進まぬ対策… 「トレンドブログ」6つの問題点(中川淳一郎)

2020.3.18
nakagawajunichiro

文=中川淳一郎 編集=谷地森 創


「〇〇の学歴は?」「〇〇の旦那の年収は?」「〇〇が美人と評判」…

ネットでキーワード検索をしたとき、こんなページが検索上位に表示されるのを見たことがあるのではないでしょうか。『クローズアップ現代+』(NHK)でも取り上げられ、人権侵害や著作権違反などの問題点も指摘される「トレンドブログ」です。

ネットニュース編集者の中川淳一郎さんが、トレンドブログをはじめとした、ネットにはびこる「クソコンテンツ」に対し、疑問の声を上げました。

※記事中の情報は特記のない限り3月16日(月)時点の情報に基づいています


NHKも問題視するトレンドブログ

今回、私が提言したいのは、「他人のふんどしで相撲」野郎を儲けさせないネットの仕組み構築の重要性だ。

3月12日にNHKの『クローズアップ現代+』で「新型ウイルスでもネットに拡散 追跡! トレンドブログ」が放送された。番組ホームページ冒頭の文章を紹介のため引用する。

ネット上に飛び交う新型コロナウイルスを巡る様々な情報。中でも「感染者は誰!?」「入院先を特定!?」などの見出しで多くの記事を投稿しているのが、「トレンドブログ」と呼ばれるサイトだ。(中略)月100万円以上の広告収入を得ているケースもある。その一方で、アクセス数を集めようとするあまり、人権侵害や著作権違反が疑われる記事も後を絶たない。(後略)

(「新型ウイルスでもネットに拡散 追跡! トレンドブログ」より)

同番組は2月にも同様の企画をしている。トレンドブログとは、何か事件があったり誰かがテレビに登場した場合、即座にその事件や関係する人物の情報をネット上から収集し、「今回は○○について調べてみました」にはじまり、「いかがでしたか?また追加の情報がありましたらお伝えします」と終わるブログのことである。

卓越したSEO対策(検索エンジン最適化)を施し、ネット検索の上位にはこうしたブログが多数登場する。単なるタダ乗りのコピペ・著作権・肖像権違反クソ野郎に「トレンドブログ」なんて言い方はしたくないので「金の亡者クソブログ」と私は呼ぶことにする。

『クローズアップ現代+』は私も「アドフラウド」の回(追跡!ネット広告の“闇”)に出演したことがある。アドフラウドとは、広告表示回数等を水増ししたり無関係な場所に出すなど、簡単に言えば「インチキネット広告」のことである。このように、同番組はネット広告やネットメディアのあり方について多大なる関心を持っていると言えよう。

トレンドブログの実態とは

では、実際に新型コロナウイルス関連の話題を検索するとどうなるか。

新型コロナウイルス関連では、さすがに医療系情報ということ でGoogleがクソブログを排除している感じがある(詳細後述)。とはいっても、クソブログはテレビに連日のように登場する医療系専門家など、今話題の特定の個人の情報について言及している。とにかく流行りものであれば取り扱う題材は何でもいいのだ。登山で滑落死したことが実名で報じられた女性なども対象となる。

たとえば、白鴎大学特任教授の岡田晴恵氏の場合、「アーティスト×キシラのブログの森美術館」(http://kishiratorendo.com/)というブログではこんな記事(笑)が登場する。

「岡田晴恵教授の年齢は?結婚して旦那と子供がいる?発言がおかしいと話題!!」

(同ブログより)

これが著作権法違反と肖像権、人権無視&憶測だけで作った取材力ゼロのクソコンテンツになっている。
ちなみに私は「引用の範囲内」でやっているので、このブログの管理人が何を言って来ようが屁でもない。

さらに引用すると

岡田晴恵教授はなんだかいいお母さんというか近所の優しいおばさんという雰囲気があるのと、子供向けの著書や感染症から自分の家族を守るという内容の著書も数多く出版されているので、個人的には結婚していてお子さんもいるのではないかと思います

(同ブログより)

岡田氏が「結婚しているのか?」「子供はいるのか?」といったことにテレビの視聴者は関心を持つだろう、と考え上記のような見出しにしているわけだが、結局ネット情報だけでは特定できず。そのため「ではないかと思います」で終わる。

これ以上クソブログの説明をしてもバカらしいので、この「アーティスト×キシラのブログの森美術館」に登場するクソ記事(笑。記事でもなんでもねぇ。)のほかのタイトルを紹介しよう。もう、だいたい内容はわかるだろう。基本的には「メディアが取り上げた話題に関する人々の下世話な関心事になりそうなものをネットから探して貼り付け、『~と思われます』『~かもしれませんね』と断定しない形で書きつづける」だけだ。

「村上佳菜子のバイト先の台東区のカフェの場所はどこ?喫茶ニカイで特定か!?」
「岡田晴恵の経歴や学歴は?出身大学はどこ?今話題の人!!」
「坂村かおるの身長・プロフィールは?意外な経歴とは?整形疑惑も検証!!」

(同ブログより)

もう、ため息しか出てこない。こうしたクソブログがよく見出しに掲げる言葉は以下のようなものだ。

「カップ数は?」「旦那の年収は?」「整形は?」「美人と評判」「学歴は?」「子供は何人?」「旦那と離婚間近との疑惑あり」「言っていることがめちゃくちゃとネットで評判」「DV疑惑?との声も」――こうしたキーワードに釣られて「トレンドブログ」を見てしまってはいないだろうか。

さて、この手のクソブログの問題点を6つにまとめよう。

トレンドブログ 6つの問題点


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

中川淳一郎

(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者。1973年東京都出身。1997年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)配属。2001年退社。以後無職、ライター、雑誌編集者などを経て現在はウェブメディア中心の編集者に。ひたすらネット上の珍騒動や事件を毎日テキストファイルに記録する生活を長年つづけている。

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太