【『No No Girls』レポート#16】ちゃんみなから届けられたメッセージ「誰の手も離さないから。できる、信じて」

YouTubeの総再生回数は5億回を超え、若い世代から絶大なる支持を得ているラッパー/シンガーのちゃんみな。そんな彼女が、SKY-HIが主宰するレーベル/マネジメント「BMSG」とタッグを組んで始動したオーディションプロジェクト『No No Girls』。
「今までいろんなNoって言われてきた人たちを救いたい」と、本オーディションのプロデューサーであるちゃんみなは宣言。そして、ここから生まれるガールズグループに所属するアーティストには、以下3つの“No”を求めるという。
No FAKE(本物であれ)
No LAZE(誰よりも一生懸命であれ)
No HATE(自分に中指を立てるな)
2025年1月24日にYouTubeにて配信された『No No Girls』Ep.16では、1月11日にKアリーナ横浜で行われた『No No Girls THE FINAL』に向けた準備と、本番の裏側の様子が届けられた。
目次
私を信用してほしい
ついに『No No Girls』最終回。『No No Girls THE FINAL』までの裏側が配信された。



本番まで1週間前。ちゃんみなを含めたリハーサルが行われていた。ちゃんみなは『No No Girls THE FINAL』のトップバッターを飾る。そこで「美人」を歌うことを知り、うれしそうなのはCHIKAだ。彼女もまた最終審査のソロパフォーマンスで同曲を披露する。
「超えられると期待して同じ曲を……いい意味でケンカを売られた感じなので。すごくポジティブに受け取ってるというか。いい意味でプレッシャーになったし、自信につながってます」

ソロ曲の確認も行われた。厳しい表情で指導していた以前とは違い、まるで親のように温かな表情で見つめるちゃんみな。候補生の成長を感じているのかうれしそうだ。パフォーマンス一つひとつに「最高」と声をかけていく。

一方で、改善点はスマートフォンにメモして細かく指導。完璧を追求していく姿勢は変わらない。
候補生とちゃんみなの距離は縮まっていた。ちゃんみなに悩みを直接相談する候補生たち。FUMINOはあるフレーズの歌い方に悩んでいた。講師からは鼻にかけて歌うように言われたが、裏声との差がわからないという。するとちゃんみなは、「どっちが好きなの?」と返す。
「他人にどう思われるかより、自分がやりたいほうにして。他人にこう思われるかもしれないからこうする、それは絶対やめて。自分がやりたい方向で進めて、それが正解だから」
まわりに合わせたパフォーマンスではなく、自分が見せたい自分を見せるように、とアドバイス。

YURIはメンバーたちのパフォーマンスを見て自信を失い、涙を流していた。こんなに縮こまるタイプだと思ってなかったというと、ちゃんみなはこう伝える。
「向き合えてなかったんだよ、自分の弱い部分と。無視してきたんでしょ? 強がらないといけないと思って生きてきたんじゃん。だけど大丈夫。みんながいるから。YURIの中にいる弱い自分に謝ってあげてね。謝って、弱い自分と一緒にステージに立とう。がんばれ」


ちゃんみなとYURIはハイタッチした。そんな彼女たちの様子は、親子のようであり、先輩・後輩のようでもある。候補生とちゃんみなの関係性は、以前とは少し違っているようだった。
どうやらそれには、わけがあるようだ。実はちゃんみなは自宅に候補生たちを招いたという。というのも、以前行ったバンドリハーサルの際に、候補生が緊張で震えていた様子を見て、ちゃんみなは自分のことをまだ信用してもらえてないのではないかと思ったのだそうだ。

リハーサルは何度失敗しても許される場所であり、何度やりたいことがあっても付き合ってくれる仲間がいる唯一の場所。私の目も信用すること──そう伝えていたちゃんみなだったが、候補生たちにとって“ちゃんみな”という存在は、“プロデューサー”であり“審査員”でもある。そんな思いを感じ取ったちゃんみなは、自分のことを信用してもらえるように、素の自分を見せられる機会を設けたという。
「今日はみんなが信頼してくれてる感じがあって。自分から疑問点を聞きに来てくれたりとか。本当にいい時間だったと思います」

