『アニメージュとジブリ展』に潜んでいた「アニメブーム終焉」の真実(藤津亮太)

2021.5.3

あのとき“祭り”が終わったんだな

このようにして1977年から始まったアニメブームは1984年に終わったのであった。年齢が上のファンを対象とした作品は、主にOVA(オリジナルビデオアニメ)を主戦場として制作されるようになる。そして当時のファンは、しばらく経ってから、ようやくあのとき“祭り”が終わったんだな、と気づくのであった。

もちろんアニメブームの終わりは、テレビアニメの終わりではない。このとき起こったことは、むしろ「テレビアニメの再編」といったほうがいい。アニメはターゲットを未就学児から小学生、ファミリーへと改めて据え直し、つづいていく。このとき、キッズ層だったのが団塊ジュニアよりさらに年下の1980年ごろ生まれた世代。テレビアニメは再び彼らの成長と軌を一にするように、徐々にターゲットを上めの作品が登場するようになり、彼らが中学生になったとき、『新世紀エヴァンゲリオン』が登場するのである。

そして『新世紀エヴァンゲリオン』が製作委員会方式のごく初期の作品であり、再放送で深夜アニメの可能性を示し「今のアニメ」への扉を開きもするのだが、それはまた別のお話である。

アニメブームが『アニメージュ』を生み、そこからスタジオジブリが生まれた。それはそのとおりであり奇跡のような出来事だ。ただ個人的には、そうして大文字で書かれた歴史を前にしたとき、そこからこぼれ落ちた、“1980年前後の祭り”の終焉にまつわる「小文字の歴史」もまた忘れないようにしたいと思うのだった。

宮崎駿を大特集した『アニメージュ』1982年8月号(藤津私物)
宮崎駿を大特集した『アニメージュ』1982年8月号(藤津私物)

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藤津亮太

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