シャムキャッツ夏目知幸が教える、ピザの本当の食べ方
窯焼きイタリアンピッツァ店で5年間アルバイトをしていた、シャムキャッツの夏目知幸。「ピザは洒落た食べ物ではない」と言い切る彼が、ピザの本来の楽しみ方を解説する。
合わせる飲み物、最初に注文するメニュー、食べ方……これを読めばきっとあなたもこれまでよりおいしくピザを味わえることだろう。
※本記事は、2016年9月1日に発売された『クイック・ジャパン』本誌vol.127掲載のコラムを転載したものです。
ピザ食うときにワインは飲むな。
ピザを洒落た食べ物だと思っている人が多いように感じる。それは間違ってる。なんならラーメンと同じだ。そこらへんにあるものを。パッと食えばいい。手軽なジャンクフードだ。過度に期待しないでほしい。眉間にしわを寄せて語ったり、いちいち点数をつけるような食べ物じゃない。味わっても仕方ない。モリモリ食べればいい。
お前どの立場から言ってるんだよとお思いだろうが、ぼくは窯焼きのイタリアンピッツァの店で5年間バイトをしていた経験がある。その間週5で、ピザが焼かれ食べられるのを見てきた。そして自分も賄いで週5でピザを食べ続けた。ただのウェイターのバイトだったけれど、それなりにピザがどういう食べ物なのか知っているつもりだ。
ピザに間違いなく合う飲み物は、コーラかビールだ。間違いない。ワインなんてダメだ。まずもって味の相性が悪い。ワインはゆっくり飲むものがいいと思うが、ピザはすぐ食うべきだ。ピザを上品に食べたところで、美味しく感じない。ラーメンをズルッとすすらないとうまくないのと同じに。
ピザをガッと食って、ビールをガッと飲む。どうだろう。想像しただけで走り出したくなる。ワインを水のように飲む人もいる。もしあなたがそういう人ならば、ピザとワインとで一緒に行くことをぼくは止めない。そのままでいてほしい。きっとその食い方はうまい。
ワインを飲みながらお喋りを楽しむ。大いに結構だが、テーブルの上でどんどんピザが冷めていく。3人の大人が、残り2切れのピザを前にしてお上品合戦を繰り広げると、勝者が決まる前にまずピザが死ぬ。無駄死にだ。そういう光景を、僕は何度も見てきた。
僕はピザを愛してるから、無駄死にさせたくない。だからこの文章を書いている。だけれど店員としては、ジレンマもあった。なぜってワインは儲かる。ボトルが入ればウェイターとしては楽だし、単価が高い。ぜひ売りたい。
蕎麦屋と同じに、最初ちょっとつまんで、最後ピザで締めるってやり方がある。オリーブとか、カポナータとかを食べつつ飲んで、最後にピザ。これだとビールも行けるし、ワインを飲みたい人も飲める。
ただ問題は、蕎麦屋だと〈ビール→日本酒〉という流れと〈つまみ→そば〉って流れはとても美しいけれど、〈ビール→ワイン〉と〈つまみ→ピザ〉という流れはダメだ。避けたかった、ピザとワインがぶつかってしまうのだ。