アルコ&ピース平子祐希が番組内で「むせかえるほど安いギャラ」と公言する、テレビ東京(以下、テレ東)の低予算ゲームバラエティ『勇者ああああ』。連載「『勇者ああああ』芸人キャスティング会議」では、同番組の演出・プロデューサーを務める板川侑右氏が、過去に呼んだ芸人・いま呼びたい芸人とその理由などをお話する。
「噛めば噛むほど」におもしろくなっていき、番組が困ったときに呼ばれては駆けつけて、今では番組のマスコットキャラクター的存在となった某敏腕コント師がいる。どんな企画でもその場の空気を読んでなんとか成立させてしまう、奇跡のお笑いコンビの起用理由を振り返った。
キャスティング会議のスローガンにまでなったお笑いコンビ
「風来のシレン」というゲームをご存知だろうか。1995年に「1000回遊べる」というキャッチコピーで発売されたダンジョンRPGで、ゲームオーバーになったらレベル1に戻るうえに、鍛えた武器や防具もすべて失うというシステムが話題を呼んだソフトである。そのシビア過ぎるルールゆえ、途中で匙を投げるプレイヤーも多かったが、一度その魅力に取り憑かれると睡眠時間を削ってでもプレイしたくなる、まさに「噛めば噛むほど」におもしろくなっていく不思議なソフトであった。もちろん僕自身もそんな「風来のシレン」に今もハマりつづけているプレイヤーのひとりである。
中でも印象深いのが作品中に登場する「困ったときの巻物」というアイテムである。その名の通り「困ったとき」に読み上げることであらゆる局面を打開できる。空腹のときに使えば満腹に、金欠のときに使えば大金を手に入れられる。どんな状況でもその場の空気を読んで何とか成立させてしまう便利なアイテム。ゲームをプレイしながら「こんな夢のような道具が実際にあったらなあ」と何度考えたことだろう。
しかし『勇者ああああ』スタッフはそんな便利なアイテム、いや芸人を実はすでに手に入れてしまっている。どんな企画でもその場の空気を読んで何とか成立させてしまう男たち、その名はラブレターズ。
番組の黎明期から何度も登場し、ときにはMC、ときにはビリビリ電流のリアクター、時には温泉ロケのふとん敷き要員……とメインでも雑用でも八面六臂の活躍を見せてきたASH&D所属の実力派コント師である。「困ったときのラブレターズ」、いつしかこの言葉はキャスティング会議のスローガンになっていた。「噛めば噛むほど」におもしろくなっていくラブレターズに僕らはこの3年間ずっとハマりつづけている。