ラッキーが見ていた景色(ランジャタイ国崎)


人生において、最高に面白い、最高にカッコいい、最高にダサい、最高に最高の、

そんな最高の瞬間に出会った時、

あたくしは

『ぬはーーっ!!?!』ってなる。

最高。

本当に人生は楽しい。

他人にとってはどうでもいいことだけど、

本人にとっては一生心に残る瞬間がある。

本人にとってはどうでもいいことだけど、

他人にとっては一生心に残る瞬間がある。

これはすごいことだなあオイ!

意味わかんないもん!

言葉にはできないけど、

この星にはなんてことない瞬間だけど、

その星の中の、

小さな、小さな、砂粒みたいな、

1人の人間にとっては、言葉にできない、

たまらない瞬間がある。

そんなの、

意味わかんないもん!

中学生の時に、

友達のマーピーと小山くんと3人で放課後、

近所の小学校の校庭で、バスケットボールをしていた。

3人とも白熱していて、カッカしていたのか

ボールが向こうへ行って、えんぞろ(富山弁、道端にある溝みたいな所)に落ちた。

マーピーは「早よボール投げ入れい!!」

と言ったけれど、

ボールを持った小山くんは

「やめといたほうがいいと思う!」

と言った。

それでもマーピーは

「ふざけるなちが!早よせいちが!!早よ投げ入いダラ!!」

と、富山弁でまくし立てた。

そしたら小山くんが

「そんなにいうならマーピーjg’gdpw#tぱー!!」

みたいな奇声をあげて、

マーピーめがけて思いっきりボールを投げた。

勢いよく飛んできたボールを、

マーピーは

「パーン!!」と、顔面の前でキャッチした。

その時

ボールには大量の「ドブ」がついていて

『ビチャ!!』

と、

マーピーの顔は、たちまち真っ黒になった。

瞬間!

マーピーは

「ちびてっ(冷たい)!!」

と叫んだ。

ドブ顔になるのと、ほぼ、同時に叫んだ。

『『『ビチっちびてっャ!!』』』

だった。

そのあと顔面が真っ黒になったマーピーは、

ひーん!と泣いていた。

それがあまりに面白くて、あまりに面白くて、

1か月くらいずっと笑っていた。

授業中も、家でも、寝る前でも、起きても、

腹を抱えて笑っていた。

「ま、マーピーがあ、マーピ、マーピーひひっ、はははは!!マー、マーー!ひひひ!!」

家で何回もこの話をしては、

まったく伝わらない、

父、母、妹。

家族全員、引いていた。

母親はよくこんな息子を育ててくれた。

今のところ、人生で1番笑った出来事だ。

なんてことない出来事だけれど、

その場の、その瞬間の、その構図の、その人の、

そのタイミングじゃなきゃダメな、

ドブじゃないとダメな、

「ちびてっ!!」じゃないと、

言葉ではまったく伝わらない、

できれば脳内映像を見せたいが、これは僕だけが持っておきたい宝物だ。

あれを特等席(マーピーの真横)で見れた僕は、

本当にラッキーだった。

話は変わりますが、

あたくしの前世の、話をしましょう!

人から教えてもらった、

あたくしの前世を〜


とある前世のお話

それを聞いたのは、

3年前くらいに天竺鼠川原さんとご飯を食べていた時で、

もう1人、

川原さんと昔から仲の良い友人の方がいて

その方が『前世』が見えるらしく、

僕を見て、笑いながら話してくれた。

話してくれた方が、とても楽しそうに話してくれたので、

こちらも楽しく話したいものです。

聞いたところによると、

あたくしの前世はデッカイ隕石だったらしい。

デッカイ石が

ずーっと宇宙空間を飛んでいて、

飽きもせず

ほんとにずーっと、

宇宙空間を猛スピードで、

ひたすらに発光して飛んでいたらしい。

当時のあたくしは

飛ぶのが大好きで、

いつも

飛びながら過ぎていく、

星たちの綺麗な

ピカピカした宇宙の光景がたまらなくて

それにハマって

ひたすら飽きずに、

なんと500年も飛んでいたらしい。

そして、500年間飛び回って、

ちょっと気が変わったのか

『1度、どっかの星に降りてみよ!』

と思った。

ここでバカだったのが、また飛び立てると思っていた。

ズザーーっ!!

近場の星に降りて、しばらくしたものの、

誰も、なんにもいない。

案外つまんないなあ〜!

『やっぱ飛んでるほうが楽しい!!』

そう思って、

飛ぼうとしたけど、そこはデカイ石のかたまり。

翼もなんにもない石だけに、

『飛べない』と気づいたときは、

相当焦ったらしい。

そこでどうしようとあたふたして、

数ヶ月がたったある日、

自分の左側から、

ミミズみたいな虫?がウニョウニョとやってきて、ゆっくり自分の前を通り過ぎていく。

『!!!!!』

それがすごく嬉しかったみたいで、

『自分の他にも、この星にいるんだ!!』

感動して、またその虫がやってくるのを待つことにした。

ひたすら待って、

待って、

ひたすら、

ひたすら、

ひたすら、

ひたすら、

200年後。

『あ、もう来ないな』

気づいたあたくしは、

そこで大変なショックをうけて、

真っ黒になって死んだらしい。

あんなに発光していたのに。

これを話してくれた人が何故か笑いをこらえながら話してくるので、なんで?と聞いてみると

この話をしているときに、

僕の横に、

未だに「前世の黒くなった石」が中継のように、ワイプで見えてるからだと、笑ってしまったという。

未だにどこかの惑星に、僕の元石がある。

さらにその人は、

「あはは!国ちゃん、さらに前前世はヒトデみたいな宇宙人やわ!」

前前世。

隕石の前は、ヒトデによく似た生物だったみたいで、

ヒトデ型の生物しかいない星にいた、ヒトデ生物だった。

その生態は、

朝日が昇ると、みんな海から出てきて、その光めがけてひたすら踊るだけの、変な生き物。

各自に踊り場があり、みんな楽しく踊り、日が沈むと、しゅんと残念がって海に帰っていく、ヒトデ生物。

僕なりに、海のはじっこにある海岸を見つけて、専用のお立ち台みたいなところがあって、たまに違うヒトデが踊ってきて邪魔されたりしながらも、後ろのほうで楽しく踊って、そこでせっせと踊って、200歳でパタリと死んだらしい。

『国ちゃん、あはははすごい!これが、いままでの、国ちゃんの歴史でダントツで楽しかったみたい!』

「ヒ、ヒトデの時が?!」

『うん!めっちゃ幸せそう!』

「、、、、」

隕石よりも、現世よりも、

この『200年踊ったヒトデの日々』が

いまのところダントツで楽しいらしい。

そんな気がしてきた。

あのときが、ダントツで楽しかった気がしてきた。

川原さんも笑っていた。

川原さんも前世は宇宙人で、

『地球が楽し過ぎて、ずっと地球を8周くらいしている宇宙人』

だという。

ゲームでいえば、7回全クリして、8周目に突入している、地球好きの変な宇宙人だ。

「お互いやばいっすね〜〜!」

ガハハと笑うと、

川原さんが

『地球楽しもうな、国〜』

ビールを飲みながら、何か言っていた。

いい星だと思った。

今世も楽しめそうだ。

池の向こう側の景気


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