5カ月ぶりに集合したNo No Girls30人

本番まであと6日。連日リハーサルを行う候補生。しかしこの日、集まったのはファイナリスト10人だけではない。
5カ月ぶりにNo No Girls30人が全員集合した。『No No Girls THE FINAL』では、3次・4次審査の課題曲も披露されることが決まっている。ファイナリストだけでなく、3次審査以降のメンバー全員が2万人の前でパフォーマンスを披露するのだ。



かつて候補生だった彼女たちも急成長を遂げていた。表情が晴れやかになり、自信に満ちあふれている。自分と向き合うこと、歌やダンスを楽しむこと……ちゃんみなから言われた言葉を受けてみんな変わろうとしていた。髪型を大きく変えて、イメージを一新させているメンバーも多い。
3次審査のBlack Pantherチームは、FUKA以外がファイナリストとなっていた。FUKAはがんばっている候補生に刺激を受けて練習をしていたという。そんな彼女が戻ってきたことに喜ぶメンバーたち。
KOKONA「(FUKAには)もともと必要なエネルギーがあったので」
JISOO「FUKA会いたいって、ずっと言ってたよね」
CHIKA「センターが締まる!」

3次審査までの参加となったYUJUはどうだろうか。ちゃんみなからは、ずっと同じ表現だったのが気になったと言われていた。その言葉を受けて彼女は、「自分がどういう見られ方をしたいのか、どういう表現が合っているのかを分析できないまま、曲のイメージにつられて強い表現をしてしまって。それが自分に合わなかったので、もっと自分を研究する時間が必要だったと感じます」と話す。
「キューティーハニー」が課題曲だったEDELチームにいたYUJU。リハーサル中、ほかのメンバーに合わせてかわいい表現に寄せようか悩んでいると、YURIがこうする方法もあるとすぐさまアドバイスしていたのが印象的だった。「ハニーフラッシュ!」と誘惑するような表現ひとつにしても、自分らしさを出す方法があるようだ。
YURIは自分たちの「キューティーハニー」についてこう話す。
「みんないろんなキャラクターのハニーフラッシュがあって。この振り(手を伸ばす仕草をしながら)だけでも思いが全然違うから。そういうところは見ていておもしろいんじゃないかなって」

『No No Girls THE FINAL』は、音楽関係者にアピールするチャンスでもある。そのためNo No Girlsは、年末年始の休みを返上して練習に励んできた。


「人間AMIをスキルが上回ってこない」とちゃんみなに指摘されていたAMI。この難しい課題を克服するために、自己分析能力と自己愛に向き合ってきたという。自分を認めるためには実力をつけなければならないと気づき、ひとりで大阪から上京してダンスやボイトレに通っていた。


ラップで存在感を発揮していたASHAもまた、ちゃんみなから言われた課題と向き合っていた。
「自由なことをするためには型にハマらなきゃいけないことがあるの。(……)ラッパーとしても、アーティストとしても、ズバ抜けないとダメです」
ちゃんみなからこう言われていたASHA。4次審査で指摘されたことを改善するために練習を重ね、もうあのころの自分ではないという。さらに、「ステージでのパフォーマンスには自信がある、会場の沸かせ方は一番目につくと思います」と意気込みを語る。


来てくれてる人はみんな味方

本番4日前。本番の衣装を着てリハーサルを行う。5次審査の課題曲だった「Tiger」のリハーサルでは、ショッキングピンクと黒を組み合わせた衣装をまとっていた。審査当時のモノトーンのレザーを基調とした衣装とはまた違う、魅惑的なスタイリングだ。
またこの日は、最終審査の課題曲「Drop」のリハーサルも行われた。

