『キングオブコント』賛否両論に思うこと。視聴者に「審査員目線」は必要なのか?

でか美ちゃん

文=でか美ちゃん 編集=高橋千里


10月8日『お笑いの日2022』(TBS)内で放送された『キングオブコント2022』決勝戦。賞レースを観終わったあと、でか美ちゃんが感じた“モヤモヤ”とは。


全組2本ずつ観たい!『キングオブコント2022』を振り返る

テレビ番組のロケでバイきんぐ小峠(英二)さんが自宅に来たことがあります、という自慢で察してほしいくらい家に物が多いタイプなので(汚いとは言いたくない妙なプライド有)、逆に衣替えに縁がないというか、常にすべての衣がそこら中にあるんですが、それでもこんなに急に寒くなられると困っちゃいますね。

毎日何を着たらいいのかわからないし、どんな服を持っていたのかも自分のインスタグラムを見返して把握する始末です。インスタ便利過ぎる~。同じ使い方してる人いるかな……。

というわけで、家ロケに来てくれたことがある、でおなじみのバイきんぐ小峠さん! 今年も『キングオブコント』の審査員を務められていましたね。

10月8日はなんて日だ! 今年の“コント日本一”を決める日だ!
と、少し強引ですが、今月は『キングオブコント』について書いていきます。

でか美ちゃん

いやーーー!!!! まずはね!!!!
今年もおもしろかったーーーーーー!!!!!!!!

シンプルに、まずこれだけ言わせてくださいほんとに。ここで終わりでもいいくらい。こんなに楽しませてくれてありがとうという気持ちでいっぱいになりますね。

賞レースって観る側からしたらただただおもしろくて、ただただ楽しいだけなのに、なんでこんなに胸がいっぱいになるのでしょうか。

視聴者としてあまりにもそのドラマ性だけを消費するのは、先月の連載テーマ「芸人さんのメンタルヘルスについて考える」にもつながることなので、なるべく、ほどよく、そんな距離感で自分は観ていたいですけど。

日本一が決まる緊張感と、今日ここからスターが生まれるウキウキ感で、もうなんだかキラキラして見えるんですよね。

『キングオブコント2022』15代目キングに輝くのは!?

クロコップの「俺のターン!」というトップバッターとしてふさわし過ぎるセリフから始まった『キングオブコント2022』。

あの女性は未亡人という設定を知るとより深みが増す、いぬ。そんないぬに「一番笑ったかもしれないけど、キスは禁じ手」と評した東京03飯塚(悟志)さんの誠実なコント愛。

や団は野犬対策で深く穴を掘り、ビスケットブラザーズは野犬とパンツ一丁で戦い、勝利への駒を進めました。

“コントで結んだ悪魔の契約”というキャッチコピーがぴったりな吉住さんと岡野陽一さんのピン芸人ふたりからなるユニット・最高の人間は、惜しくも1stステージで敗退となりましたが、「脳にいらない部分はない」という大事なことを教えてくれました。あんなシニカルでメルヘンでダークなコント、最高の人間にしかできないよ! 来年も再契約してくれー!

スーパーざっくり振り返っても盛りだくさんでしたね。まじで全組2本ずつコント観たかったな……とか勝手なこと言いつつ、優勝はビスケットブラザーズさん。おめでとうございます! 圧巻! 副賞の米1トンを平気でたいらげそうなふたりが獲ってくれてうれしいです!

番組途中、昨年チャンピオンに輝いた空気階段が「カレーメシ」のCMに出てきた瞬間も、なんだかかなりグッときちゃいました。トロフィー返還よりチャンピオンを感じた15秒でした。これがコント・ドリーム……! 歯がなくたってCMに出られる!

賞レースを観終わったあとの“モヤモヤ”の正体

しかしこの賞レースという一大イベント。本当に何もかもが楽しいんですけど、ひとつだけ苦手なことがあるんです。

それは、賛否両論が分かれてしまうこと。

いや、ネタそのものに対して賛否両論が分かれること自体は当たり前なんですよ。もちろん人それぞれ好みがある、好きな芸人を応援するあまり熱くなっちゃうときもある、ていうか芸人さんたちは板の上に立って何かやる時点で、覚悟の上にも立っていることでしょう。

私自身、賛を浴びるときはありがたく、否を浴びるときもご意見頂戴しますという気持ちで受け止めていますが、一客の立場に回ったときに否を見るのがどうしても切ないんですよね。特にオリジナルの点数をつけている人とか見ると……言いようのないモヤモヤとゾワゾワを感じてしまうのです。

