REIKO、デビューを実現した今語る「音楽しか居場所がなかった」ルーツと「世界で活躍するのは大前提」の未来

2023.10.6
REIKO、念願のデビューを果たした今明かす「音楽しか居場所がなかった」ルーツと「世界で活躍するのは大前提」の未来

文=岸野恵加 撮影=西村 満 編集=森田真規


歌もダンスも未経験からSKY-HI主催のオーディション『THE FIRST』に参加し、その歌声と裏表のないまっすぐな性格で多くの視聴者を惹きつけたREIKO。

続くオーディションドキュメンタリー『MISSION×2』を辞退し、かつての仲間たちが続々とデビューするなかでトレーニーとして準備期間を過ごすなどの紆余曲折を経て、2023年10月6日、配信シングル『BUTTERFLY』でついにデビューを果たした。

「小さいころ音楽しか居場所がなかった」という自身のルーツから、「世界で活躍するというのは大前提」と今見据えているアーティストとしての未来の話まで、自分の言葉で存分に語ってくれたインタビューをお届けする。

音楽が自分の“居場所”に

──『THE FIRST』からずっとREIKOさんのことを拝見していたので、今日はお会いするのを楽しみにしていました。

REIKO ありがとうございます。でも……僕、番組でたくさん泣いてましたよね? なんだか恥ずかしいです(笑)。

──たしかによく泣いていらっしゃった印象なのですが(笑)、それだけ感情表現が豊かな方なんだろうなと思っていました。子供のころからそうだったんでしょうか?

REIKO そうですね。よくいじけたり泣いたりする子供でした(笑)。繊細なぶん、まわりで起きるいろいろなことに気づいてしまって。今でもあまり変わらないんですけど、ちょっとずつ隠せるようにはなりました。

──REIKOさんといえばなんといっても類まれな歌唱力が魅力ですが、歌うことは子供のころから好きでしたか?

REIKO はい。家族みんな音楽が好きで、家の中でもずっと流れていたんです。だからよく歌っていたんですけど、ひとつ鮮明に覚えている出来事があって。小2のときの音楽の授業で、先生に僕の歌がうまいと褒められて、みんなの前で歌ったんです。その瞬間、歌うことで「自分って存在しているんだ」と認識できたんですよね。同時に他者から自分の存在を認識されていることも感じられた。そのときから明確に、歌うことが好きになりました。

──メジャーデビュー決定を7月のショーケースで発表された際、MCで「小さいころ、音楽しか居場所がなくて、ずっとひとりきりでした」とお話しされていましたよね。あれはどういう思いからの言葉だったんでしょうか?

REIKO 僕は両親がフィリピン人で。愛知県で育ったんですけど、家の中では日本語をあまり使わず、文化的にもフィリピンのスタイルで過ごしていたんです。なので学生時代は、傷つくとかじゃないけど、友達の言動や行動に驚くことが多くて。友達はいたけど、めちゃくちゃ共鳴することはなかったんです。仲がいいと思えたのは、のちに出会えた、すごく歌が好きな友達だけでした。

──なるほど。どんな音楽が“居場所”になっていましたか? 自分のルーツになっているアーティストを挙げるとすると?

REIKO 中学1年のころかな、Facebookでアリアナ・グランデさんのライブの動画を観たんです。ハイトーンで堂々と歌っている姿に、もう鳥肌が立って。そのとき受けた感動をきっかけに、「歌がうまくなりたい」と思うようになりました。

──ではその後、ボーカルレッスンを受けたり?

REIKO 習ったことはなくて、家で練習していました。YouTubeに上がっているボイトレ動画とかをずっと観て。好奇心旺盛なので、「どうやったらこの声が出せるんだろう?」って研究し続けてましたね。

REIKO
REIKO
REIKO

『THE FIRST』からの紆余曲折

──そうして独学で練習を続けて、『THE FIRST』への応募を決心したのは『Nizi Project』がきっかけだったんですよね。

REIKO はい、『Nizi Project』にすごく感動したんです! 未経験の子がこんなに成長して、デビューを叶えられるんだって。それでなんの覚悟もない状態で、とりあえず応募しました。そしたらダンス世界一のSOTA(現BE:FIRST)君がいたり、すごい人たちばかりに囲まれて(笑)。めちゃくちゃびっくりしましたね。でも音楽への愛が、自分を最終審査まで連れていってくれたんだろうな、と思っています。

──『THE FIRST』ではデビューを逃しましたが、SKY-HIさんはREIKOさんをメンバーに入れなかった理由を「REIKOはまだアーティストとしての自我が芽生え始めたころ」と説明していましたね。あのとき、REIKOさんの表情にはもちろん悔しさもにじみつつ、その判断に納得しているようにも見えました。

REIKO そうですね。あのころにはもう、もっといろんなことを試してみたいというフェーズに入っていました。合宿の最初のクリエイティブ審査が、自分にとってはすごく大きかったんです。曲を作るなんてしたことがなかったけど、「こんなに楽しいんだ!」と実感して。最後の「クリエイティブ審査NEO」ではRAN(現MAZZEL)と組んだんですけど、ほかのチームと違う感じのサウンドになったのも、そんな思いが表れていたのかなと思います。

──『THE FIRST』のあとはトレーニーとしての日々を送ってきましたが、MAZZELを生んだプロジェクト『MISSION×2』に参加するも途中で身を引くなど、紆余曲折がありましたよね。

REIKO 『MISSION×2』の間は、MAZZELとしてデビューしたい気持ちで打ち込んでいたんです。でも、プライベートでつらいことがたくさんあって……。RAN、SEITO、KAIRYUと同じ熱量で練習ができなくなってしまったので、SKY-HIさんと話して辞退するという結論に至りました。

──REIKOさんとRANさんは『THE FIRST』からずっと肩を並べてきたので、別々の道を歩むことを寂しく思うファンの方も多かったようですが、ご自身でも思うところはありましたか?

REIKO 自分のメジャーデビューが決定する前は、レーベルが「BE-U」だと知らなかったので、寂しい思いはありました。でも今、MAZZELと同じレーベルに所属できているので、すごく安心感があるし、ワクワクしています! これからも一緒なんだという、感慨深い思いですね。

デビュー曲「BUTTERFLY」に込めた意味

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岸野恵加

(きしの・けいか)ライター・編集者。ぴあでの勤務を経て『コミックナタリー』『音楽ナタリー』副編集長を務めたのち、フリーランスとして2023年に独立。音楽、マンガなどエンタメ領域を中心に取材・執筆を行っている。2児の母。インタビューZINE『meine』主宰。

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