20人のNo No Girlsは、ファイナリストのパフォーマンスを観て、悔しさと刺激を感じているようだった。
JEWEL「うわーすごってなって、その5秒後ぐらいによっしゃがんばろうって。本当に心の底から思いました」
MOMO「あと一歩であそこに立っていたんだなと思うと悔しいです」
AIKO「正直いうと悔しい。そのぶん、もっとがんばんなきゃって思いました」
HIBIKI「誇らしいよね。もうプロなんだなって。もっとがんばらなきゃなって思いました」


一方で、ファイナリストは20人を前にしたパフォーマンスに緊張を感じていた。
JISOO「正直、本当に緊張しすぎちゃって。なんにも練習どおりにできたことがなかったので心配してたんですけど、自分はこれしかないと思う」
KOKONA「楽しむことより緊張が勝ってしまったような感じがしたんですけど、今日ここで緊張を経験したので、緊張するとこういうパフォーマンスになるんだなというのを動画で確認したりして、不安を全部解いて本番を迎えたいなと思っています」


なにより緊張していたのはKOHARUだ。リハーサル中には涙を流す場面も。
「今日は30人の子がいたのと、ダンサーさんたちがいたことが今までと違ったと思っていて、(人が多いことに)影響を悪い意味で受けてしまって。いつもと違う環境にいることの圧に負けた感じがしていて。集中力が定まらなくて、もどかしい気持ちをしたリハーサルだったんですけど」
そんな10人にちゃんみなは言葉をかける。
「わざと言うけど、お客さん2万人だけど5万人の応募があった。心配しないで、来てくれてる人、みんな味方。今まで準備してきたものはステージがものをいうから大丈夫。4日間で心配事をできるだけなくすのがみんなの課題。(……)楽しめっていうことではないんだけど、楽(ラク)ではあってほしい。楽でなきゃリハでできていたものも出せなくなっちゃう。楽でいるためには心配事を減らして、事実的に大丈夫にする。自分の目で見る、大丈夫だっていうのを」
最後にはこんなことも。
「ここから先、SNS見んな」


2万人の歓声が響きわたった『No No Girls THE FINAL』

いよいよ本番当日。Kアリーナ横浜にはNo No Girlsファンが集まっていた。番組を観て励まされたという声も多い。彼女たちに早く会いたいと待ち遠しい気持ちでいるようだ。中には課題曲で候補生が着ていた衣装とおそろいのものを着てきた人もいた。
そしてついに、『No No Girls THE FINAL』が始まった。真っ暗の会場に音楽が鳴り始めると、ステージが明点。2万人の大きな歓声がブワッと湧き上がる。しばらくしても観客の興奮は冷めることなく、割れんばかりの歓声は続く。
個々の熱狂が一体となり、すさまじいエネルギーがステージに向けられていた。ちょっとでも油断したら飲まれてしまいそうである。そんなステージに次々入っていくNo No Girls。
観客に向かってパフォーマンスでぶつかっていく彼女たちは、このステージが初めてとは思えないほどに堂々としている。その自信に満ちた姿には、これまで彼女を見守ってきた観客にとって涙腺を刺激するものがあったに違いない。





ステージ終了後、ASHAは涙声になりながらこんなことを話していた。
「自分が本当にアーティストになったときに、こういう景色をずっと見ていたいなと思いました。前の自分は“自分は自分”みたいなキャラクター、固定観念が多かったので、そんなのいらなかったよって言ってあげたいです」

「みんながきれいな夢をつかむまで絶対泣かない」

この日はファイナリストの審査発表も行われた。自分たちのステージを終えて見守っていた20人は、KOKONA、FUMINO、KOKOの名前が呼ばれなかったことに動揺している様子。顔を手で押さえ、ショックを隠しきれない。


すべてのステージを終えて、ちゃんみなは3人にフィードバックしていた。まずはFUMINOから。

「FUMINOは本当にこのオーディションを通してすっごい成長したと思う。いい意味でどこでもやっていけるという判断でした。自分でもわかっていると思うけど、私がプロデュースするものよりも、もっと素敵に輝ける場所があるだろうなと思って。FUMINOの魅力を最大に活かせる場所、私が受け取ってしまったらFUMINOは幸せなんだろうかってことも考えた。あのステージでずっと輝いてたし、ずっと最初から最後まで素敵だったから私は自信があります。絶対大丈夫だと思う」

