大石昌良と母親が対談。“音楽不毛の地”でミュージシャンを目指せた理由は家族にあった

2021.8.23
大石昌良

文=冨田明宏 編集=渡部 遊


〈遅咲きアーティストの星〉とも言われる大石昌良。彼の人生は決して平坦なものではなく、大志を抱き生まれ育った愛媛県宇和島を飛び出して以降、さまざまな艱難辛苦を乗り越え今がある。そんな彼をどんなときも支え、温かく見守り続けた家族の存在。アニソン・シーンが誇る希代のエンターテイナー=オーイシマサヨシは、いかにして育まれたのか。宇和島にいる彼の母親とのビデオ通話から、初めてその背景が浮き彫りになった。

※本記事は8月21日(土)発売『オーイシマサヨシ コーシキブック』(太田出版)の内容を一部抜粋したものです。

オーイシマサヨシコーシキブック
『オーイシマサヨシ コーシキブック』(太田出版)

「そもそも母親が僕のことを大好き過ぎるんですよ」

——わりと頻繁にLINEなどでやり取りはされているとお聞きしたのですが。

 そうですね。本当に些細なことでも連絡をくれるので。

大石 最近やり取りしたのは、お中元のことだったっけ。地元の宇和島から毎年「じゃこ天」を送ってくれるんですけど、「その日なら家にいるから受け取れるよ」みたいな。

 そうそう。「いつ家にいるの?」って。いつもすぐに返事が来ますから。

大石 母親に即レスしてる41歳の息子ってめっちゃ寂しいやん(苦笑)。

——優しいなぁ。

大石 僕が出ている番組とか配信ライブとか、全部観てくれているんですよ。だからだいたいライブが終わったタイミングで「お疲れさま」ってLINEが入ってるんです。だから「ありがとう。また観てくれたんや」って返したり。あとファンクラブにも入ってるし(笑)。

——お母様が一番のファンですね。

 うふふ。そうですね。

——その関係は昔から変わらず?

 仲はずっと良いですね。本当に優しい子なんです。地震があったら「大丈夫かー」、雨が降ったら「大丈夫かー」って。もう些細なことでも心配しては「どんなー?」「どんなー?」って連絡が来るんですよ。いつも優しいから、私も一緒になって同じように「そっちも大丈夫?」って言ってはLINEしたりしてます。

大石 反抗期とかはほぼなかったよね。

 なかったよ。全然ね。

大石 そもそも母親が僕のこと大好き過ぎるんですよ。それがもう、息子として好きとかじゃなくて、たぶん男として好きで。

 うふふふ(笑)。

大石 過去に一回事件があったんですよ。大学生のころだったかな。バンドでデビューしてまだ間もないころ、実家に里帰りしてベッドで寝てたんですよ。そんで起きたら目の前に母親の顔があって。「……え、なにしてんの!?」って言ったら、母親が「チューしようと思てん」って。

一同 (笑)。

 あんたよう覚えとるねぇ(照笑)。寝顔がちょっとかわいかったから、寝ているうちにチューしようとしたんですよ。そしたら起きちゃって。

大石 昔からお茶目なんですよ。あと僕はひとりっ子だったから。

 甘やかしてましたね。

大石 まあそうね(苦笑)。すべての愛情を注いでくれました。

学校でもらえるどんなトロフィーよりも、親からほめられるのがうれしかった

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