ナイチンゲールダンス、なんとなくで始まった芸人人生は「順調で楽しい」【大舞台で響かせたい】

ナイチンゲールダンス

文・編集=梅山織愛


神保町よしもと漫才劇場に所属するお笑い芸人に自身の“出囃子”について聞く連載「大舞台で響かせたい」。初回はナイチンゲールダンスが登場。

ヤスが「初心に帰れる」という理由で選んだという出囃子に込められた思いから、コンビ結成秘話や現在までの芸人としての道のりを聞いた。

ナイチンゲールダンス
中野なかるてぃん(なかの・なかるてぃん/1994年8月28日生まれ、山梨県出身)とヤス(1993年5月27日生まれ、長崎県出身)によるコンビ。学生時代に出会いコンビを結成。大学お笑いで活動しながら、2016年に東京NSCに22期生として入学。2021年の『M-1グランプリ』では準々決勝進出。

ナイチンゲールダンス
ナイチンゲールダンス(左・中野なかるてぃん、右・ヤス)

ナイチンゲールダンスの出囃子 ELLEGARDEN「ジターバグ」

──なぜ、この曲にされたんですか。

ヤス 僕が高校生のとき、文化祭でバンドをやるってなってそこで歌った曲なんです。そのときは全然盛り上がらなかった記憶なんですけど、いつでもそのときみたいな気持ちに戻れるようにこの曲にしました。

中野なかるてぃん(以下、中野) ヤスさんの独断で決めたので、選曲理由はマジで知らなかったです。僕が同じような経験を理由に選んでいたら「モルダウ」とか、合唱曲になってました。

──「ジターバグ」を使用しているのは結成当初からですか。

中野 大学生のときはfox capture planの曲とかも使ってましたよね。

ヤス めちゃくちゃおしゃれなやつね。ピアノの音が美しい曲なのに、ぼくらは「どうもー!」みたいな感じで元気に出ていくんで、合わなくて変えました。

中野 ただ「ジターバグ」は、大阪の芸人が聴くと「なんで使ってるの」って驚かれるんです。

ヤス 大阪の劇場だと『UP TO YOU!』っていう劇場メンバーじゃない芸人が出るライブで「ジターバグ」が使われてるらしいんですよ。劇場にも所属してない、なんなら自分が事務所に所属できてるのかもわからない、そんな苦悩の時間を過ごしてるなかで出囃子として流れるのが「ジターバグ」。だから、僕らの登場を袖で見ている大阪の芸人さんは「たった一つ~」って流れた瞬間に、「やめてくれ~あのときのつらい思い出が……」って全員頭抱えます(笑)。

中野 ヤスさん以外も初心に帰れる音楽でした。

知念くんがキューピット

──おふたりは大学生時代からコンビとして活動されていたとのことですが、コンビ結成のきっかけは?

ヤス 一橋大学のお笑いサークルのライブを観に行ったときに、初めてなかるてぃんを見たんですけど、その日にすぐ僕がDMで誘いました。僕、Hey! Say! JUMPの知念(侑李)くんの声変わりしてないときのキーが大好きで。「Ultra Music Power」の「風を切れ~」の部分。

中野 そのキーが好きってなんなん(笑)

ヤス ずっと、あのキーがかっこいいし、おもしろいと思ってたんですよ。そしたら登場のときのなかるてぃんの「どうもー」のキーがまんま僕が好きな知念くんのキーだったんですよ。それで、絶対こいつと組みたいなと思ってDMを送りました。だから僕らのキューピットは知念くんです。

中野 そうだったんだ(笑)。知念くんの話は初耳でした。ヤスさんは学年も一個上だし、しゃべったこともなかったんですけど、オラついてる人だったので名前だけは知ってたんですよ。そしたら突然、DMで「漫才しようぜ」って来て。

