俳優・古舘寛治 想像力を欠いたトランプ大統領がもたらす暗澹たる未来
1月からスタートした話題のドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』で主演を務めるなど、今もっとも引く手あまたな俳優と言っても過言ではない古舘寛治。そんな彼は、実はツイッターで積極的に政治的な主張を発信している。たとえば、「生活も仕事も政治も地続き。悪い社会じゃ文化芸術どころじゃない」(2020年1月13日のツイートより抜粋)という言葉など。「クイックジャーナル〜カルチャーからニュースを読む〜」の記念すべき第1回は、古舘寛治がトランプ大統領という一個人による決断が世界にもたらす影響についてを綴っています。
※本記事の内容は執筆時点(2020年1月8日)の情勢に基づいております。
俳優・古舘寛治 第1回「トランプ大統領と想像力の欠如」
トランプの行動は戦争を止めるどころか、開戦の先制攻撃でしかない
今回「カルチャーからニュースを読む」というテーマで執筆を依頼された。おそらく最近のあちこちでの俳優としてではない発言が注目をされ、その文章を読んで依頼していただいたのだろうと推測するものの普段は長文など書き慣れておらず、果たしてご依頼の分量を書けるか、正直自信がないところだ。
しかしツイッターでの発信も自分としては他に方法が見つからないからしていたのであって、理想的な方法だとも思っていない。むしろあの簡易さ、軽さゆえにマイナス面が多々あり過ぎるツールには、続けることに疑問も感じるのだ。
であるから今回はそんな自分にとっての新しい発信方法を与えていただいたと考え、挑戦してみることにしよう。
お題はここ最近のニュースから編集部と相談しながら選べるという。さて、新年早々ゴーンの逃走劇に驚いていた私は、彼の主張である日本の司法の問題について興味がありつつも語ることは難しいなどと考えていた折とんでもないニュースが飛び込んできた。
トランプ大統領によるイランのソレイマニ司令官殺害である。
殺害された1月3日からずっとその報道をできるだけ追っかけている。どうやらアメリカやイスラエルにとって彼は長きにわたる宿敵であったようでこれまでも標的とされてきたとある。しかし彼は国民的英雄としてあまりにもイラン国民に影響力のある存在であることから殺害を踏み止まってきたと。そしてトランプが今回、ほぼ独断でこの殺害を命令したと。
そしてその独断による殺害の後、各国首脳に連絡をしたそうだ。「ポンペオ米国務長官は、中国の楊潔篪(ヤンチエチー)共産党政治局員を始め、英独仏ロ外相、サウジアラビアのムハンマド皇太子ら外国政府要人と立て続けに電話会談を行い」(朝日新聞、1月4日夕刊)とある。日本は無視のようだ。
私が得る情報の真偽はもちろんわからないところもあるだろうし、西側寄り米側寄りの視点であろうと判断すべきだと思う。その上で思うことは「トランプの行動は彼の言う戦争を止めるためどころか開戦の先制攻撃でしかない」ということだ。そしてこればかりは間違いがないと思う。