テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。
『お願い!ランキング』
文章力豊かな芸人が、愛するものへの思いを己の文才でしたためる「文才芸人」。今回はザコシショウとトム・ブラウンみちおが対決。
「カクヨムWeb小説コンテスト」短編小説部門で「コミックフラッパー奨励賞」の受賞経験があるみちおは、「ゲーム」「十年愛」というお題に、それぞれ「ゾンビ飯」、「お風呂飯」という、みちおらしいちょっと不思議な世界観を描きつつ、文章の構成も巧み。ふたり共、文字数を400字に収めるのが大変だったそうで、ザコシは最初、ルールを無視して600字で提出し「困ります」とスタッフから注意されたという。
ザコシは「ゲーム」のお題には、「ゲームってあれがあれなんだよなぁ」というタイトルで「お! ええやんええやん! /シュシュっといってる? /ション・ベンオです。(爆)」という書き出しから、ゲームの定義を問うような文章を綴り、最後に「何がいいたいかっていうと、/上上下下左右左右BAで/全部つくってことですわ。」とコナミコマンドで締める。文章の専門家が「話し言葉で徹底的に貫き通す意志を感じた」と評すように、終始、いつもの口調のままの口語体。「お! ええやんええやん!」という冒頭の「前口上」をいつもつけるのがこだわりだそうで、文字数をオーバーし削らなければならなくても、ここは絶対取れない「ポリシー」だと言う。締めの文章に専門家から「ファミコンの操作だが、わからない人が多いのでは?」と指摘されると、ザコシ「これをさあ、コナミコマンドでっせ!みたいに書くと、サムいわけですよ!」。
「十年愛」というお題には、『R-1ぐらんぷり2016』で優勝したときにやめればいいと言われたが「でもそれをやめると絶対におもしろくない人間になると思った」とマジメに語る「動画制作」をテーマにして、「十年愛の文章読めて嬉しそうやな」とタイトルの文章を寄せた。「今回のテーマは/「佐山サトル」なんだろ?/え?ちがう?/そんなテーマじゃない?/お前なめてんの?/ねえ?俺の事なめてんの?/俺がテーマ佐山サトルって言ったら/佐山サトルやらねえと……/なめてんのか?/ぶち殺すぞコラ―!って/すんません/本当のテーマは/「十年愛」だって。」とおなじみのシューティング合宿の場面を描写しつつ、最後はマジメに「動画やる10年前と比べたら/いろんなお笑い力が/身についていってよぉ、」などと綴る。
これにやはり専門家から「テーマに入るまでに字数の半分を使っている。とってももったいない」と評され「佐山サトルのくだりは取れない!」とザコシ。「芸人が十年愛を書いてくれと言われたら全部400文字十年愛のことを書いたらサムいわけですよ!」と主張。これを聞いて、400字「十年愛」について書いてしまっていたみちおは顔を曇らせる。それに気づいたザコシはすぐに「お前は別にいいよ、面と向かってサムいって言ってるわけじゃないよ」とフォローする優しさも垣間見せる。みちお「ちょっとショックでした(笑)」。
400字という短い文章の中にもザコシショウの芸人としてのポリシーが詰まっていてとても興味深かった。
『有吉クイズ』
「有吉とメシ」の新作ということで横浜市鶴見区に。ブラジルの豆料理を食べに行くという。家の「観葉植物が全滅」したという有吉は、道中、「道端に生えている草木は誰に所有権があるのか?」と、前回酷評した秋山の「都か区か委託かクイズ」のような疑問を口にする。すると「後日リサーチ」と解説が入る。所有者のない、誰のものでもないという「無主物」という考え方があるそう。
さらに街中で目に入る「LEDではない信号」「イレギュラーの色のサインポール」「斜めに置かれた看板」「壁に描かれた絵」「商店街にかかるBGM」「公衆電話」「門を突き破った木」などに小さな疑問を有吉が口にすると、それらに対しいちいち「後日リサーチ」が入っていく。やたら情報量が多い回。「秋山に情報量負けるわけにはいかないんで」と笑う有吉に秋山「僕の問題のときにめちゃくちゃ言ったのに、変わらないじゃないですか!(笑)」。
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