ヤス 知念くんにDMするつもりで送りました。

中野 じゃあもっと丁寧に送らないとだめだよ(笑)。

ナイチンゲールダンス
結成当初のナイチンゲールダンス

──そこからプロになろうと思ったきっかけはなんだったんですか。

ヤス きっかけは特にないんですよね~。大学で楽しそうだなと思ってたまたまお笑いサークルに入って、そこでたまたま結果出たからNSC行ってみようかってなって、そしたらNSCでもいい感じだったからプロになったので、「俺は芸人になる」みたいなタイミングがなかったです。大学お笑い出身の人ってみんなそんな感じだと思います。

今、一緒にプロとしてやってる人で学生芸人時代の知り合いも多いので、バルセロナみたいなことになってますね。下部組織からずっと一緒にやってる(リオネル・)メッシとか(アンドレス・)イニエスタみたいな。

中野 そんないいもんじゃないだろ! 言い過ぎだって!

ヤス でも雰囲気はそんな感じです。ストレッチーズさんとか真空ジェシカさんとか大学お笑いのころから一緒でした。

中野 吉本でも令和ロマンとかはずっと一緒ですね。

──確かに今は大学お笑い出身ってよく聞きますね。

ヤス 増えましたよね。NSCは最後にその年の首席を決めるライブがあるんですけど、東京だと僕らから下の代は金魚番長以外、みんな大学お笑い出身の人がなってます。昔は“主席になると解散する”っていうネガティブなイメージがあったんですけど、今はそのイメージがなくなりました。学生時代にすでに結果を出してる人が主席になってるので、その日のラッキーパンチじゃないんですよ。

中野 そうなったのは僕ら以降だったので、主席になったときは「絶対、解散する」ってめっちゃ言われましたもん。

──おふたりがその道を切り開いたんですね。中野さんも特にきっかけはなかったんですか。

中野 僕は2年生の春休みくらいにヤスさんに誘われたんですよ。そのときヤスさんは3年生だったからまわりが就活を始めるころだったみたいで「NSC行こう。お前、今日実家帰るんだよな? 親に言え」って突然、連絡が来て。

ヤス 覚えてないわ~。

中野 本当に? でも、その日に親に「なんか芸人とかになるかも」って言いました。

ヤス 「かも」で言ったの? 普通、芸人なるやつは「絶対、芸人なります」って言うんだよ(笑)。

中野 「かも」だったけど、「ダメダメ!」って言われました。でも、まだ2年生だったので、そのあと1年間はバイトしてお金貯めて、4年生になったタイミングで「1回やってみるわ。(大学を)卒業できる単位も取ったし」みたいなノリでNSCに入りました。

ヤス なんか現代風で、説得するのめっちゃうまいね。芸人目指すやつって基本勢いで言っちゃうから親と強くぶつかるのに。

中野 NSCを首席で卒業できたっていうのもあって、親も安心してくれました。NSCに入ったとき、ヤスさんはすでに大学を卒業してたんですけど、僕はまだ4年生だったので、いつでもヤスさんを切って就活できる状態で通ってました(笑)。


憧れはすぐに決まるものじゃない

──プロになるきっかけはふんわりしているとのことでしたが、理想の芸人さんはいらっしゃいますか。

ヤス 僕は僕らが生まれるちょっと前くらいの漫才ブームのときに活躍されていた芸人さんですかね。生き様みたいなのに憧れます。僕が憧れの芸人さんを固めたのは……。

中野 固めるってなんですか?

ヤス 憧れの人って急に出会うものじゃないじゃん。NSC入るくらいのときに自分はどんな感じになりたいのかなって考えて決めました。雰囲気があってたので。

中野 そんな感じで憧れを固めたんですね(笑)。僕は……えーと……。

ヤス バカリズムさんでしょ? なかるてぃん、こう見えてバカリズムさんのファンなんですよ。大学生のときはサイン会とかも行ってました。本当に好きな人の名前ってなかなか言えないじゃないですか。完全にそれです。

