親父はピンク・フロイドが好きで、お母さんは平野レミみたいにテンションが高い
約束した時間になり、パソコンの画面にトミータの顔が現れた。最初は照れて、「はは、えーと、今日はちょっとじっくりと話したくて」「ははは、じっくりと話すんだ」みたいに、どうしていいかわからなかったが、気を取り直して話し始める。
「まず、生い立ちから聞きたいんだけど」「ははは。そこからなんだ」と笑いながら、トミータはアルバムをモニタに向かって見せてくれた。彼は2020年の4月に結婚式を挙げる予定で、ギリギリまで準備を進めていたのが、やむを得ず延期することになってしまった。私も招待してもらっていて、久々に周辺の仲間たちにも会えるのを楽しみにしていたのだが、残念ながら叶わなかった。その結婚式の演出用に用意した写真が、ちょうど手元にあるという。その写真を見せてもらいつつ、幼少期の話を聞く。
――トミータって何年生まれだっけか?
トミータ 1980年生まれ。千葉で生まれた。千葉の千葉市。
――それはなんで、というか、お父さんが千葉の人だったの?
トミータ いや、両親とも千葉で、母方の実家に、親父がマスオさんみたいに来て、じいちゃんばあちゃんと2世帯で住んでた。婿に入ったわけじゃないんだけど。
――へー。
トミータ これがね、七五三の写真。
――あれ! 兄弟いるんだっけ?
トミータ いるいる。3人兄弟。俺、長男。これさ、七五三の写真なんだけど、ちょうど年齢が7歳、5歳、3歳なんだよ。
――兄弟いたんだな。前に聞いたっけ?
トミータ 言った気がするけどな(笑)。兄弟は今、みんな結婚して子どもいる。
――そうなんだねー。
と、こんなふうに、改めて友達のことを最初から知っていくみたいにいろいろ聞く。小学校のころのトミータはやせ形で小児喘息持ちで、入院することもたびたびだったという。ご両親は心配しただろうな。
――お父さんはどんな人なの?
トミータ 親父は59歳で死んじゃったんだけど、ちょっと濃い顔しててさ、港の設計をするような仕事をしてた。土木の仕事だよね。護岸工事どうするかとか、テトラポッドみたいなのをどうやって配置するかとか。海外出張で単身赴任が多かったから。
――あ、そういうふうに長い間海外にいたりしたんだ?
トミータ そうそう。長い間、家にいなかったりした。国際電話とかがさ、まだすごいタイムラグがある時代だったから、こっちから話しかけて、1秒、2秒して親父の声が聞こえてくるの。週1ぐらいで電話してた。俺が中学ぐらいのときに親父は独立して、それからはずっと国内にいたけど。
――お母さんはどんな?
トミータ 優しい。優しいけど、変わってるね。テンションが高くて、平野レミみたいな。ひとりでずっとしゃべってるし。お母さんも、親父も、音楽が好きで。
――そうだったんだね。家で音楽がかかってるみたいな?
トミータ 親父がプログレが好きで、ピンク・フロイドがすごい好きで。お母さんはビートルズがすごい好きだった。