『魔改造の夜』で電気ケトルを「機械屋のロマン」エンジンに魔改造 そこで起きた“悪夢”(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『魔改造の夜』

電気ケトルを魔改造し、蒸気を使って1分間で綱を一番引けたチームが勝ちという初の対戦式競技「電気ケトル綱引き」。綱を引く前に蒸気で笛を15秒程度鳴らさないといけないルールで、巴戦で2連勝したチームが優勝となる。

「T京アールアンドデー」は蒸気でエアドリルを動かす「スチームジャンクローラー」。スチームエンジンからなんと本番4日前に方向転換したという。ほかのチームのエンジニアが「どこも一緒だな」と苦笑いするのが印象的だった。蒸気機関は専門分野で本命と目された「Aエイチアイ」は、やはり蒸気機関を実現させた「スチームパンクビクトリー」。前競技のようにネコちゃん人形などを使ったかわいらしい造形ではなく、メカメカしいスチームパンク的世界観のマシーンがカッコいい。伊集院「僕の中の小学生男子がワクワクしてます」。

「T京アールアンドデー」の技術者が「エンジンは機械設計の集大成。機械屋としてはロマン」と言っていたように、過去最高峰の難易度なのだろうと想像できる。そして前競技では完璧な優勝を果たした「Sニー」は、蒸気が水になると体積が縮むという仕組みを利用し、その力で綱を引く「お茶の魔ケトル MKZ-1300N」。その機体がやたらデカくて笑ってしまう。専門外の蒸気機関では勝てないと判断し、沸かした力ではなく冷えたときの力を使う逆転の発想。そのシステム上、一度しか綱を引けない一発勝負に賭けるというのが潔い。

ほかの2チームが想定外の事態に陥っていくなか、今回も「Sニー」だけは「完全に予定どおり」に機械が動く完全勝利。それでも「一昨日の夜中まであちこちがぶっ壊れまくった」と明かされていたとおり、改めて前回伊集院が言っていた「何事もないっていうのがどれだけスゴいか!」というのを実感する。制作ドキュメントVTRを観ても、リーダーが必要なときにまわりの協力を仰いでいたり、少数のコアメンバーがチームとなって中心に動いていったりしていたほかの企業と違い、関わる人数自体が多いのもさることながら、自然と中心メンバー以外からもアイデアはもちろん試作品まで出てくる「Sニー」の制作体制の強さは圧倒的で、競技の結果以上の差を感じた。

「最優秀悪夢(ナイトメア)賞」には、一度も正常に動くことがなかった(一回目は前段の蒸気で笛を吹くことすらできなかった)「T京アールアンドデー」の「スチームジャンクローラー」に贈られた。それを贈る際の伊集院の言葉が「失敗してもいい」とルールに明記されているこの番組の思想を見事に表現していた。

伊集院「悪夢ですよ。だけど悪夢を見ていい場所にみんな集まったじゃないですか。本業の仕事のときは悪夢を見ちゃいけない。でも今日見た悪夢のおかげでおそらくいろんなことを学んだんだと思うんです」「もう二度と同じミスをしないと思うんです。なぜなら、悪夢を見ていい場所でたっぷり悪夢を見たからです。そういった意味でナイトメア賞、おめでとうございます」。

『さんまのお笑い向上委員会』

前週放送の1本目の収録で、初登場にもかかわらず一度もさんまから触れられなかったタイムマシーン3号・山本。珍しいミスに「すまん、山本」とさんまも謝るも「ほっといてください、もう!」とすねる山本。さんまの反省が表に出ていたなかなかレアなシーンだった。

向上ゲストの宮下草薙へのクレームゲストとしてフルポン村上とトム・ブラウン。トム・ブラウンは暴走し頭を強打して共演者を引かせてしまって以来、125週ぶりの出演。彼らは営業、ドラマ、裸NGの宮下草薙に対し「恥の向こう側に行け」と訴える。「恥かきたくないからだと思うけど、恥かかないと」と主張する村上に「村上さんには関係ないかな」「今日初めてしゃべったような間柄ですよ」と草薙。

そんな村上は用意してきたギャグ=チープものまねを振ってもらえるように仕向けるが、そう言えば言うほど振らない流れに。それでも「『オルフェンズ畑任三郎』あります」と挟み込むと競馬好きのさんまが一瞬で食いつく。が、ものまね自体はハネず。「えなり歌舞伎」も披露するも、やはりタイトルを言うところがピークだと言われ、「小泉十二指腸元総理」、「泣いてるジャクソン」、「四輪駆動静香」などタイトルだけを言って笑わせる展開に。

それでもエンディングコーナー「閉店シャッター」でも「イタリア長介」などのチープモノマネを披露しつづけ、だんだんとその空気になっていくと、最後に披露した「お化け田鉄矢」の「僕は死んでまーす」というひと言でついに爆笑をかっさらう。番組テロップでは「持ち前の鈍感力」と表現していたが、なかなか受け入れられなくてもやりつづける村上の強さが光った。

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