中でも「つまらない」という言葉。いやそれ、あなたの笑いの範疇に入ってなかっただけじゃんって。「ブス」もあなたの“かわいい”の範疇に入ってなかっただけだよねって思うし、芸能人夫婦が書類上は離婚して新しい家庭のかたちを取るのに大バッシングを受けているときも、あなたが考える“家庭”の範疇に入ってないだけでは?とか思うし。

思うのは勝手だけど、言う必要あるのかな? でも、言われる側はある程度の覚悟を持って否を受け止めてんだよなぁ(自分も然り)。

と、せっかく楽しい時間を過ごして、好きな芸人さんがトレンド入りして、ルンルンのまま何気なくスマホをタップすると、なんとなくモヤモヤしちゃうことがあるんですよね。


「笑うことをあきらめるな」ビスケットブラザーズが教えてくれたこと

賞レースには必ず審査員がいて、ネタに点数がつき、順位が明らかになる。“Like a 松ちゃん”という感じで、頬に手を当てながらお手並み拝見モードになってしまう人が出てくるのも納得はできるのです。

おもしろい祭りが始まったぞ~笑わせてもらっちゃお~、という気持ちがフワっといつの間にか消えちゃっているのかもしれません。もしくは最初からそんなつもりないのかもしれません。

とはいえ当の審査員ご本人たちは笑う気満々の姿勢だと思いますし、実際にネタ中めちゃくちゃ笑顔が抜かれていますけど、批評の部分だけ影響を受けてしまう視聴者も中にはいる。

大会と番組の構造として、それはもう仕方のないことなんですよね。ある意味それを煽っている部分もある。だからこそ盛り上がってトレンド入りもするわけだし。

そもそも「お笑い」という定義をするには曖昧な、でも立派な文化の中でその年の日本一を決めるという時点で、好みが分かれることは当然なんです。

【祝・キングオブコント2022優勝】ビスケットブラザーズのコントをフル公開!

そんな自分にとって、ビスケットブラザーズさんの紹介VTR「あきらめんな」「笑うことをあきらめるな」という原田(泰雅)さんときんさんふたりからの言葉は、あまりにもスッキリするものでした! しかもそのまま優勝しちゃったんだから、マジかっけー。

確かに、何事も双方が前向きに取り組まないとおもしろいわけないんですよ。私は『キングオブコント』が好きだし、お笑いも劇場にたまに足を運ぶ程度には好きなので、言われてみたらそもそも観る姿勢が前向きだったんだなぁ、と。

楽観的ですみませんと逆に言いたいほど、真剣な眼差しの芸人さんたちを差し置いて、最初から祭り気分でしたから。ポテチも2袋食べて『キングオブコント』観てるんだもん。当然、審査する気ゼロですよ! あんな音の鳴るもの食べて審査するバカいないですよ。

だから今年は、どんな意見を目にしてしまっても「あきらめんな」と思えるから最高! てか、これから全部にそう思ってこ! 最高! 楽しい人生!

ビスケットブラザーズが教えてくれたライフハック、実践し始めてまだ数日ですが、まじ生きやすいです。

しかもこの「あきらめんな」のひと言の何がいいって、相手に全部を投げ打ってないところがいいですよね。設定、顔、動き、ネタの全部がおもしろいから「あきらめんな」なんですよ。

あの感じでめちゃくちゃ歩み寄ってくれているし、歩み寄った結果が棒で追い払ってキラキラリンからのあのファイナルステージなんですよ。笑うに決まってるんだよな……。

私も歌を歌ったり、ラップに挑戦してみたり(今シーズンの『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日)出演中です!)、ラジオをやらせてもらったり、テレビに呼んでいただいたり、こうしてコラムを書いたり……。どの角度でもいいから好きになってくれやと思って活動しています。それもつまり「あきらめんな」だったのかも!

優勝が決まりコメントを求められた原田さんが、劇場の仲間たちに向かって「大阪にはまだまだおもしろい芸人がたくさんいる」と熱いことを言った直後に「えらい差ァついてもぉたな」と放った瞬間も痺れました。

優勝直後に芸人仲間たちの顔が真っ先に浮かぶ人間性と、すぐさまボケる芸人魂。最後の最後まで今年も大笑いでした。

そんなビスケットブラザーズ、実は2年前に『ytv漫才新人賞』でも優勝しています。『M-1グランプリ』も控える年末、まだまだ楽しみなことがいっぱいです!

でか美ちゃん
岡野さんの「パチT」本当に着やすくて便利です

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