好きな気持ちに自制をかける。「ガチ恋作品」とは仕事できない
この仕事のキャリア自体は24年なんですけど、『銀魂』に携わっている期間が15年。数字で見ると、人生の3分の1なんですよね。キャリアで言えば、3分の2くらい……。この取材で15年って数字を改めて聞いて、自分で「そんなに長くやってたの?」ってゾッとしました(笑)。
──監督にとって、そんなに長く連れ添った『銀魂』って、どういう存在なんでしょうか?
もしかしたら突き放したように聞こえてしまうかもしれないけど、やっぱり「仕事」ですよね。最初から関わりが仕事だったので。もちろん作品が気に入ったのでやる気になったし、いろいろ挑戦させていただいていたけど、あくまで「仕事」として関わってきました。最初に原画でお話をいただいたときは、「あのちょっと変わったマンガか~」っていう印象でした。
──もともと監督が作品の大ファンだった、というわけではなかったんですね。
そうですね。関わる前からすごく好き、とかはなくて。
──逆に、それくらいの温度感だからこそ15年もやってこられた、というのがあるのかもしれないですね。
確かにその一面はあるかもしれないです。昔から大好きな作品って、逆に手を出せないんですよね。私『戦闘メカ ザブングル』が子供のころから大好きで……。気持ち的には「あぁ~、やりたい!!」というのはあるんですけど、「いやでも手を出しちゃダメだ。ファンの気持ちでそこに入ってはダメだ」って気持ちが強くて。それがコントロールできるんだったら問題ないと思うし、ファンの方で素晴らしいお仕事をしている方もたくさんいるので、一概に良い悪いの話ではないんですけど……。私個人は、自分の判断が曇っちゃうような気がして。自分の思い入れのほうが強く出ちゃうかも、という懸念が。
──大事な線引きですね。その面でも『銀魂』とは本当にほどよい距離感のように窺えます。
そうですね。でも、自分でも『銀魂』でしか起きない現象があって。何回か本当に終わるってタイミングがあったんですよ。その、自分と『銀魂』の関係が切れるというタイミングに、ちょっとファンみたいに好きになっちゃう気持ちはあるんですよね。いち読者としてすごく魅力的な作品だから、好きになりそうになっちゃう。「もう仕事として関わらないかもしれない」ってタイミングで好きになりそうに……。
──ある種、自制しているみたいな感じでしょうか。「この人を好きになってはいけない」みたいな。
そうそう(笑)。「仕事の関係終わるし、いいかな?」ってタイミングに、「やっぱり続編やります」ってなって、「あぁ、ダメダメ! 仕事仕事!」って(笑)。やっぱり仕事としては、とってもしんどいんですよね。なので、普通に淡々とした気持ちに戻れちゃうんですけど。