写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
当たり前に存在する空
第115回。
家がひとつなくなっていた。
空き地からは不自然に感じるほどに大きな空が広がっていた。
空が当たり前に広いことを忘れるほどに社会は敷き詰められていて、高さや大きさを感じることといえば、権力や成功といった概念の中に存在していることに気づき、息苦しさで吐きそうになった。
それでも生まれ落ちた東京からいまだ離れることをしない自分の矛盾にも落胆した。
そんなことは知りもしない空はなによりも高く当たり前にきれいだった。
『森田美勇人Photo&Essay「青葉の音」』
発売日:2024年7月20日(土)
価格:3,200円+税
仕様:B5判/64ページ
販売:QJストア、Amazon
発行:太田出版
NAOYA(ONE N’ ONLY)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。