「民放キー局がネット同時配信」で、可処分時間の奪い合いはどうなる?(UUUM鎌田和樹)

2020.2.14

プラットフォームの境界が曖昧ななか、人気を掴むもの

YouTubeの様相も日々変化している。要因のひとつに、クリエイターになること自体のハードルが低くなったことが挙げられる。先日、秋元康さんと対談させていただいた際、彼は「作詞家もYouTuberも名乗ればなれてしまうでしょう。誰でもなれるけど、居つづけるのは難しいですよね」と仰っていた。

ここ数年、芸能人のYouTube参入は増えている。たとえば、2019年のカジサックさん、オリエンタルラジオ中田敦彦さんの活躍は目覚しかった。「知名度が高いから人気が出たのだ」と思う人は多いかもしれないが、彼らが活躍できた理由は、「臨機応変に自らの見せ方を変えられる」能力が高いことが大きいと思う。チャンネル開設当初と今を比べると、企画も演出も非常にブラッシュアップされていることがわかる。

芸能人のYouTubeチャンネルを分析するともうひとつ見えてくるのが、「ジャンルが明確である」ことだ。たとえば本田翼さんのチャンネル『ほんだのばいく』は、ゲーム実況をメインに配信されている。また、個人的に注目しているのがヒロミさんのチャンネル『Hiromi factory チャンネル』だ。配信内容は彼の趣味であるDIYが中心。「芸能人だから成功する」というよりは、「DIY風景をおもしろく見せられる配信者である」から、チャンネル登録者数は伸びていくと思う。

【DIY】みんなに早く色んなの紹介したいからチャチャっとガレージ作るわ

昔からインタビューなどで「TVタレントとYouTuber、どちらが優れていますか?」と聞かれるたび、「比べようがありませんよ」と答えてきた。なぜならプラットフォームが異なるからだ。けれども最近、プラットフォームの境界が曖昧になってきている。動画配信サービスやYouTubeに限らず、優れた映画やマンガ、さらにはリアルイベントなどあらゆるエンターテインメントが日々生まれ、人々の心を掴んでいる。人々はこれからどんなことに可処分時間を費やすのか。それらを巡る戦いは今後もさらに激化していく。

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鎌田和樹

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鎌田和樹(UUUM株式会社・代表取締役)

(かまだ・かずき)1983年東京都生まれ。起業家である孫泰蔵氏の薫陶を受けて起業を決意、人気YouTuber・HIKAKIN(ヒカキン)との出会いをきっかけに、2013年ON SALE(現UUUM)を設立し、社長就任。2017年にUUUMを東証マザーズ上場に導く。2022年6月1日付で代表取締役 会..

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