進まぬ対策… 「トレンドブログ」6つの問題点(中川淳一郎)

2020.3.18


トレンドブログ 6つの問題点

(1)ネットリテラシーの高い人間にとってはゴミ情報のため、検索ページの2ページ目以降までいかなくてはいけない手間がかかる
→まとめサイトとして優秀か、といえば、一次ソースの全文をコピペするのはさすがにご法度だと思っているのか、一次ソースの情報も中途半端にしか読めない。

(2)他人のふんどしで相撲を取っているヤツにカネが入り、オリジナリティが重視されない
→SEO対策だけはできているため、ネットリテラシーの低い人間は「うわ~、まともなウェブメディアなんだな~♪」なんてことを思ってしまう。違うのだ違うのだ。一次情報を取ってきた人がエライのだ。

(3)憶測だらけのため、ガセネタをまき散らかす

(4)著作権、肖像権を無視しまくり
→お前ら訴えられたらどーするんだよ。

(5)運営者がどこの誰だかわからない
→文章に責任がないため、ガセネタを信じてデマ拡散などがされたとしても抗議のしようがない。運営者特定に手間がかかる。

(6)シェアするとバカだと思われてしまう
→時々SNS上の知り合いがこうしたクソブログをシェアしているのを見かけることがある。そのたびに「お前、そんなにバカだったのか……」と残念な気持ちになる。

つまり、私が言いたいのは「トレンドブログ」とやらの「いかにも」なタイトルを見て、そのままクリックする人はバカということである。まともな人間は「またこいつらかよ(呆)」となり、スマホの検索画面を下にスクロールしていくのである。

こうしたサイトを日常的に見る人に言いたい。もう少しまともな情報を得る審美眼を養ってください。PVを増やさないことが、こうしたクソコンテンツの排除につながるのだ。

検索、ニュースにおける2大プレイヤーの存在

となると、ここで重要なプレイヤーとなるのが検索エンジン最大手のGoogleとYahoo!ニュースを運営するYahoo!JAPANだ。

Googleは医療系情報については人命に関わる、ということで、こうしたクソブログを上位に表示させないようにしている。だったらGoogleは医療系情報における対策のように、ほかの分野におけるクソブログの特徴も把握し、一切検索上位にこないようにサッサと対策すべきである。

もう1点、私が問題視しているのは、テレビ、ラジオ、各種SNSに書かれた内容を基に記事を配信するメディアとそれをそのまま載せるYahoo!ニュースについてである。「○○氏が番組で××と言った」という記事(笑)が多過ぎるのだ。これを伝統あるスポーツ紙のウェブメディアもやりまくっている。

当然、著作権関連のプロが記事の制作に関わっているため「あくまでも公の場で語ったことなのだから、記者会見で話したことと同じ。我々は記事にする自由も権利もある」という判断をしているのだろう。
それはまぁいいとしよう。だが、日本最強のニュースポータルであるYahoo!ニュースがこうした記事の受け入れを許可し、アクセスランキング上位がこうした記事だらけになっている状況をどう捉えるのか?

日曜日の朝、Yahoo!ニュースの「スポーツ」カテゴリーでは、張本勲氏が『サンデーモーニング』(TBS)で発言した内容を報じるだけの記事が、ランキング上位を多数取る。

3月15日(日)のYahoo!ニュース「スポーツ」カテゴリーランキング。上位には張本勲氏のニュースが並ぶ(筆者提供)

番組を見ながらバイトのフリーライターみたいな連中が記事(笑)を書き、即時公開しているのだろう。彼らがこれをやるのはまぁ、いい。

しかし、公共の機関的な立ち位置にあり、しかも配信するウェブメディアに対しては厳正な指導(医療系やエロほか)をしてくるYahoo!JAPANがこうした「テレビ見ただけのコタツ記事」に対して「こういった記事は配信しないでほしい」と指導をしない意味がわからない。

これは日本のウェブメディアが真剣に考えるべき問題だ


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Written by

中川淳一郎

(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者。1973年東京都出身。1997年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)配属。2001年退社。以後無職、ライター、雑誌編集者などを経て現在はウェブメディア中心の編集者に。ひたすらネット上の珍騒動や事件を毎日テキストファイルに記録する生活を長年つづけている。

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