egg編集長・赤荻瞳 2020年代にギャルをやるための超リアル

2020.2.17

ギャルファッションのこれまでとこれから

『egg』を復活させるぞ!ってなったとき、1995年の創刊号から全号を読み返したんです。びっくりしたのが最初のほうの『egg』に登場する女の子たちって、雰囲気はギャルっぽいんですけど、よく見たら化粧とか全然していなくて。眉が細くて肌が黒いだけで、つけまとか全然付けてないんです。これが90年代のギャルだったのかって、すごく衝撃を受けました。

昔のギャルは、ひとつのブランドで全身をコーディネートする傾向があったように思います。2000年くらいまではALBA ROSA人気が超すごくて、2005年あたりくらいからCOCOLULUのスポーティでダボダボのデニムファッションや、LIZ LISAのぶりぶり系のファッションをする子が出てきた印象。2005年から2010年にかけては、d.i.a.とCECIL McBEEとLIZ LISAとCOCOLULUがめちゃくちゃ強い。2010年代に入ったあたりからForever21やH&Mといったファストファッションが入ってきて、原宿系や韓国系が流行ったのもあってバラバラになってきました。

ギャルファッションの流れを追っていると、今が一番楽しい時期だと思っています。「このブランドで全身固めないとイケてない」みたいな考えがなくなって、組み合わせも自由。服の値段も安いので、昔は1着しか買えなかった勝負服が今は何着も用意できる(笑)。ネット通販、本当に安いですよね。インスタだと「24h PARTY」をめっちゃ見ています。海外のMVに出てきそうなヤバいデザインが多くて、ブーツも7000円くらいしかしない。モデルの子たちもけっこう買ってますね。

あと、これからは自分だけの服をオーダーメイドできるサービスが増えていくと思っています。NIKEのエアフォース1が、形や色を自分でカスタマイズしてネットでオーダーできるじゃないですか。私はお腹が出ているのがコンプレックスなので、お腹を隠せる服を着たいんです。袖の形がかわいいのにウエストが締まっているから着られない服とか、「ここに一区切りあってフレアなやつなら着痩せして見えるのにな……」ってすごく思うんです! そんな願いも叶えられる細かなデザインを自分で選んでオリジナルを作る、そんなサービスが洋服の分野でも5年後くらいには絶対に来ていますね。

2020年代、ギャルをやるためには

でも、90年代のリバイバルがやって来たり、ファッションが自由になっても、ギャルになりたくてもなれない子はまだまだ多いと思うんです。田舎でよくあるのがギャルファッションをしているとまわりから白い目で見られるとか、電車乗ったとき恥ずかしいとか。それに校則が厳しくなっているとか、自分たちの力ではどうにもならないこともあります。

このあいだ『egg』に浅井マリサっていう専属モデルが入ったんですけど、現役の中学2年生で黒髪なんです。その子は「放課後や土日や長期休暇だけでもギャルになることができるのを全国の同じ境遇の子たちに伝えていきたい」って。それって超リアルだと思うんです。

https://www.instagram.com/p/B8V5MOgJee9/

マリサはギャルをやるときはメッシュのエクステ付けてメイクを濃いめにしていて。ほかにも髪の内側だけ染めて学校では隠したり、ギャルをやるためにがんばっている子たちはたくさんいます。

私も高校で頭髪検査があったときは、黒染めのスプレーを塗ったあとにアイロンしながらクシを通していました。こうするともともと黒髪だったみたいにサラサラになるんですよ! この技わかってくれる人、当時のギャルならまあまあいると思います。

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