○○らしさに苦しんできたからこそ

「僕たちは歌とダンスを見ることしかできない」と語りつつ、その言葉以上に真正面から参加者たちと向き合う姿勢にはSKY-HIの過去が関係している。
今でこそG-DRAGON(BIGBANG)やMINO(WINNER)など、アイドルという肩書を持ちつつもラッパーとして認められている人物が増えてきたが、SKY-HIがステージに立ち始めた約15年前はモデルケースになる存在がいなかった。端的に言うと、SKY-HIは異端だったのである。
「グループAAAを始める一方で、ラッパーとしてアンダーグラウンドのクラブに通い詰めたのも18歳のころ。アイドルが好きな人からは『アイドルらしくないことはやめてほしい』とたくさん言われたし、アンダーグラウンドな人からは『アイドルをやっているなんてラッパーらしくない』と言われた。“○○らしくない”っていうのに、苦しめられてきた経験がすごく強くあって」

フリースタイルバトルでアイドルであることをネタにされた過去やアイドルファンの心ない言葉に傷ついた記憶を指でなぞるように、SKY-HIは語った。そんな彼だからこそ、「SNSでアイドル向きじゃないと言われた」「(ほかの)オーディションでは落ちてしまったけど、夢を諦められない」と語る参加者たちと強く共鳴したのだろう。
ここで「かわいそうだから……」と情にほだされることもできる。というか、むしろそうしたほうがたやすい。しかしSKY-HIは、そんなことは絶対にしない。「すべての人と歩みを進めていくことはできない。悔しい想いをさせる側になる。でも、情にほだされるようなことがあったら、それこそ彼らの才能に対する冒とくだから。ちゃんと向き合う、審査をすること以外に方法はない」という信念があるから。
BMSGの代表として、オーディションの発起人として。誰かの人生を自分が左右する覚悟を背負い、SKY-HIは『THE FIRST』に臨んでいるのである。

SKY-HIが才能に溺れかけた名古屋会場
さて、2次審査へと戻ろう。札幌・名古屋・大阪の会場でも、才能との出会いは止まらない。
札幌会場では、White Explosionのメンバーとして活動している大久保永遠が参加。プロポーションが抜群で、SKY-HIが思わず「手足が長いな。スタイルが特にいいですね」の感嘆の声を上げるほど。「パッと思いつくことありますか?」とムチャ振りをされた際には、コウメ太夫のものまねを披露し審査に笑いを起こした。

「才能が渋滞していた」「濃いよ……溺れる……」と数々のキラーワードがSKY-HIから飛び出したのは、名古屋会場だ。
書類審査から期待値の高かった、俳優として活動している三山凌輝。14歳にして身長178cm、独特な色気を放つ黒田竜平など才能の原石が盛りだくさん。


また、ダンス・歌・ラップが完全未経験でありながら、未知数で惹きつけたカドサワンレイコがいたのも名古屋会場である。半袖でオーディションに参加していることを不思議に思ったスタッフが声をかけると「緊張し過ぎて、寒いかどうかもわからない」と告白。審査が終わると「やっと寒くなってきました!」と語り、その集中力を見せていた。

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