ベボベ小出がトリプルファイヤー吉田の作詞をベタ褒めする理由
Base Ball Bearの小出祐介が元チャットモンチーの福岡晃子と2018年に始動したプロジェクト、マテリアルクラブ。そのデビュー作にゲストボーカルとしてトリプルファイヤー吉田靖直が参加した。吉田の作詞を絶賛する小出だが、その理由は何なのか。吉田のワードセンスに具体的に言及しながら語り尽くした。
※本記事は、2018年10月24日に発売された『クイック・ジャパン』vol.140掲載の記事を転載したものです。
楽曲誕生は「飲みレコーディング」で
――おふたりの交流はいつから?
小出祐介(以下、小出) もう1年くらい前になるのかな? 僕と岡村靖幸さんがやってる『PREMIUM ONE』という番組に吉田くんがゲストで来てくれて、そのときが初対面でした。僕、とにかくトリプルファイヤーが大好きなんですよ。トリプルファイヤーとペトロールズがいれば日本のバンドはもう十分。自分たちも含めて、ほかはもういらない。むしろ、早くそうなればいいのにと思ってて。
吉田靖直(以下、吉田) いやぁ……。
小出 それくらい大好きだったので、もし吉田くんと話が合えば、ぜひマテリアルクラブに参加してほしいなと思ってたんです。それでマテリアルクラブを一緒にやってるあっこ(元チャットモンチーの福岡晃子)主導でトラックを作って、このトラック上で吉田くんになにか言ってもらおうかなと。とはいえ、あらかじめ用意したワンフレーズを言うだけだと、ちょっと作為的な感じがしちゃうなと思って。
吉田 たしかにそれは難しそうですね、あざとくなりそう。
小出 そこで考えたのが、ボーカル・ブースのなかで飲み会をやるっていうアイデアだったんです。僕とあっこでいくつかトークテーマを用意して、そのテーマにちなんだエピソードトークを吉田くんにしてもらう。そういう飲み会を6時間くらいやって、後日その録音を聞き直しながら、よさげなフレーズを言っているところを抜き出してサンプリングしてみたんですけど。
吉田 すごい大変だったんじゃないですか?
小出 これね、マジで大変だった。クリティカルなフレーズがなかなか見つからなくて。それでもすみずみまで録音を確認していたら、僕がトイレに行ってるあいだにあっこと吉田くんがふたりで会話している時間があって、そこにあったんだよね、砂金が(笑)。
吉田 砂金(笑)。あれ、よく見つけてくれましたよね。僕はあの日、正直ちょっとミスったなと思ってたんです。つい調子に乗って、ゲスいことを言いすぎたなと。しかも、小出さんは後日それをシラフの状態で聞くわけじゃないですか、それを想像したら、めっちゃつらくなりましたね……。自分の品性が低い部分をあんなに出すべきじゃなかったなって。
小出 いやいや(笑)。全然そんなふうには思わなかったよ。まあ、そういう意味では(吉田の参加曲「閉めた男」でサンプリングされている)カーテンの話が一番ひどいというか(笑)。