「テレビ離れ」から考えるアニメの近未来「バズらせて知ってもらう」では通用しなくなる(藤津亮太)
「テレビ離れ」検証で大切なのは、世代別の動向を追うことである。過去のデータも参照しながら、10年後の未来をスライドさせて予測する。現在、テレビ視聴とインターネット利用の率が拮抗している30代が、40代になる未来はどうなっているのだろう、業界が今やるべきことは? アニメ評論家・藤津亮太が考える。
世代別テレビ視聴率、インターネット利用率
5月25日、NHK放送文化研究所による「国民生活時間調査」が発表され、テレビ離れの傾向がくっきりと示された結果が話題を呼んだ。テレビ離れのトレンドはもはや驚くほどのことでもないと思うが、テレビ視聴とインターネット利用を対比したグラフはなかなか興味深かった。
自分は専門のメディア研究者ではないので、こういうデータを見るときは“つかみ”で大まかな傾向を読むことに傾注する。そして自分が読み取ったものを「仮説」として持つことで、さまざまな事象(僕の場合はアニメビジネス寄りの話題)に触れたときにどこを見るべきか、何を取材するべきかクリアになるからだ。そしてその取材を通じて得た情報で「仮説」そのものを修正していく。今回はそんな「ざっくりとした仮説」の話である。
今回興味深かったグラフはちなみにこのようなものだった(2020年「国民生活時間調査 結果概要」より引用)。
平日の中で「テレビを見た人(15分以上を視聴として集計)」と「インターネットを利用した人(「趣味・娯楽でインターネットやSNSを見る・使う」「インターネットで動画を見る」の合計)」がその年代の中でどれぐらいの割合いるのかを表したものだ。
このグラフで興味深いのは30代でテレビ視聴が63%、インターネット利用62%でほぼ拮抗している点だ。
10年前の2010年「国民生活時間調査」では、平日のインターネット利用は20代が32%、30代が33%で、全世代を見渡したときの“山”はここにある。このとき、20代のテレビ視聴は78%、30代のテレビ視聴は80%となっている。
そして5年前の2015年の調査では20代が39%で最も多く、30代は32%である。このときは30代よりも10代が多く36%。テレビ視聴については、20代が62%で全世代で最も少なく、30代は69%で下から2番目となっている。
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