「広告不況」に陥らないために今、求められるクリエイティブを考える(UUUM鎌田和樹)
新型コロナウイルス感染症の影響で多くの業界で厳しい状況がつづくなか、広告業界も窮地に立たされている。HIKAKINや水溜りボンドなど数多くの有名YouTuberたちを擁するUUUM株式会社の鎌田和樹氏は、「広告自粛」の流れをどう受け止めているのだろうか。また、「コロナ後」の予測についても語る。
今、「広告」に求められること
4月7日夜、安倍首相は7都道府県に対して緊急事態宣言を発出した。感染拡大に伴う医療現場のひっ迫を背景に、より一層の外出自粛や企業のテレワークを強く要請。 国と東京都で休業要請の対象業態の調整を急いでいる。 それに呼応するように、なじみの店の「営業停止」のニュースを目にした人も多いのではないだろうか。
もちろんUUUMも例外ではなく、4月1日から全社員の完全テレワーク体制を開始した。感染拡大が止まらない以上、最優先のタスクは会社の業績よりも従業員の健康だ。現在も長期戦に備え、会社としての耐久力を蓄えるべく準備を進めている。
さて、こうした状況になると、「みんな家にいて動画を観てるから、再生数伸びて好調なの?」なんて聞かれることが往々にしてある。しかし、実情はそう単純ではない。
以前のコラム「コロナショックは、動画ビジネスにどんな影響をもたらすのか?」でも語ったとおり、再生数が業績に結びつくとは限らない。それどころか、新型コロナウイルス感染症の影響で広告を自粛する企業が増えた。テレビを観ていると、ACジャパンの公共CMが増えたことに不穏な雰囲気を感じている人も多いはずだ。
目まぐるしく状況が変化するなかで、真っ先に削減されるもののひとつが広告宣伝費だ。時事通信によると、オーストラリアではすでに約60もの地方紙の紙媒体の発行が停止になっているという。YouTubeやテレビのみならず、広告収入を収益源とするビジネスモデルの業種が、大きな打撃を受けているのだ。
このまま広告自粛がつづくと、広告による収入が減ることはもちろん、ACのCMが増えることで「自粛ムード」が漂い、経済が停滞してしまうことが何より懸念される。僕は、外での消費や外出を呼び起こすのではなく、外出自粛に寄り添った「エンタメ性の高い広告」を打ち出していかなければならないと考えている。
この連載でも繰り返しているとおり、いかに「心だけでも脱コロナ」なクリエイティブを作り上げていくかを考えていく必要があるのではないだろうか。