中野 バカリズムさんは本当に好きですね。僕は固めていったとかじゃなくて、『(爆笑)レッドカーペット』(フジテレビ)で衝撃が走りました。

ヤス 大学お笑いって同世代の集まりなので、僕らが学生芸人だったときのピン芸人はみんなバカリズムさんみたいな雰囲気だったよな。

中野 バカリズムさんみたいになりたくて、どうにか新しい切り口を探そうと思った結果、奇をてらうだけになってる人が多かったです。

ヤス 僕らのころはニューヨークさんも流行ってました。ニューヨークさんみたいに漫才の中に時事を入れながら、鋭いこと言うみたいな。

中野 でも、みんな失敗してただただネタ中に悪口を言ってました。そのときのニューヨークさんって『オールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)とかもやっていたので、劇場に行かなくても触れられる若手芸人さんの最先端だったんですよ。

ヤス あと大学生ぐらいの男子が一番かっこいいって思うのが、ニューヨークさんみたいな芸風なんだと思います。

若手1楽しい芸人生活を送るなかるてぃん

──プロになって6年、ここまでの道のりは順調ですか。

ヤス 順調ですね。

中野 はい、楽しくやってます。

ヤス なかるてぃんは実家が医者なので、なんの苦労もしてないんですよ。金がなかったこともないし、芸も順調だし、本当に楽しいでしょ?

中野 楽しいですね~。つらいと思ってたらなんでつづけてるんだろうって思っちゃいます。

──この先の目標は?

ヤス 『M-1』で結果を出すことですね。

中野 今年の目標は2連覇です。

ヤス まだ優勝してねーから(笑)

──『M-1』に向けて単独公演も毎月開催されてますね。

ヤス これまでは月2回やってたんですけど、今月から『M-1』までは月1回にしました。単独ライブではずっと新ネタをやってたんで、さすがに月2はやばいってなって。

──一つひとつのネタの精度を上げていくと。

ヤス そうですね。すでに新ネタはできてます。直前に慌てて作るんじゃダメなんですよ。ネタ作りは受験と一緒なんで。受験したことないんですけど。

中野 彼はエスカレーターです。単独ライブっていう意識はあまりしてなくて、単純に“新ネタをやる日”みたいな感じでいます。でも、数を稼いでおけばルミネとかNGKとかでこれぞ単独ライブみたいなのが開催できたときに、第何回の部分が80回とかにできるじゃないですか。こいつら芸歴のわりにめちゃくちゃやってるじゃんみたいな。

ヤス 今後もそのひとつのボケのために新ネタライブを単独として数を稼いでいきます。

ヤス主催ライブ『ナイチンゲールダンス単独ライブ10月』

ナイチンゲールダンス

2022年10月27日(木)20:45開場/21:00開演
会場:神保町よしもと漫才劇場
出演:ナイチンゲールダンス

・配信情報
配信開始21:00/配信終了22:00
※見逃し視聴は10月29日(土)21:00まで
※チケットの販売は見逃し視聴終了日の昼12:00まで


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  • 『なかるてぃん以外全員九州出身』

    2022年10月20日(木)18:45開場/19:00開演
    会場:神保町よしもと漫才劇場
    出演:ナイチンゲールダンス/からし蓮根/金魚番長・箕輪(コーナーゲスト)

    ・配信情報
    配信開始19:00/配信終了20:00
    ※見逃し視聴は10月22日(土)19:00まで
    ※チケットの販売は見逃し視聴終了日の昼12:00まで

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  • ヤス主催ライブ『ナイチンゲールダンス単独ライブ10月』

    2022年10月27日(木)20:45開場/21:00開演
    会場:神保町よしもと漫才劇場
    出演:ナイチンゲールダンス

    ・配信情報
    配信開始21:00/配信終了22:00
    ※見逃し視聴は10月29日(土)21:00まで
    ※チケットの販売は見逃し視聴終了日の昼12:00まで

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梅山織愛

(うめやま・おりちか)1997年生まれ。珍しい名前ってよく言われます。編集者・ライター。自他共に認めるミーハーなので、いろいろハマりますが、アイドル、お笑いが特に好きです。あと、チョコレートも詳しいです。

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