【『No No Girls』レポート#14】最終審査前、仲間への想いを伝え合う10人。KOHARU「自分に言ってあげたい言葉=人を助けられる言葉だと思っている」

YouTubeの総再生回数は5億回を超え、若い世代から絶大なる支持を得ているラッパー/シンガーのちゃんみな。そんな彼女が、SKY-HIが主宰するレーベル/マネジメント「BMSG」とタッグを組んで始動したオーディションプロジェクト『No No Girls』。
「今までいろんなNoって言われてきた人たちを救いたい」と、本オーディションのプロデューサーであるちゃんみなは宣言。そして、ここから生まれるガールズグループに所属するアーティストには、以下3つの“No”を求めるという。
No FAKE(本物であれ)
No LAZE(誰よりも一生懸命であれ)
No HATE(自分に中指を立てるな)
2025年1月10日にYouTubeにて配信された『No No Girls』Ep.14では、1月11日にKアリーナ横浜で行われる最終審査に向けて努力を重ねる候補者たちに密着した。
目次
KOHARU「人々の生きる理由になります!」
最終審査を前にして、ちゃんみなは1on1面談を行っていた。客観的に審査をするため候補生とは深く関わることを避けていたそうだが、この日は入念に向き合う。

ちゃんみなが聞きたいことはふたつあった。
どんなNoと闘っていきたいのか、どんなアーティストになりたいのか。
KOHARUはどうだろう。ムードメーカーであり前向きそうにも見える彼女だが、実はこれまでずっと自分を否定してきたという。まわりから何かを勧められることがあっても、自分にはできないだろうと世界を狭めてきた。そんな中で『No No Girls』に出会い、自分を変えられる可能性を感じていたのだ。
「人は変われると一番伝えたい」

そう話すKOHARUに、ちゃんみなが提案した最終審査のソロ曲は「ディスタンス」だ。3拍子の美しいメロディが印象的で、舞台を見ているようなストーリー性を感じさせる楽曲。
「KOHARUの世界観でいっぱいにしてほしいの、Kアリーナを。(……)人生を見せてほしいから。人の前に立つ人には責任が伴う。その責任をどう果たすのかって、その人の中にある人情・魂が根源。そこが豊かじゃないと、2万人の心をつかむのはちょっと難しい。バレるの。KOHARUが何を伝えたいのか、何を変えたいのか、私はこうやって生きるんだっていう強いものが欲しい。それとリンクできる演出、ステージができるといいね」
その後、KOHARUは自宅で自主練を重ねていた。録音したボイトレを聞きながら毎日基礎練習をしているそうだ。
ソロ曲では候補生が自由にアレンジを加えていく。KOHARUは、原曲の歌詞と自分の思いを照らし合わせながら変更していた。ノートには歌詞に込めた思いが細かく書かれている。


ちゃんみなに完成した歌詞を見せると、「泣けるね」と言われたという。
「ちゃんみなさんにはノートに書いた歌詞に込めた意味を伝えてないのに、作り上げた歌詞だけを見ても伝わっていると思って、すごいなって思いました。音楽ってステキだなって」
そんなKOHARUは、ある日、姉に突然かけられた言葉に救われたようだ。
「あなたを愛せるのはあなたしかいない」
言われた瞬間、涙があふれたという。今まで自分にずっと言ってあげたかった言葉だった。KOHARUはアーティストとしてこんな思いを語る。
「同じ苦しみや悩みを抱えている人は世の中にいる。自分に言ってあげたい言葉=人を助けられる言葉だと思っているので、歌に、ダンスに込めて、人々の生きる理由になります!」



CHIKA「今はもうスーパー楽しい。不安はありません」
一方、「気づいたら自信がなくて」と話すのはCHIKAだ。ちゃんみなとの面談で、体型が理由で落とされたことがあると明かす。CHIKA自身もアーティストになるとはそういうものなのだろうと自分を否定してきた。その積み重ねによって、いつの間にか自分の良さもわからなくなっていった。
そんな中で出会ったのが『No No Girls』だった。「私のためのオーディションやと思っちゃって」とうれしそうに話す。そんな彼女だが、今後どんなアーティストになりたいのだろうか。

「自信はないけど胸を張って自分の音楽を伝えられる人間になりたい」
ちゃんみなは、それを受けてこうアドバイスする。
「CHIKAみたいなアーティストが強く立ってくれているだけで、肝据えてパフォーマンスをしてくれてるだけで、救われる人ってたくさんいる。ただ、手を引っ張ってくれるところもまで強くなきゃいけない。その人の人生を引っ張っていけるようにならなきゃいけないと思うし」


CHIKAに望むのは、人生を救える強さを持ったアーティストだ。そこでちゃんみなが提案したソロ曲は「美人」だった。すべての人は美しいというメッセージが込められた楽曲だ。
その後、スタッフがレッスンの様子を見に行くと、明るい表情で練習に励むCHIKAの姿が。彼女はこう話していた。
「楽しくていろんなアイデアが出るから、行き詰まっている感覚はないです。自分と同じ思いをしている人はいっぱいいる、その人たちが勇気を持っていけるような言葉にしたい」
CHIKAといえば審査のたびに自信のなさが課題とされてきた。そんな彼女が今はこう意気込んでいる。
「今はもうスーパー楽しい。不安はありません。もうとにかく私的には……一番会場を盛り上げるつもりでいるので」

