パチンコ屋が存在しない世界は幸せなのか(トリプルファイヤー吉田靖直)
ソリッドなビートに、なんとも形容し難いユーモラスな歌詞で人気を誇るバンド「トリプルファイヤー」。作詞を担当するボーカルの吉田靖直は『タモリ倶楽部』や大喜利イベントに出演するなど、独特なキャラクターを活かして幅広いフィールドで活躍している。
学生時代にはパチンコにハマって家賃を滞納し、18万円で購入したギターを7万円で手放した経験もあるという彼が、“百害あって一利なし”だというパチンコについての思いを綴った。
「カカロットを倒すのはオレだ」と叫ぶベジータの気持ちがわかる
20代前半のころ、パチンコに深入りして身を持ち崩しそうになったことがあるので、今でもパチンコに愛憎入り混じる気持ちを抱いている。負けた腹いせに「パチンコがやめられない」という曲を作り、バンドで演奏していた時期もあった。
警察とパチンコは癒着していると昔から批判されているが、最近はどういう流れか法律による出玉規制が厳しくなり、勝ちにくいスペックの機種ばかりが増えた。勝ちにくいから客が減る。客が減るからパチンコ屋も釘を締めざるを得ず、釘が締まっているからさらに勝てなくなりまた客が飛ぶ、店にとっても客にとってもWin-WinならぬLose-Loseな悪循環が生まれている。
以前は、自力でやめられないから韓国のように国がパチンコを禁止してくれたらいいのにと他力本願なことを考えていた。しかし個人的な感覚としても最近のパチンコはあまり勝てる気がしないので、禁止されずともパチンコ屋に行く気がしなくなってきていた。いいことだ。私には、パチンコより優先すべきことがたくさんあるのだ。
しかし、最近のパチンコ業界の斜陽感は少し寂しい。そしてコロナ騒動でもともとパチンコを嫌悪していそうな市民から集中的に叩かれているところを見ていると、カカロットを倒すのはオレだ、と悟空を助けたくなるベジータの気持ちがわかる。
4月24日、大阪府が休業要請に従わず営業をつづけている店の名前を公表した。ニュースを見たときの率直な感想は、行政がそんな週刊誌みたいなことやっていいんだ、というものだった。店舗や外出者を過剰に攻撃する「自粛警察」が批判されているが、大阪府の公表はその「自粛警察」の出動を当てにした行為だと言えるだろう。
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