メルケル「後」に何が来るのか「教養系最後の大物政治家」を惜しむ…日本だと誰?(マライ・メントライン)

2021.10.11
マライサムネ

第8代ドイツ連邦共和国首相アンゲラ・メルケル引退。新型コロナウイルス感染拡大への迅速な施策、胸を打つ演説で日本人の心も掴んだ稀代の政治家引退後の世界を、日本在住ドイツ人、マライ・メントラインが展望します。

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ひとつの大きな政治文化が終わる

アンゲラ・メルケル引退です。
印象深い、影響力の大きい国際的大物政治家の引退ということで、例によって報道にて毀誉褒貶いろいろあるでしょう。私にも「メルケル引退の影響は?」「これからの欧州はどうなる?」といった質問がよく来ます。いろいろな角度から返答可能ですが、個人的にメルケルという人は、現時点で、伝統教養的な文化性を武器とする最後の巨頭政治家であると認識しています。で、その路線で大した後継者を遺すことなく引退するのだ!というからには、ひとつの大きな政治文化が終わるんだなーと実感しています。

伝統教養的な文化性を武器とした巨頭政治家というのは、たとえばフランスではフランソワ・ミッテランやジャック・シラクあたりが好例ですね。文化的牽制とリスペクト、そのバランスを重要視しながら政治的にしたたかに活用する、という感じでしょうか。実際フランスの場合、シラク大統領が「最後のそれ系」であったように思います。彼の後任のニコラ・サルコジはスペック的な教養こそあれ、何気にポピュリスト的な「理性への挑発」が目立つ人でしたし、現任のエマニュエル・マクロンは、彼自身の資質で……というよりも、台頭する極右ル・ペンへの「アンチテーゼ」として地位を得てしまった人ですし。

ちなみに、この件に関して知人と議論していたとき、

「教養系の最後の大物政治家って、日本だと誰ですかね?」
「うーむむむ………確実に言えるのは吉田茂とかでしょうか……?」
「ちょっちょっちょっそれ、さすがに古過ぎませんか!」
「ダメですかね?」
「うーん、しかし確かに、彼以降、アメリカ相手に質的に知的に互角にやり合った人がいるかといえば……」

という、なんかそれ以上ヘタに掘り下げないほうがよさそうな角度で話が深まったので、結論は「あえて出さない」ことにしました。世の中、地味に怖いことがいろいろあるのです(笑)。

メルケル氏の後任は?あす混戦のドイツ選挙(2021年9月25日『TBS NEWS』)

世界パワーゲームにおける「ドイツ」の将来は?

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