FUMINO「ひとりじゃないんだよ、と音楽で伝えたい」
続いてちゃんみなと面談するのはFUMINOだ。現役高校生の彼女は、SNSに弾き語り動画を配信しており、なんとフォロワーは約5万人。

そんなFUMINOだが、学校ではつらい経験もしていた。自分のアンチアカウントが作られ、それが学校中に広まったことで孤立していたのだ。アンチには身に覚えがないことがたくさん書かれていたが、それを否定しようにも誰も話を聞いてくれない。そうした経験から、もう伝えられないことがないようにしたいという。
「自分が思ってることを隠しちゃう人っているじゃないですか。つらいけどつらいと人に言えなくて、自分でも気づけなくてそのまま壊れちゃう人って多いと思う。私もそのタイプで。急にパンって切れちゃうときがあって。そのときに助けられる、伝えられる手段が、私には歌があるなって思うので。ひとりじゃないんだよ、と音楽で伝えられたらなと思って」


そんなFUMINOにちゃんみなが提案した曲は、「In The Flames」だった。外側で判断されることに対して疲れたときに作られた曲。見せ場のひとつはソロピアノだ。
ダンスには奮闘している様子。1回目のレッスンではまったくついていけなかった。それからは自宅のランニングマシーンで走りながら歌の練習をしているという。
どういう人に歌を届けたいか。ちゃんみなに聞かれ、FUMINOはこう答えていた。
「私のことを知りたいと思ってくれた人には届くといいなと思います」

KOKO「個性をリスペクトできる場所ってあるようでなかった」
KOKOはこれまで何と闘ってきたのだろうか。ちゃんみなにこんなことを明かしていた。
「小さいころからでひとりでステージに立つ機会をもらえることが多くて。そういうことがきっかけでいじめを受けることが多くて、中学生・高校生になっても『自分ってなんなんだろう?』みたいな。(あるときに)『あなたが目立ちすぎてるから個性を抑えて踊って』と言われて。それでさらに落ち込んじゃって」

それを受けてちゃんみなは、「私は少なくとも個性を存分に出してもらいたいから」と答えた。続けて「どういう人にどういうエナジーをあげたいと思う?」と問うと、KOKOはこう語った。
「自分もいじめを受けたからこそ、弱いものを攻撃するという価値観をなくしたい思いが強くて。私が自分を表現することで、自分らしくいることの大切さとか、立場関係なく世界中みんなが対等で、自分自身にも希望を与えながら人にも与えていきたい」

そんなKOKOにちゃんみなが提案したのは「ダリア」だ。「美人」のサイドストーリーをイメージして作られた曲。ダリアの花言葉である「裏切り」「うつり心」をテーマにしている。
「ダリア」には自分と重なるものも感じるというKOKO。2次審査の課題曲でもこの曲を選択していた。思い入れのある曲を提案されたからか、うれしそうな表情を浮かべる。
しかし、KOKOは5次審査でちゃんみなにこんな指摘を受けていた。
「見せ方・表情・ダンス・歌、総合的にバランスがよかった。けど、ちょっとだけKOKOの天井が見えそうな感じがしている。KOKOが見せたいものがKOKOの中で固まりすぎてる気がするんだよね。最終的にたどり着く感情が同じとこに行く人はKOKOみたいなことになる」
それを受けて、KOKOはスタッフにこう語っていた。
「本音だとショックでしたね。これじゃダメだっていう。改めて覚悟が決まったというか。天井が見えたなら破壊するしかないから。もう弱音を吐いてるヒマもないし、ここでデビューしたいんだったらやるしかないから。なんとしてでも壁を超えた先の自分を見せたい」
KOKOはソロパフォーマンスに向けてダンスブレイクを作成した。曲の出だしに入れるという。踊ってから歌うという過酷なパフォーマンスに挑む。このオーディションにかける思いは強い。
「個性は消して統一感を出そうと言われることが、本当に多かった。個性をリスペクトできる場所ってあるようでなかったと思うので、自分はここにいたいんだろうなと思います」


課題曲「Drop」の振り入れ&レコーディング
本番まで約1カ月半。3日間の振り入れ合宿がスタートした。



初日は「Drop」の振り入れ。振り付けを担当するのは、ReiNa。15歳にしてダンス世界バトルで優勝し、世界を股にかけて活躍するダンサーだ。


ちゃんみなはReiNaに、ダンスの振りを“落とす”ではなく“突き落とす”イメージで作ってほしいとオーダーしたようだ。プロのダンサーでも踊るのが大変な振り付けになっているという。
難度が高い振り付けだが、1日で振り入れは完了。翌日には振り付けを通しで披露していた。実際にダンスを見たReiNaは、「成長スピードがすごく早かった」と彼女たちの様子を語る。




