写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
Z世代の言葉の変化
第79回。
11月もあっという間に過ぎ去ろうと、乾いた風が吹き抜ける東京。
この日は昼間に1、2キロほど散歩を。
きっと昼間も寒いだろうとフリースを着て出てみると日差しが強くて意外とぬるい。
これは失敗したなぁと思いながらもしぶしぶ歩を進めると、前から3人組の学生が肩をくっつけ、三者三様の出立ちで議論をぶつけながら歩いてくる。
どこか懐かしく微笑ましい姿に温もりを感じながら、いったいどんな話をしているのだろうと耳を傾けた。
しかし、すれ違いざまに聞こえた彼らの日本語はさっぱりわからなかった。
まったく理解できない言葉の応酬、おそらく略した何かではあるだろう。
テンションの高さからして、おそらく学業ではなく遊びの話か。
そのあたりまでは感じ取れたが、話の内容はさっぱりだった。
これがZ世代というものなのか。
いまだに、散歩なう(now)のおれはもう、わず(was)な人間なのか。
そんな焦りから冷や汗をかき、とうとうフリースを脱いで肩に巻きつけた激古プロデューサーと化した僕は、いつの間にか冬に打ち勝っていた。
そんなストーリーの果てに出会った水の反射がきれいな道。
深呼吸して頭を冷やすころには汗ばむカラダも冷えていた。
季節の変わり目、時代の変わり目。
NAOYA(ONE N’ ONLY)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、東啓介、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。