続けて、KOKONAにはこう伝える。
「なりたい自分がもうちょっと明確になったほうが輝けるだろうなって思う。けど、焦る必要はないという判断だった。今、私がガンガンやっても、KOKONAが音楽を嫌いになっちゃうだろうなと思った。私がプロデュースするということと、KOKONAが目指していることっていうのは似てるんだけども、同時に反していることでもあって。KOKONAの幸せを考えたときに、KOKONAがもうちょっとだけ自分のなりたいものにスキルをつけた状態で、もう一回戻ってくる姿が想像できた。信じています、ずっと見守っているよ」

そして、KOKOにはこのように伝えた。
「まだ受け止めきれていないのかなと思った。それが正直な意見。こんなにダンスが踊れて、こんなに歌がうまい子、私も手放すのは嫌だけど、自分がNoと言われてきたことをリリースしてほしいなと思う。ちゃんとリリースして、KOKOが今まで言われてきたこと、私が言ったこと、そしてKOKOが感じたこと、全部消化してほしいと思った。そしたら素晴らしいステージに行けると思った。けど、KOKOにはきっかけが必要なのかなと思ったからこの決断をした」

最後に、ちゃんみなはこう話す。
「みんながきれいな夢をつかむまで絶対泣かないから」
3人の手を握り「誰の手も離さないから」と言う、ちゃんみな。信じてよ、信じてよ、できる、できる、できる、と念じるように何度も呼びかけた。


「夢がある人たち、絶対最後までがんばりましょう」

審査発表後のフィナーレで、ちゃんみながファイナリスト10人と歌ったのは「SAD SONG」だった。「仲間と離れるのがすごくつらくてどうしようもなかったけど、ここまでの時間はずっと消えない。そう思ってあがいてどうにか音楽にした曲」だという。
<願うならこんな私が/死んでもこの愛だけは/せめて/残って咲いてますように>
<今はただこんな私の/この音とこんな歌声を/信じていて欲しいんだ/できるだけ>



ちゃんみなは、No No Girlsと2万人の観客にこう呼びかける。
「夢がある人たち、絶対最後までがんばりましょう」
こうして新生ガールズグループ「HANA」が誕生した。けれどもこれで終わりではない。No No Girlsの夢はまだまだ続く。


■BMSGオフィシャルYouTubeにて公開中「No No GirlsEpisode」
https://www.youtube.com/playlist?list=PL52OyqYAfVEfIkHgGErZdFdMmkTz4Z4fp
HANAが『Quick Japan』vol.177のバックカバー&17ページ特集に登場
ちゃんみなプロデュースによるオーディションプログラム『No No Girls』によって誕生したCHIKA、NAOKO、JISOO、YURI、MOMOKA、KOHARU、MAHINAの7人からなるガールズグループ・HANA。
2025年4月9日より発売となる総合カルチャー誌『Quick Japan』vol.177では、バックカバーと17ページにわたる特集「私だけの声、私だけの物語」にHANAが登場する。
7人でバックカバーを飾るほか、CHIKA&KOHARU、NAOKO&JISOO&MAHINA、YURI&MOMOKAの3つのユニットに分かれてインタビュー&撮り下ろしグラビアを実施。さらに、メンバーがそれぞれ「自分を表現する漢字1文字」というお題で書いたサインも掲載される。
『Quick Japan』vol.177は現在予約受付中。表紙&巻頭特集にはVTuberユニット・ぽこピーが登場し、ぽんぽこ&ピーナッツくん・クリエイターチーム・他ジャンルの表現者・ファンなど多角的な視点から、ぽこピーの表現世界と、クリエイターとしての生き様を紐解く80ページにわたる特集をお届け。

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