUNTER』のタイトルが生まれたという話も。冨樫義博は「なんとかハンターっていうタイトルのマンガはいつか描こうと思ってたんだけど、ちょうどダウンタウンの番組をやってて『なんで2回言うねん』って言ってたからハンター×ハンターにしてみた」と綴っている。松本のボケに浜田が「なんで2回言うねん」とツッコんでいる実際の映像が流れるのが強い。
終盤には伝説の子供番組『カリキュラマシーン』の映像も。たばこやお酒、刑務所など子供向け番組らしからぬダークでアダルトなモチーフがスゴい。番組では触れられなかったが、これを書いていたのがのちにWAHAHA本舗を立ち上げる喰始や、不思議コメディーシリーズなどで異能の天才っぷりを発揮する浦沢義雄らが中心だったというのが歴史を感じて痺れる。
『TV70年!蔵出し映像まつり』
テレビ放送開始から70年ということでNHKに残る蔵出し映像を公開。アーカイブを整理し特設サイトを運営する職員として六角精児と井上咲楽がドラマ仕立てで紹介。NHKのこの手の番組はなぜかこうした謎の演出をつけたがる。最初は六角が「テレビに携わるものとして一度は見ておくべき」という1959年のドキュメンタリー『山の分校の記録』。山の分校に1年間の期限つきでテレビがやってくるのだが、期限が終わりテレビを返却するというシーンで村の少女が「テレビがなくなると太陽が照らさないのと同じになる」「(テレビは)まるで愛のようだった」ととても印象的な語り口で言うのだ。
サンデーズのメンバーとして踊る18歳の松田聖子や再ブレイクの足がかりとなった『NHK新人演芸大賞』での爆笑問題、まだデビュー前に地元高知のニュース番組でインタビューを受けた小学6年生の広末涼子(もう華がある)など貴重な映像連発。松本清張や武者小路実篤のドラマ出演したときの映像や、西田敏行が『紅白』に出演したときの舞台裏の未公開映像などの変わり種の映像も。
中でもインパクトがあったのが1985年放送の科学番組の金字塔『ウルトラアイ』。『ダウンタウン vs Z世代』でも同じ1985年の映像で、シートベルトを当たり前のように「してません。かったるいです」と言っている映像が流されていた。教習所の生徒すらしていない。
シートベルトは1969年に努力義務が設けられたが、浸透せず、この1985年に罰則つきで義務化されたのだ。『ウルトラアイ』ではシートベルトがいかに大事かを検証するため、崖から車を落とす大胆な実験。シートベルトをしなかった場合は当然、人形は大破。した場合はそのまま座っている。……のだが、明らかに車も大破していてシートベルトの有無に関わらず無事でいられるはずがない。そのでたらめっぷりがNHKっぽくなくておもしろかった。当時チーフディレクターを務めた持丸和朗は「大事なのはバカなことを言っても笑わない。どうやればバカバカしくておもしろいかってことばかり考えてた」と回想。
エンディングでは、現在75歳になった冒頭の村の少女からの手紙で締め括られた構成もよかった。
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【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)
毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。
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