そして、本番まで約1カ月。本番さながらのバンドリハーサルへ。候補生たちはちゃんみなの前で初めてソロ曲のリハを行った。

「ローがもうちょっと出たら抑揚がつく」
「もうちょっと気持ちを込めて」
「キュイキュイって出る声が多いんだけどもうちょっと少なく」
「踊るときも『命かけてます、私』というのが見えてほしい。涼しくなる必要はない」
個別に直接指導するちゃんみな。明確に課題を伝えていく。中でも特に完璧を求めた課題は「発音」だ。あとでスタッフにこう話していた。
「基本なんで。英語を使う、日本語を使う、韓国語を使う、中国語を使う、自分の国じゃないお言葉をお借りして使うにはリスペクトが必要。私は特にそこを気にしているし、一番失敗もしてきたし、私が一番傷ついたところなので、彼女たちには傷をつけたくないし、傷ついてほしくないので。最低ラインまでには持っていけないと、ちょっと難しいかな」


さらに2日後。グループ課題曲「Drop」のレコーディングへ。


ちゃんみな曰く「『太鼓の達人』でいう鬼レベル」という高難度の曲。発音に苦労するメンバーが多かった。
続いてラップが得意なMOMOKAや歌が得意なCHIKAが、それぞれの得意分野でちゃんみなから指導される場面も。
ちゃんみなはレコーディング後にこう語る。
「できないのが当たり前です。できたらすごいねって感じなんですけど、最強のグループを作るにはこういうのできたほうが今後いいと思うので」

手紙を読み合う10人

いよいよ本番が間近に迫る……候補生たちは一緒に歩んできた仲間に手紙を書いていた。配信では、候補生が自分たちの手紙を読み、涙ながらに仲間への想いを伝え合う場面も。

最後に手紙の一部を抜粋したい。
CHIKA「1月11日はスーパーかっこいいうちらを観せよう!みんなでがんばろうね!愛しとうよ」
JISOO「急に来ることになった日本でのJISOOは、韓国でのJISOOより何でも2倍、3倍遅くて、私は毎日私のことがもどかしい。でもそんな私にみんなはいつも優しく色々教えてくれたし、応援の言葉をかけてくれたよね。だから私は寂しくないし、いつもみんなに感謝している!」
KOKONA「この中にはいつか誰かを救えるようになりたいと思う人がいるかもしれないけど、私はすでにあなたに何度も何度も救われています。救ってくれてありがとう。これからも一緒に泣いて笑って、音楽で幸せになろう。心を込めて、リスペクトたい」
KOKO「もしこんな仲間が出来たら幸せだなって思っていたものが今ここにある」
FUMINO「私にとってみんなは、とても大切な仲間で家族のような存在です」
NAOKO「これから日本中を幸せにする音楽と、世界中が笑顔になる瞬間を一緒に見たいです」
MAHINA「私はチームのマンネだけど、マンネなりに沢山みんなに力になりたいと思っているし、みんなが辛そうにしているのを見るのが私にとって一番辛いことでもあります」
MOMOKA「今の私がここにいられるのはみんなのおかげです。本当にありがとう。大大大大大好きだヨ」
YURI「自分でもびっくりするくらいみんなにはすぐ心を開くことが出来たし、みんなで過ごす毎日が楽しくて仕方ありませんでした。デビューしたいという気持ちは強いけど それと同じくらいみんなと過ごす時間が過ぎていくのが寂しくて 何度も時間が止まってくれたりしないかな~とか考えてました」
KOHARU「私たちはなんとも難しい関係だね。同じ夢を追いかけているライバルであり、あるときはふざけて笑い合ってる友だちで、弱ったときにはお互いを支えた頼りの存在だね。どんな形でも花咲かして、幸せになろうね」





■BMSGオフィシャルYouTubeにて公開中「No No GirlsEpisode」
https://www.youtube.com/playlist?list=PL52OyqYAfVEfIkHgGErZdFdMmkTz4Z4fp
HANAが『Quick Japan』vol.177のバックカバー&17ページ特集に登場
ちゃんみなプロデュースによるオーディションプログラム『No No Girls』によって誕生したCHIKA、NAOKO、JISOO、YURI、MOMOKA、KOHARU、MAHINAの7人からなるガールズグループ・HANA。
2025年4月9日より発売となる総合カルチャー誌『Quick Japan』vol.177では、バックカバーと17ページにわたる特集「私だけの声、私だけの物語」にHANAが登場する。
7人でバックカバーを飾るほか、CHIKA&KOHARU、NAOKO&JISOO&MAHINA、YURI&MOMOKAの3つのユニットに分かれてインタビュー&撮り下ろしグラビアを実施。さらに、メンバーがそれぞれ「自分を表現する漢字1文字」というお題で書いたサインも掲載される。
『Quick Japan』vol.177は現在予約受付中。表紙&巻頭特集にはVTuberユニット・ぽこピーが登場し、ぽんぽこ&ピーナッツくん・クリエイターチーム・他ジャンルの表現者・ファンなど多角的な視点から、ぽこピーの表現世界と、クリエイターとしての生き様を紐解く80ページにわたる特集をお届け。

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