『神或アルゴリズム』制作チーム対談 オーイシマサヨシ×オカモト(TriFスタジオ) 音楽と映像が互いに響き合う
オーイシマサヨシが初めてプロデュースを手がけたアニメMVプロジェクト『神或アルゴリズム』。女性ボーカルとのユニット、映像と音楽の同時制作など、オーイシにとってもかなり大きな挑戦となり、初めてづくしとなった本企画。アニメーション制作を務めたオカモトとの対談で、その制作について語る。
※本記事は8月21日(土)発売『オーイシマサヨシ コーシキブック』(太田出版)の内容を一部抜粋したものです。
物作りの喜びを再認識させてくれた恩人
オーイシ 『神或アルゴリズム』のプロジェクトは、「新曲をアニメMVにしたい」という思いから始まりました。それでディレクターさんに「アニメMVを作るんだったら、オカモト監督が良いですよ」とご紹介いただいたんです。せっかくアニメMVを作るなら、原案から設定も含めてみんなで考えたいと思って、1年前から打ち合わせを重ねて作品を完成させましたね。
オカモト まずは、オーイシさんの頭の中にある断片的なイメージを掴んでいきました。例えば「『千と千尋の神隠し』の世界観にしたい」とか、「『ソードアート・オンライン』の仮想現実が好き」などのお話を聞かせていただいて、そこから物語やキャラクターを考えましたね。オーイシさんは本当に楽しそうにアイデアをお話しされるので、私もすごく楽しかったです。
オーイシ 舞台をアジアンテイストにする大枠の設定はもちろんですけど、「偽造テレカって昔はありましたよね!」「電話BOXって今は見ないですよね!」と細かいフラッシュアイデアも全部拾ってくださって、ありがたかったです。
オカモト 偽造テレカとか、それをそのまま描いてしまったら若い子達に伝わらないから、ブラッシュアップしてMVの世界観に落とし込んでみたりして。
オーイシ 今の話を聞いた上でMVを観れば、僕がどれだけワガママを言って、いかにオカモト監督が忠実に再現してくださったのかが分かりますね。特に、ヒロインのイメージが上がってきたときには「コレコレ!」と言った覚えがあります。僕も生粋のアニオタなので、萌えるかどうかの敏感なアンテナがあるんですよ(笑)。これから、このヒロインにどんなことが起こるんだろうとワクワクしましたね。
オカモト 確かに、オーイシさんはヒロインに対するこだわりが半端なかった記憶があって(笑)。
オーイシ めっちゃ恥ずかしいですね!(笑)。どんなことを言ってましたっけ?
オカモト ヒロインに関しては、ちょっと意地悪で思わせぶりな感じとか、素直じゃないところがキーワードでした。
オーイシ あとは赤い糸が出てくることにも繋がりますが、「運命を強く信じる子」というのも言ってましたよね。主人公よりも運命を強く信じているのはヒロインかなと思いますし、涙が溢れるシーンがあるんですけど、アンニュイな表情をしたりとかニコッとする際に憂いがあるのはそういうところにあるのかなって。2人が離れ離れになる運命だと分かっているからこそ、そういう表情を浮かべている。その感情の機微もMVで表現されています。
オカモト しかも、今回は楽曲がない状態からスタートしたんですよね。私としても音楽と映像がお互いにインスピレーションを受けながら、形にしていく作業がとても新鮮でした。
オーイシ オカモト監督にイメージボードを作っていただきつつ、僕も一節考えたメロディを聴いていただいて。そういう意味では、映像と音楽が密着した状態で同時進行に進めていきましたね。
オカモト 恐れ多いんですけど、オーイシさんが書かれた歌詞に対して、気になるところを提案させていただくこともありました。
オーイシ その意見がとても勉強になったし、普段ではやらない作曲スタイルで楽しかったです。実は、今回の対談でどうしてもお伝えしたいことがありまして……コロナ禍になって僕はスランプに陥っていたんです。そんなとき、オカモト監督と『神或アルゴリズム』を作らせていただいたことで、物作りの喜びを再確認させてもらいました。オカモト監督は僕の恩人でもあるんです。
オカモト とんでもないです(照)。オーイシさんは音楽を作られて、私は画を描いているのでお互いにやっていることは違うんですけど、クリエイティブという意味では一緒。私も物作りの精神を見つめ直す機会になりました。
オカモト
アニメーション作家、イラストレーター。所属するクリエイティブチーム“TriFスタジオ”は過去にオーイシマサヨシオンラインワンマンライブ『世界が君を必要とする時が来たんだ』の映像演出を務めた。
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『オーイシマサヨシ コーシキブック』
発売日:2021年8月21日
予価:本体2,420円(税込)
仕様:B5判/ソフトカバー/112ページ
発行:太田出版関連リンク
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発売日:2021年8月21日
予価:本体3,630円(税込)
仕様:B5判/ソフトカバー/112ページ
発行:太田出版関連リンク