写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
ファッション界の影の立役者
第91回。
ここは広島県福山市にある糸の世界。
JUNRedが掲げるSDGsプロジェクトの企画で訪れたこちらは、備後撚糸株式会社。
糸を作り上げる工場である。
服などの製品を作るのに必要な生地選びまでは私自身経験したことがあったが、さらに遡って糸の仕組みまでをのぞくことは人生初の体験だった。
生地を作るのに糸が必要なのは想像できるが、糸が作られる過程をそういえばどうもよく知らない。
新たなロマンが潜んでいるのを感じながらこの日は取材に臨んだ。
まず糸にはさまざまな種類がある。
一般的に知られる綿やポリエステル、そしてこの工場で取り扱っている“紙糸”という珍しい素材など。
その素材に強度を加えるように何本も撚(よ)りをかけて糸にしていくケースもあれば、それらを研究し尽くした割合でお見合いさせ、撚りをかけて糸にしていくこともあるという。
割合の変化によって生地にしたときの機能性から見た目まで変わる、非常に重要な役割であり、そしてそれはとてもクリエイティブな仕事であった。
ファッション界で考えれば、デザイナーが脚光を浴びる世界だが、買い求めた人の一番身近に寄り添い、気持ちを高めてくれているのは、いつだって魅力的な生地にしてくれる糸ということだ。
いつだって輝かしい姿を彩る影の立役者、まるで恋愛ドラマの親友ポジション。
そうなってくると中島みゆきは歌謡界の撚糸工場か。
そんなことを彷彿とさせるようにおもしろおかしく説明をしてくれたのは社長の光成さんであった。
「糸でモテたい」という言葉が強烈に私の胸に残っている。
そんなロマンあふれる動画は、JUNRedの公式YouTubeチャンネルで観られるのでぜひ。
糸は人生でした。
NAOYA(ONE N’ ONLY)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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